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June 28, 2019

必殺仕事ニーソン除雪編 ハンス・ぺテル・モランド 『スノーロワイヤル』

わたしはあんまり役者さん目的で映画を観に行ったりしないんですが、例外的なのがリーアム・ニーソン主演のアクション映画。なんか他の筋肉俳優にない味があって面白いんですよね。というわけでそのリーアム・アクションの最新作『スノーロワイヤル』ご紹介します。

コックスマンはロッキー山脈のふもとにある雪深い都市デンバーで、長年地道に除雪にいそしんできた男。ある日そのコックスマンの元に息子がドラッグの過剰摂取で死んだという悲報が届く。息子が麻薬カルテルの取引に巻き込まれて殺されたことを突き止めたコックスマンは、組織のメンバーを一人一人血祭りにあげていく。だがその犯人がわからないカルテルは、対抗組織が宣戦布告してきたと勘違いして…

主演作ではだいたいいつもかわいそうなリーアムさん。今回もいきなり息子に死なれるわ奥さんに責められるわ観ていて胸がしくしくと痛みます。さぞかし壮絶で鬼気迫る復讐劇が展開されるのでは…と思いきや、確かにそうなんですが全体的に人を食ったようなシュールなユーモアが全体に満ちています。どう考えても端役にすぎないようなマフィアの一員にも、亡くなる度に珍妙なあだ名と共に追悼?の画面が用意されてたり。二つの組織が一人の怪人物に翻弄されていく流れは黒澤明の名作『用心棒』とも似ております。

監督はノルウェーの新鋭ハンス・ぺテル・モランド。この映画はもともと彼が本国で撮った『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』という作品のセルフリメイクなんだそうです。こちらでは白人とネイティブ・アメリカンの争いでしたが、元ネタではノルウェー人とセルビア系の抗争になっています。舞台は変わってもこのポカーンとしちゃうユーモアセンスはやっぱり北米ではなく北欧のそれでした。

北欧と言えば雄大な雪山を背景に古風な街並みが広がっているデンバーの景色は、なじみのないものからすると「アルプスの街」と言われたら普通にそう見えてしまいそう。ヨーロッパの雪景色と違うのは行きかう人々の中にちらほらネイティブ・アメリカンの方がおられることですね。雪山にネイティブの方たちと言えば昨年の『ウィンド・リバー』を思い出します。実際デンバーのコロラド州とワイオミングは隣同士でわりと近所のようです。ただどん詰まりで生活が苦しそうだった『ウィンド・リバー』に比べると、デンバーは観光が盛んなせいか雪深いながらも都市部はかなり華やかそうでした。

話をリーアムさんに戻しますと、悪人どもには全く容赦しない反面、大ボスの幼い子供にはとても優しいあたりほのぼのとさせられました。児童にベッドで除雪車のカタログを読み聞かせてあげるシーンがあるんですけど、めちゃくちゃ似合いすぎでした。この点、やはり息子を殺されたネイティブのボスが「子供には子供を」と対等のものを求めるところとまことに対照的でした。あほらしいながらもそんな三組の親子の対比がなかなか興味深かったです。

時期的にまったく正反対なんですが、むしむし暑い今日この頃、冷房の効いた映画館で観るとむしろ納涼にちょうどよくて気持ちいいかもしれません。あともう1週くらいは上映してるんじゃないでしょうか。

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June 26, 2019

沈黙の艦内 ドノバン・マーシュ 『ハンターキラー 潜航せよ』

こちらは二ヶ月ほど前に公開されてたのですが、ほかに注目作が多かったのでついスルーしてしまったのでした。ところがツイッターでじわじわと評判になっていくのを眺めているうちに「観とけばよかったな~」と後悔。そこへちょうどよく遅れて別の劇場でやってくれたので、これ幸いと鑑賞してきたのでした。『ハンターキラー 潜航せよ』、紹介いたします。

ロシア近海を演習で潜航していた米軍の潜水艦が、突如として消息を絶つ。米国海軍は事態を調査すべく、一平卒からのたたき上げであるジョー・グラスと原潜アーカンソーのクルーを現地に向かわせる。やがてグラスたちは事件の背後に米露を揺るがす大きな陰謀が関わっていることをつきとめる。核戦争への発展を防ぐべく、アーカンソーは想像を絶する危険な海域へ針路を向ける。

