モヒカン姉さんとモフモフ猫さん アンナ・ボーデン&ライアン・フレック 『キャプテン・マーベル』
いよいよ今月末マーベル・シネマティック・ユニバース11年の総決算たる『アベンジャーズ/エンドゲーム』が封切られます。はあ、もうどうなっちゃうんでしょう… すーはーすーはーぜーはーぜーはー と、その前にもう一本重要なファクターとなるであろう作品が公開されています。90年代を舞台としたMCU初の女性単独主演作品『キャプテン・マーベル』ご紹介します。
勇猛な戦闘種族として宇宙に名を轟かせている軍事国家クリー。その兵士であるヴァースは記憶がないことに悩みつつも宿敵のスクラル人との戦いに身を投じていた。ある任務の途中スクラルに捕まった彼女は、なんとか脱出し銀河の辺境にある星に逃げ延びる。そこで彼女はその星…地球の風景に見覚えがあることにきづく。果たしてヴァースと地球にはいかなる関わりがあるのか。
『キャプテン・マーベル』が最初に書かれたのは1960年代(DCにも同名のヒーローがおりますがそれについて説明するとややこしくなるのでカット)。地球人に扮したクリーの戦士マー・ベルが正義のヒーローとしてそう名乗っていたのでした。が、彼はわりかし早々と死亡。恋人のキャロル・ダンバースがその能力を受け継ぎ、「ミズ・マーベルという名で活躍するようになります。その後本当にいろいろあって現在ではキャロルが「キャプテン・マーベル」の称号を継承しております。
わたしがアメコミを読み始めたころ、彼女はX-MENのローグに力を吸い取られてずっと寝たきりでありました。さらに魔界の王子様に洗脳されて地獄に嫁がされたり、自分の名がタイトルになってる冊子がながいこと途絶えたまんまだったり… そんな風に「不幸」「不遇」というイメージが強いキャラでありました。どうもマーベルはこういうスーパーマン的な万能ヒーローをひねくったりもてあましたりする傾向があります。しかし2000年代に入り髪型や服装がガラッとボーイッシュになると人気が急上昇。主役タイトルが復活し、さらには単独映画まで製作されることになりました。
スーパーヒロイン映画としては一昨年『ワンダーウーマン』がありましたが、あちらを「姐さん」とするならば今回のキャロルは「兄貴」という感じでありました。もちろん容姿やハンデを背負わされてるところは紛れもなく女性なのですが、何度逆境にあっても立ち上がりどんな強敵にもひるまないあたりはまさに王道的なアメコミヒーローであります。というか最近のヒーローはむしろウダウダと悩んでることの方が多いか…? 周りの男たちも彼女を対等の人間として扱い、友情はあっても恋愛感情は全然ないあたりも多くのヒロインと一線を画しております。
アメコミファンとして嬉しかったのは今回はじめて「スクラル」が登場したこと。マーベルコミックスではクリー、スクラル、シャイアの3帝国が宇宙における3大勢力とされております(ただしシャイアはX-MENと関わりが深いためこの度はオミット)。このスクラル、自在に容姿を変えられるという能力があるせいかコミックでは極めつけの悪役としてよく登場しております。そんな色物的宇宙人を『ローグワン』『レディプレイヤー1』で悪役としてならしたベン・メンデルソーンさんがほぼメイクしっぱなしで演じられていたのですが、これが大変すばらしかったです。
あとなんといってもこの映画のもうひとつの魅力は猫のグースちゃん。これまでアメコミ映画では猫系のキャラとしてキャットウーマンやブラックパンサーなどがおりましたが、彼らはやっぱり人間ですし。しかしグースちゃんはどっからどう見ても猫。地球の存亡がかかっているその時に猫がいったいどうやってお話にからむのか??? その辺はぜひご自分で確かめていただきとうございます。いやあ、しかし本当にかわいかったな~~~ そういえばキャロル役のブリ―・ラーソンさんは幼少時『セーラームーン』が好きだったとのこと。月野うさぎの傍らにもマスコット的な猫がいましたが、こういう偶然面白いですね。
そして当然のごとくキャロルさんはすぐ次の『アベンジャーズ/エンドゲーム』にも登場なさいます。彼女の力を得てアベンジャーズたちは絶対神となったサノスに立ち向かうことが可能となるのか。ああ~もう~ すっはすっはすっは あと23日こんな風に過呼吸を繰り返しながら待たねばならないのでしょうか。あたしもう我慢できない!!
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Comments
伍一くん☆
猫のグースちゃんの大活躍は驚きでしたね~
エンドゲームでも活躍してくれるのかしら??
とーっても楽しみ。
本当に待ち遠しいわ~
Posted by: ノルウェーまだ~む | April 05, 2019 10:10 PM
>ノルウェーまだ~むさん
出てきてほしいですね、グース。サノスもあのかわいさにメロメロになってしまったりするのでしょうか
ちなみにコミックではアライグマのロケットと仲が悪いようですw
Posted by: SGA屋伍一 | April 08, 2019 09:24 PM
キングダムもそうでしょうが、ヒーローも自分の為、夢の為に動く、という事があると思いますが、このキャプテン・マーベルは、そういったエゴが無いですね。かといって、人としてドラマが無いかと言えば、そうでもないのですが、地球を守るという功績も、覇権国がある限り、アメリカの正義と重なる処があるのだと思います。
キングダムの秦帝国は、アメリカに例えられていましたね。原作もそうだと思いますが、中国というより、日本っぽいヒーローを描いているように思います。文治よりも、武勇を描く。
Posted by: 隆 | May 16, 2019 04:54 PM
>隆さん
一応米国の軍人さんということでそこがひっかかる人もいるみたいですね。あまり右翼臭は感じられませんでしたが… 自国をほっといてよその土地の正義まで守ろうとするところはちょっとアメリカっぽいかも
『キングダム』は見事に日本向けの熱血少年漫画にアレンジされてますね。それがヒットの要因かと
Posted by: SGA屋伍一 | May 21, 2019 10:04 PM