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April 23, 2019

二段ソファの逆襲 マイク・ミッチェル 『レゴRムービー2』

Lgm1thumb1 すべては最高~ みんないいかんじ~♪ あのC調の曲とともにさえないミニフィグのエメット君が帰ってまいりました。つぶつぶの世界の冒険を描くシリーズ最新作『レゴRムービー2』、紹介します。第1作の感想はこちら

冒険の末にお仕事社長と感動的な和解を果たしたエメットたち。だが直後にデュプロ星人の猛攻を受け、レゴシティは壊滅。完全にマッドマックス状態になってしまう。それから数年後ひと段落した街に再び宇宙から奇妙な客がやってくる。わがまま女王の使者と名乗るその来訪者は、女王の結婚式に招くためと言って強引にエメットの仲間たちを連れ去ってしまう。大事な友達を救うためエメットも後を追って宇宙へ飛び出すのだが…

えーー、今回は最初からネタバレ全開で…

第1作から実に5年後。もっとはやく作れなかったのか?と思いましたが、おそらく間を空けた理由はスピンオフの企画があったのと、お子様の成長に合わせて…ということもあったのかもしれません。エメットの魅力とはなんぞや。それは純真で誰にでも優しくてアホなことばっかり考えているということです。実在の人物でいうと林家木久扇師匠がかなり近いと思われます。前作の実写パートの坊やフィン君もまさしくそんなエメットのようなお子様でした。しかし子供の成長は早いもので、5年の間に坊やは自分が男子であることを意識するようになり、かつて自分を叱ったお仕事大王のようなポジションにおさまってしまっています。そんなフィン君の心の変化がレゴ世界に深刻な影響を及ぼしていきます。とはいえかつての無邪気な部分も彼の中にはちゃんと残っていて、それが世界崩壊を防ぐ希望にもなっているわけです。

この度エメット君の敵?になるのは正体不明の「わがまま女王」(まあ大体想像つくけれど)。ご本人は不定形で素っ頓狂でありますが、仕える者たちやご住まいはいちいちキュートだったりキラキラしていて主人公たちを翻弄します。なにより恐ろしいのはそのルビドコ療法のような音楽テロ攻撃。無限に繰り返される「この歌あたまにこびりつくよ♪」というメロディと歌詞が客の脳をあっという間に侵食していきます。最初に観てからほぼひと月たってようやくわたしの耳からもあの曲が消滅した気がします。この歌頭にこびりつくよ、この歌頭にこびりつくよ… ハッ!! youtubeにはこの曲が10時間ぶっ続けで流れる動画もあるとのことなので、我こそはという方はぜひチャレンジされてください。この辺のラリリ具合はやはりフィル・ロード&クリス・ミラー製作であります。キッズ映画と言えどもトリップ描写には手を抜かない。まったく恐ろしいやつらです。

もう一人新顔で印象深いのはエメットの助っ人として現れるレックス・デンジャーベスト。カウボーイであり、宇宙海賊であり、恐竜の調教師でもあり… まあ中の人クリス・プラットの人気キャラを無理やり一つに詰め合わせたようなやつです。で、ここでまた容易に正体に想像がついてしまいます(笑) わたしが『2』で特に笑ったシーンが彼のタイムスリップのシーンで、とりわけ泣かされたのが同じくタイムパラドックスのくだりでした。後者は最近『仮面ライダービルド』で良く似たエピソードがありまして。ああいう風にひねてたやつが微笑みながらさわやかに退場していく話に弱いんです。

「今度こそ終わり」と言われてしまった『レゴムービー2』。果たしてさらなる展開はあるのでしょうか(『レゴバットマン』の続編企画が進行中という噂は聞きましたが)。もし仮に3が出来たとしても『トイストーリー3』ように「いい年してレゴで遊ぶのはやめよう」…という話にはならないでしょうね。あのうちはお父さんですらレゴに熱中してたわけですから。これからも幾つになってもレゴ・おもちゃで遊び続ける「いい大人」でありたいです。 

1作に十分ひけをとらなかった本作品。しかし日本では大幅にスクリーンを減らされ、多くの劇場では明日終了だそうです。未見の人、まだ間に合います! 『アベンジャーズ/エンドゲーム』にすべてが呑み込まれる前にこちらもぜひご覧ください!

 

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Comments

> 優しくてアホなことばっかり考えているということです。実在の人物でいうと林家木久扇師匠

ちょっとクロス・オーバーするけど、林家木久扇師匠がシャザムで圓楽がマーク・ストロング的な。

Posted by: ふじき78 | May 02, 2019 10:33 AM

>ふじき78さん

じゃあシャザムの友達は…好楽師匠!?

Posted by: SGA屋伍一 | May 07, 2019 09:36 PM

SGAさんこんばんわ♪

地元は毎回公開縮小の憂き目に合うので今回も遅れての自宅鑑賞と相成りましたが、一作目に負けず劣らずの面白さがあってやっぱり楽しかったですね^^
現実とレゴ世界のリンクの秀逸さや、クリス・プラットの自虐まで盛り込んだ悪ノリパロディも相変わらずでしたし、洗脳されかねないあのこびりつく歌も物凄い中毒性があったと思いますwフレーズも単純なだけに、耳を塞いでも無駄な気がしました(笑

個人的にはエンドロールが特に良くて、あそこまでエンドロールに愛と情熱を注いでる作品は本作くらいなのではとも思いました。

Posted by: メビウス | September 16, 2019 07:42 PM

>メビウスさん

遅れながらも鑑賞していただいてうれしいです。なにかと不遇の作品だったので…
それにしてもあの歌はすさまじかったですね。鑑賞から数ヶ月経ったいまも耳にこびりついております。まさに音楽テロ
エンドロールの曲も秀逸でした。ときどき「なげーな」とも思うけどやっぱりエンドロールも観なきゃですね

Posted by: SGA屋伍一 | September 17, 2019 10:07 PM

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