というわけで最新版の潜水艦映画です。このジャンルで名作と言われるのはウォルフガング・ペーターゼン監督の『Uボート』ですが、残念ながら観てません。数少ない鑑賞した作品は『クリムゾン・タイド』『U-571』『ローレライ』といったあたりです。それだけしか観てないのに語るのは気が引けますが、潜水艦映画というのは他の戦争映画とは少々違った醍醐味があります。そのひとつは「先に相手に気付かれたらダメ」ということ。深海の静寂の中で息をひそめ、相手がボロを出すのを必死に待つ戦い。本当に息が詰まるような緊張感があります。

醍醐味のもうひとつは魚雷。魚雷というやつは戦闘機のミサイルよりゆっくりですが、その独特なスピードがかえって恐怖感をあおります。直撃すればもちろん一発でオシャカですし、そばで爆発しても船体のあちこちから水が噴き出して「押しつぶされる!」というパニック感がみなぎります。醍醐味というか「いかにおっかないか」という説明になってきました。この『ハンターキラー』はそういった深海戦闘の面白さと恐怖がよく表れておりました。

そんな風におしっこちびりそうなスリルに満ち溢れているのに、同時にとてもすーがすがしい映画なんですよね。主演が『300』や『エンド・オブ・ホワイトハウス(キングダム)』のジェラルド・バトラーだし「キラー」とタイトルについてるし「手当たり次第にぶっ殺す!」というノリなのかと思いきや、これがなるたけ「殺さないように殺さないように」という方向に進んでいきます(まあアクション映画なんでそれなりに死人は出ますが)。宇宙船から帆船までフィクションの中で様々な艦長を観てきましたが、グラス艦長が際立っているのはその最大の武器が軍略でも気迫でもなく「信頼」だということ。キーパーソンとしてもうひとりロシア軍の潜水艦艦長が出てくるのですが、敵とも味方ともしれぬこの男を、グラスは「同じ潜水艦勤めだから」という理由で不動の精神で信じぬくのですね。その信頼が八方ふさがりで突破不可能のように思えた状況を打開させていく糸口となっていきます。また地上でも共同作戦にあたっている別クルーがいるのですが、彼らもまた顔も知らず言葉も交わさないグラスたちを信じて決死の任務を遂行していきます。

ロシア側の艦長を演じるのはスェーデン版『ミレニアム』で有名なミカエル・ニクヴィスト氏。残念ながらこれが遺作となってしまいました。奇妙なことにもうひとつの遺作の『クルスク』という映画も潜水艦を題材にした作品だそうで。コリン・ファース、レア・セドゥといったそうそうたるキャストなのですが、いまのところ日本公開の予定なしだったり…

そのうちDVDにもなるでしょうけど、やはり深海の戦いは真っ暗で音がよく響く映画館で観た方が臨場感たっぷりですね。滑り込みで観られて本当によかったです!

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June 21, 2019

地球兄弟 五十嵐大介・渡辺歩 『海獣の子供』

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怪獣の次は海獣の話。文化庁メディア芸術祭漫画部門を受賞した五十嵐大介氏のコミックを、『鉄コン筋クリート』などのSTUDIO4℃がアニメ化。『海獣の子供』、紹介します。

海辺の町に住む少女琉花は夏休みに父の勤める水族館を訪れたことがきっかけで、海と空という不思議な兄弟と出会う。彼らは3歳まで主に海中でジュゴンに育てられたのだという。常識にとらわれない二人に翻弄されながらも、兄弟のことがどんどん気になっていく琉花。やがて彼女は海と空が「祭り」と呼ばれる地球規模の現象の中心であり、彼らに残された時が少なくなっていることを知る。

原作は未読なのですが、ぱっと見た限りとても動画にはしにくそうな絵柄。しかしSTUDIO4℃の超絶技巧によって、その繊細な線画が忠実に再現され、かつびゅんびゅんと動いておりました。また、その絵柄と調和して色合いも淡い水彩画のような趣があります。そんなタッチで描かれた海や星空、夕焼けの背景はためいきが出るほど美しい。元はといえば原作の絵なんでしょうけど、アニメを腐るほど観てる自分にもちょっと似たものが思いつきません。後半においてはさらに自然を超えたカタストロフィ的なヴィジュアルが暴走気味に展開されます。

