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April 24, 2019

トランスフォーマー・ハチの大冒険 トラヴィス・ナイト 『バンブルビー』

Bbb 「火薬のメガ盛り」と言われた劇場版『トランスフォーマー』シリーズ。しかし爆発量にも限界が見えたのか、ここにきて急にスイーツ路線に転換。果たしてこのバクチうまくいくのか…?? 『バンブルビー』紹介します。

遠い宇宙のセイバートロン星では、機械生命体がふたつの勢力に分かれて争っていた。正義の集団オートボットは劣勢になり、体制を立て直すべく銀河の各地に散る。場所は変わって80年代の地球。実の父を失い、家族の中で孤独を感じている少女チャーリーはいきつけのスクラップ屋でぼろいビートルを見つける。強引にそれをゆずりうけたチャーリーは修理しようと張り切るが、それはオートボットの戦士バンブルビーが擬態した姿だった。

今回「違うな」と思った点のひとつはまずストーリー。これまでのTFは予告ではすごくシリアスさをあおって実際はおちゃらけムード…というパターンでしたが、『バンブルビー』はちゃんと予告通りでした。孤独な少女と宿無しの動物のハートフルなお話になっておりました。この辺はやはり家族を恋しがる少年の物語であった『KUBO』の監督(トラビス・ナイト)だなあと思いました。

もうひとつ違ってたのはアクションのスタイル。マイケル・ベイの作品では大体終盤までダラダラと戦い続け、終盤で急にオプティマスが本気出して勝つという流れがほとんどでした。この度はバンブルビーの元が乗用車ということを生かして頭を使ったバトルを色々見せてくれました。まあ常識的に考えて自動車が戦闘機や軍用ヘリにパワー勝負でかなうわきゃないんですよね。そこで機転を利かしてピンチをすり抜けていく描写が大変見事でありました。

デザインも少々変わってましたかね。ベイ版では画素がやたら多く細部がガチャガチャしていたロボットたちが、今回はぐっとシンプルにおもちゃをそのまま巨大化させたようなビジュアルになっておりました。これがビー君のかわいさをさらに際立たせておりました。敵ロボットは容赦なくズタズタのバラバラにするくせに、キュートな少女の前では子犬のように甘えるビー君。はっきり言ってあざとい。でもまあかわいいんで許します。

個人的にテンションが上がったのは冒頭のセイバートロン星での乱戦シーン。情報参謀サウンドウェーブの胸からばびょーんとカセットが飛び出して動物に変形するあのギミック、子供のころ大好きだったんですよ。戦術的に何か利点があるのかというと全くわからないのですが、面白いからいいんです。たぶんこの映画が80年代を舞台にしてるのはまだカセットテープが幅を利かせてる時代だったからでは。サウンドウェーブの出番、ちょびっとだけでしたけどね… 彼も現代ではCDプレイヤー型に進化したりしてるのでしょうか。

冗談はさておき、この映画なんで80年代が背景となってるのでしょう。旧TFの前日談という位置づけにするためでしょうか。それにしては1作目と矛盾する部分も少々あるような。実際この映画、これまでのプリクゥエルなのか、リブートなのかということでファンの間では意見が別れているようです。ただアニメ・コミックのトランスフォーマーはどっからどこまでがつながっててどこまでがパラレルなのかさっぱりわからない状態なので、映画の方も「どっちでもいい」という解釈でいいんじゃないですかね。煮え切らない性分の自分はそんな風に思うのでした。

ちなみに『バンブルビー』は映画TFシリーズでいまのところ最低の売上だったりします。丁寧でいい作品なんだが… が予算もこれまでの6割くらいなため、辛うじてプチ黒字にはなってはいるようですが。果たしてTFシリーズはこの先どこにいくのでしょう。できれば現在のスイーツ路線でがんばっていってほしいものです。

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Comments

> 敵ロボットは容赦なくズタズタのバラバラにするくせに、キュートな少女の前では子犬のように甘えるビー君。はっきり言ってあざとい。

大人と子供で態度を変える名探偵コナンみたいだ。

Posted by: ふじき78 | May 02, 2019 11:22 AM

伍一くん☆
バンブルビー確かにあざといよね~(笑)
それでも可愛いからいいんだけど…
そしてトランスフォーマーシリーズがどうしても判らなくなっちゃうのは、必ずどの作品も寝ちゃうからだと思っていたら、パラレルのお話しだからなのですね!?それじゃー仕方ないか。

Posted by: ノルウェーまだ~む | May 04, 2019 12:25 AM

そういうキャラなんでしょうね。意識していないのに、女性の前では、可愛く振舞ってしまう。ロボットだから、子供には人気でしょうが、個のヒロイズムというよりは、少女とのタッグで活躍するのが良かったです。

地球では、可愛く居る事が、ロボットの渡世だと思ったのではないでしょうか。オートボットの中でも、ここという時のムードメーカーなんじゃないでしょうか。

Posted by: | May 07, 2019 06:52 PM

>ふじき78さん

あれだけざとくなけりゃ毎年のメガヒットは達成できんでしょう…

Posted by: SGA屋伍一 | May 07, 2019 09:42 PM

>ノルウェーまだ~むさん

そうですね。パラレルは諸刃の剣であります。最近のスパイダーマンもMCUとアニメのスパイダーバースがあり、コミックの敵役であったヴェノムの映画はまた別世界で… あーややこしい

Posted by: SGA屋伍一 | May 07, 2019 09:44 PM

>隆さん

そういえば少し前のアリータも敵サイボーグはズタズタのバラバラにしてましたが、好きな男の子の前ではぽろぽろ泣いたりしてました。今のハリウッドの流行りなのでしょうか
やっぱりこの路線のロボットというと大好きな『アイアン・ジャイアント』を思い出してしまう自分でした

Posted by: SGA屋伍一 | May 07, 2019 09:48 PM

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