恐らく評価が分かれるだろうな…と思うのはこのクライマックスの展開。中盤までの夏休みの雰囲気や、海辺で戯れる琉花たち、夏祭りや台風の風景などは現実感や郷愁が伝わって作品世界にじんわりひたれたのですが、そっからのぶっ飛ばし具合が半端ないもので頭の固いおじさんはちょっと振り落とされました(笑)。ま、こういうの日本アニメではありがちな流れですけどね。十代の少年少女の葛藤を描きながら、それが世界や宇宙にまでスケールアップしていき、抽象的で不可解な心象風景がぐるぐると描かれていくような。名作『エヴァ』や先の『プロメア』にもそういうところはあるのですが、これらは最初から非現実的な話とわかってたせいか普通についていけました。が、『海獣の子供』は現実の描写も極め細かすぎたゆえに、そのギャップがちょっと気になってしまいました。

でもまあ、本当に美術力という点ではものごっつい作品です。ジブリや新海監督ともまた違ったこのアート的なスタイルをSTUDIO4℃にはこれからも継続していってほしいものです。昨年の『ムタフカズ』 もアホらしくてクールでかわいくてとても好きなんですが、あまり話題にならなかったのが残念です。

ちなみにこの映画、先ごろ結婚で話題になった蒼井優さんも声優で出ておられます。だんなさんとうまくいってない奥さんの役でしたが、現実世界では円満な夫婦生活を送られてください!

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June 18, 2019

4大怪獣 地球最大の混戦 マイケル・ドハティ 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

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2014年のレジェンダリー1作目 から5年。ちょいと間が空きましたが、ようやく洋画のゴジラさんが帰って参りました。しかも東宝怪獣のあんなやつこんなやつを引き連れて…! 『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』紹介いたします。

ゴジラとムートーの激闘から数年。ゴジラはそれ以来姿を消していたが、秘密機関モナークは世界各地で休眠中の怪獣を発見。極秘に観察を続けていた。だがある時そのモナークの施設が連続して襲撃を受ける。犯人は「地球を太古の自然に戻すべき」と考える環境テロリストの一団だった。やがてその手は魔王に等しき怪獣「ギドラ」が眠る南極にも及ぶ。ギドラの復活に呼応するように再び現れるゴジラ。同じように目覚めた怪獣ラドンやモスラも交え、地球は巨大怪獣たちの戦場と化していく。

今回の特色は番外編的な『キングコング 髑髏島の巨神』 ラストでも明かされてましたが、ラドン、モスラ、キングギドラといった名怪獣の登場。彼ら?が最新のCG技術でどんな風に表現されるのか胸ワクワクで待ち望んでおりました。反面不安を感じたのがこの面子が『三大怪獣 地球最大の決戦』とまったく一緒だということ。そうです。一部界隈で有名な、通訳を介してとはいえゴジラやラドンが「勝手にしやがれ!」「そうだそうだ!」とくっちゃべるあの作品です。子供の目で見ると大変楽しいんですが、前作の重厚な雰囲気とマッチするのかどうか… しかしその点は杞憂でした。まず怪獣が喋りませんでしたw そして次から次へと襲い来る怪獣たちのパニック描写が怖すぎて、『三大怪獣』にあったのんびりしたムードは全く見当たりませんでした。火山から現れて街を根こそぎ爆風で引きはがしていくラドン。無数の稲妻と三つ首の咆哮で劇場を震わすギドラ。ちょっと小さなお子さんたちはトラウマになるのでは…という迫力でした。

ただこの度メガホンを撮ったマイケル・ドハティ氏は前作ギャレス・エドワーズとはまたちょっと資質が違う気がします。ギャレスさんもギレルモ・デル・トロさんもそりゃあ怪獣が大好きだとは思うのですけど、ドハティさんの怪獣愛…それも東宝怪獣への愛はちょっと度が外れているというか、狂気にも近いものを感じます。まあでもその並はずれた狂気と愛情があるからこそ、こんだけ突き抜けた映像が作れるのかも。

そして各怪獣の個性の描き分けがまた上手なんですよね。不動の精神を持つ、戦国の英雄のようなゴジラ。禍々しい妖気を放つ悪魔の化身(キング)ギドラ。華やかな色彩で見る者を魅了する妖精モスラ。で…、この並びだとラドンがちょっと弱い印象があったんですが、意外な行動でもって思い切りキャラ立ちしておりましたw すでにネットでは「ゴマすりクソバード」なる不名誉なあだ名を頂戴しちゃっております。このお追従が得意な描写も、ドハティなりの「そうだそうだ」のオマージュだったのかもしれません。それは置いといて、この度の4大怪獣が過去作と比べて際立っているのはどなたもピカピカキラキラ輝いていること。そのひかりっぷりはモンスターで4あると同時にスターでもありました。モブっぽい怪獣も何匹か出てきますが、文字通り光ってないあたりランク的に下なんだろうな…ということがうかがえます。

他に強く感じたのはますます東宝怪獣がクトゥルーっぽい設定になってきたなあということ。オリジナルのゴジラはあくまで元は自然生物で、人間の悪行のゆえに怪獣となってしまったという立ち位置ですが、『KOM』においてはあからさまに生物を越えた神に近い存在であり、元々地球は彼らが支配していたということになっております。一方で前作からのレギュラー芹沢教授はゴジラに向かって「友よ…」と呼びかけます。この辺からもドハティ監督にとって怪獣は神であると共に大好きなお友達だったんだなあ…とほのぼのさせられました。

あと公開前に「人間ドラマが少ない」との評が流れてましたが、それなりにありましたね。人間ドラマ。しかしこの人間ドラマが「怪獣怪獣!」とのめり込んでるいかれた人たちばっかり出てくるもんで、怪獣大好きな人たちでないと共感できないんでないかと思います。わたしはめっちゃシンパシー感じましたけどね! そんな普通でないドラマの中にも無理やり親子の絆とかねじ込んでくるあたり、前作の名残が漂っておりました。

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』は現在『アラジン』に押されつつ大ヒット公開中。来年にはアメリカが誇る大怪獣「キングコング」との対戦が予定されています。果たして「モンスターバース」はそこで打ち止めとなるのか。できれば『怪獣総進撃』までリメイクしてほしいところですが…

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June 14, 2019

燃やしていいのは体脂肪だけ 今石洋之・中島かずき 『プロメア』

Pma2一ヶ月後の健康診断を控えひそかにジョギングを続けているわたくしですが、それとはまったく関係なく、本日は『天元突破グレンラガン』『キルラキル』のコンビが贈る劇場アニメ『プロメア』を紹介いたします。

精神により発火できる能力を持つ新人類「バーニッシュ」が誕生した近未来。世界ではバーニッシュによる被害を食い止めるため各地で特殊消防隊「バーニングレスキュー」が活躍していた。その一員である血気盛んな青年・ガロは、テロ集団マッドバーニッシュとの戦いの中で、彼らのリーダーである若者リオと出会う。激しくぶつかり合う二人だったが、やがてガロはバーニッシュたちの哀しい運命や自分が所属する都市プロメポリスの裏面を知り、葛藤するようになる。

まあやっぱり最初に思うのは「これ、『グレンラガン』の二時間版別バージョンじゃん」ということですね。そもそも主人公のガロが『グレンラガン』の主要キャラであるカミナによく似ている。他にも『グレン~』を思わせる要素があちこちに散りばめられておりファンとしては「たまんねえぜグへへ」という感じでした(品のない表現だなあ)。

ただこれまでの中島・今石作品と違うのはこれが1本に映画であるということと、恐らく実在の役者さんを想定して、それからキャラを膨らませていということ。三谷幸喜さんが好んで用いている「あて書き」というやつですね。メインの3人である松山ケンイチ氏、早乙女太一氏、堺雅人氏はそれぞれ中島かずき先生の舞台に出ておられたとのことなので、恐らくその時彼らの演技を見ながら先生は「こういうキャラが活躍するアニメを作ったら面白かろうな」と思われたのかもしれません。とりわけそれが爆発していたのが主役二人の前に立ちふさがる執政官クレイを演じていた堺さん。普段はニコニコ穏やかな表情を浮かべているのに、尻尾をつかまれた途端別人のようにブチ切れる様子が最高でした。普通悪者が居直るところってイライラしそうなものなのに、なんでかすごい爽快だったんですよね… そういえばドラマ『新選組!』の時に聞いた堺さんのエピソードで「最初は山南さんのようにソフトな笑みを浮かべながら飲んでいたのに、酔いが回ってきたらボロボロ毒を吐き出してきた」というのがありました。まさにこのクレイは堺さんにうってつけのキャラだったと言えるでしょう。

あと同じことを繰り返してるようで、少しずつ色を変えてるのが中島・今石コンビ。彼らの作品には少なからずダイナミックプロの影響があると思うのですが、その線で行くと『グレンラガン』は『ゲッターロボ』の、『キルラキル』は『キューティーハニー』のオマージュっぽいところがありました。そして『プロメア』は原作の『デビルマン』が根底にあったんじゃないか…という気がします。まあ途中あからさまに絵柄を意識してるシーンがありましたし。「怪物」と異分子を排除している政府が、実は怪物以上の怪物だったというあたりはまさに『デビルマン』でありました。威勢がよくワイルドなガロは不動明を、中性的でクールなリオは飛鳥涼をイメージしているようにも思えます。でもまあ『プロメア』はとにかく元気で世界の破滅も気合で吹っ飛ばすようなノリなので、その辺は『デビルマン』とは全然違いますね。

絵柄の特色はと申しますと、とにかく三角と四角が目立ちます。無数の角ばった図形が画面いっぱいを縦横無尽に駆け巡る映像暴力と申しましょうか。ここんとこのアニメ映画は美術的にも恐ろしく力の入ったものが続いていますが、『プロメア』はそんな痛快なキュビズムでもって炎と氷の戦いをこれでもかという感じで描き切って、観る者を翻弄します。

そしてロボです。予告を見た時、「今回はロボはどの程度出るのだろう。おまけ程度かな」と感じていたのですが、ドカーンとやってくれやがりました。今の日本で出来る最高峰のロボアニメでございました。先日の映画秘宝のインタビューで中島先生は「レオパルドンを出していたら『スパイダーバース』はアカデミー賞を取れなかっただろう」とおっしゃっていましたが、『プロメア』からは「賞なんかどうだっていいわ! わしゃ巨大ロボが好きなんじゃあああ!」という魂の叫びが聞こえてきました。信じてたぜ… かずき…(敬称略)。わたくしそろそろ中島先生には本腰入れてゲッターロボのリメイクをやってほしいと思ってるのですが、この願いどこかのお金持ってる会社に届きませんでしょうか。

『プロメア』は残念ながら日本全体ではそんなにヒットしてないのですが、都内近郊の良い設備の劇場では満席続出という局所的なフィーバーを巻き起こしております。この映画はたぶん伝説になる… ので観られるところにいる人は今のうちに観ておいたほうがいいぜ?

2019のアニメ映画フィーバーは現在公開中の『海獣の子供』、近日封切り予定の『きみと、波に乗れたら』『天気の子』と続きます。『プロメア』と違ってオミズ系の話が多いようで。

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June 12, 2019

ロンドンVS万里の長城 フィリップ・リーブ クリスチャン・リヴァース 『移動都市/モータル・エンジン』

本日は「あのピーター・ジャクソンが(製作で)贈る!」という触れ込みで鳴り物入りで公開されたものの、あまり盛り上がらなかった(泣)『移動都市/モータル・エンジン』、ご紹介します。

人類の文明が一度崩壊した未来。世界は「移動する都市」で生活する人々と、巨大な壁の内側で定住する人々の二派に分かれていた。移動都市の中でもとりわけ強大な「ロンドン」に潜入した顔に傷のある少女へスターは、そこの技師であるヴァレンタインを復讐のためにつけねらう。ロンドンの一市民の青年トムはそれを止めようとしたことから世界を巡る大きな陰謀に巻き込まれることになる。

原作は2001年にフィリップ・リーブが発表したSF小説。この度はその1作目が映像化されていますが、全部で4作からなるシリーズだそうです。

まず感心するのは都市に巨大な車輪がついていて動き回るという発想。バンパイアハンターDの1作にもそんな話があったような。ただこちらがもっとぶっ飛んでるのは、大きな都市がまるで捕食するように小さな都市を取り込んで資源を吸収していく描写。そんな生き物のっぽい機能や西洋ファンタジーとスチームパンクが合わさったような都市のデザインは、「タイムボカンシリーズ」のユーモラスなメカたちを思い出させます。

前半はそういった芸達者なヘンテコメカの活躍が面白かったのですが、後半に入ってからはお話がシリアスになっていくせいか、だんだん奇天烈さが薄くなってしまうのがちと残念でした。本当にちっとばかりの物足りなさではありますけど。

夢を追う若者と謎のあるヒロインが冒険を繰り広げるあたりは『未来少年コナン』や『天空の城ラピュタ』とも似ています。違うのは宮崎アニメよりも少し年齢が上なことと、少女が主で少年が従ということなどでしょうか。

監督はクリスチャン・リヴァース氏。長年ピーター・ジャクソンにぴったりと寄り添い、その映画作りを手伝ってきた方ですが、今回晴れて初メガホンとなりました。師匠譲りの才能ゆえかしっかり楽しめる安定したエンターテインメントをこしらえてくれたのですけど、残念ながらこの『モータル・エンジン』は2018年で最も赤字(184億円)を出した映画となってしまいました。実際に観てみると何がそんなにいけなかったのかよくわからないのですんよね… やっぱり「都市が動く」というアイデアにひきつけられた人がそんなにいなかった…ということなのでしょうか。あと大本のネタがイカれてるわりには、キャラクターたちが総じて真面目な人たちばかりというのもよくなかったのかも。一人くらい子供に人気の、笑いを取れる著名な俳優を混ぜたらもう少しいい結果になったのか???

ともかく、ピーター・ジャクソン&弟子の捲土重来を期待しております。ちなみにピージャク氏の次回作はビートルズの『LET IT BE』を題材にした作品とのこと。ビートルズ版『ボヘミアン・ラプソディ』のような映画になるのでしょうか。はてさて。

 

 

 

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June 05, 2019

ポケットモンスター/ハード&ボイルド ロブ・レターマン 『名探偵ピカチュウ』

これまた1ヶ月前に公開されてる映画ですが、いまだに上位10作に並んでいるツワモノ的作品。ポケットモンスターの世界に新たな風を送り込んだ映画版『名探偵ピカチュウ』、ご紹介します。

人とポケモンが仲良く暮らす街、ライムシティで一人の探偵が事件に巻き込まれ姿を消す。その探偵の息子・ティムは、父の消息を確かめにライムシティの事務所を訪れる。そこにいたのは父のパートナーであった1匹のピカチュウであった。驚くべきごとにそのピカチュウは人語を話し、ティムに一緒に事件を解決しようと持ちかける。

原作は3年前にダウンロード用として発売されたTVゲーム。ポケモンに関しては「ポケットモンスターGO」をちょっとかじったくらいなんですけど(それでも今回そのおかげでけっこう助かりました)、コンセプトを聞いた時「なぜピカチュウが探偵なんだ!? あれに推理とかできんのか???」と困惑を隠せませんでした。正直今に至ってもその必然性とか理解しきれてないんですが、まあ面白かったしかわいかったんでよしとします。ピカチュウといえば今や国民的キャラクターでさんざん見慣れた感がありましたが(実際最近までジバニャンに押されてたし)、今回多くの人がやられてしまったのが予告編で見せた皺の寄った表情。普通しわがよったらどっちかというと醜悪なデザインになりそうなものなんですけど、これがなんとも言えないかわいらしさがありまして。ココアに少量入れる塩のような効果がありました。某『ゴールデンカムイ』のヒロイン、アシリパさんの変顔にも似ておりました。

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ピカチュウの声をあてているのは『デッドプール』での怪演で有名なライアン・レイノルズ(吹替え版では西島秀俊氏)。これもどうせ受け狙いでキャスティングしたんだろうな~~~と冷ややかな印象を抱いておりましたが、最後まで観てみたらそれなりにちゃんと理由があったことがわかりました。あとネットの感想を見ると「真相が簡単にわかった」みたいな声がけっこうあがっておりましたが、自分は普通にだまされました(笑)。ですから「探偵」とついてるだけあって一応ミステリー映画としても鑑賞できます。ちなみに映画はきちんと事件が解決されますけど、ゲームの方はこれから完結編が発売され、映画とはまた違った結末を迎えるとのこと。

探偵ものといえば監督はこの映画を作るに当たり『ブレードランナー』を参考にしたとのこと。これまた予想斜め上のタイトルでございます。たぶんブレランの闇の深い街の背景とか、大きな陰謀に一人立ち向かうヒーローの姿とかを意識したんだと思います。そういえば作品に出てくるポケモンは普通にアンドロイドに置き換えても普通にお話が成立しそう。まあポケモンの方がかわいいしカラフルだし観ていて楽しいですけどね。

監督のロブ・レターマン氏は他にも『モンスターVSエイリアン』など撮っていて、怪獣にも並々ならぬ思い入れがあるようです。本作品におけるドダイトスやミュウツー、リザードンの描写には怪獣映画顔負けの迫力がありました。その辺はさすがモンスターバースやジュラシックワールドのレジェンダリーピクチャーズでございます。

ちょうどいまレジェンダリーの新作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が上映中ですけど、両方ともモンスターを愛するおじさんとして渡辺謙氏が出演していたり、モンスターと人間の共存がテーマのひとつだったり、共通するところも幾つかあって観くらべてみると一層面白いかと思われます。また夏には恒例のポケモン映画に第1作のCGリメイク『ミュウツーの逆襲』が公開予定。かわいいのから怖いのまでモンスター花盛りでよろこばしいことでございます。

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