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March 27, 2019

ハードバイオレンスプリキュア 木城ゆきと/ロバート・ロドリゲス 『アリータ:バトル・エンジェル』

A12 世界で最ももうけた監督・ジェームズ・キャメロンがプロデュースした日本漫画原作映画。権利取得から実に20年近くの月日を経てようやく実現した『アリータ:バトル・エンジェル』(原作タイトルは『銃夢』)ご紹介します。

はるか未来、大きな戦乱を経て天上の聖域と地上のスラムに分かたれた世界。下界の医師イドはある日スクラップの集積所で破損したサイボーグの少女を見つける。イドは少女をアリータと名付けて修復し、娘のようにかわいがる。だがアリータの中には戦闘兵器としてのプログラムが内蔵されていたため、彼女はいつしかスラムの無法者たちや支配階級の手先との激しい戦いに巻き込まれていく。

原作未読。宣伝でしきりに「キャメロンキャメロン」と連呼されていますが、監督は『プレデターズ』『シン・シティ』のロバート・ロドリゲスでございます。勇ましい少女がメカメカしい怪物たちとバトルするあたりは確かにキャメロンっぽいですが、コミックの絵を忠実に再現しようとするあたりや、人体がバラバラに四散する(サイボーグなので血は出ません)ヴィジュアルは確かにロドリゲスさんのカラーでありました。

そんな風に悪い奴らは容赦なくみじん切りにしちゃうアリータちゃんですが、そこは年頃の女の子。好きな男の前では恋にキュンキュンときめいちゃったり、切ない思いに涙をにじませることもしばしば。こういうのをギャップ萌えというんでしょうか。まあわたくしもそういうの嫌いではありません。

で、映像はさすがはキャメロンの肝いりと言うべきか、広大な奥行きを感じさせる背景が多く、実に3D映えする作品となっておりました。体のあちこちが武器と化してるサイボーグの皆さんもロボ好きの目を楽しませてくれました。

ただお話の方はなんというかあまりに矢継ぎ早にバトルとアイテム取得が繰り返されるので、テレビシリーズの総集編を観ているような気分でした。見せ場の連続で飽きさせない作り…と言えないこともないですけど。で、この総集編は思いっきり「第一部完」というか「俺たちの戦いはこれからだ!」的なところで終わっています。果たして第二部が作られる日は来るのか。企画に時間がかかることで定評のあるキャメロンのこと、次はまた20年後だったりして(笑) そこまで待てなかったら原作を読めばいいのかもしれませんね。若いころはそういう尻切れトンボ的なラストを観ると「なんじゃあこりゃあ!」と青筋立てたりしたものですが、年のせいか最近はそういうのにも「未完の美」みたいなものを感じるようになってきました。例を挙げると『ガメラ3』とか劇場版『仮面ライダー龍騎』とかそういうやつです。

『アリータ:バトル・エンジェル』は主に中国で大ヒットを飛ばし、今日世界興行収入が4億$を越えたというニュースが入って来ました。ちょうど製作費の3倍弱くらいです。トントンかプチ黒字くらいといったとこでしょうか。そして御大キャメロンの『アバター2』は来年12月公開予定。もう少しペース上げていきましょう。

 

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Comments

SGAさんこんばんわ♪

大体原作2巻分の内容にモーターボールとか黒幕のノヴァ教授とかを入れてもう1~2巻分詰め込んだ感じを自分も抱いたので、矢継ぎ早に見えたのも確かに否めませんね。アリータがアイデンティティを模索するのも原作だとちょいちょい葛藤盛り込んだりしてるんですけど、映画の方はそこら辺の解決も早かった気がします^^;

でも映像はさすがといった所で、クズ鉄町の景観とかは自分も圧倒されました♪モーターボールの疾走感も迫力ありましたし、第二部がもし実現するなら原作通りモーターボール篇を描いてもらいたいですねぇ^^

Posted by: メビウス | March 28, 2019 08:01 PM

>メビウスさん

リニューアル後初コメントありがとうございます♪ かなり駆け足とは感じましたが、それでも巻数的にはそんなに幅広く扱ってるわけではないんですね。1巻ごとの密度がかなり濃いということなのかな。やはり長編漫画を1本の映画にまとめるのはむずかしいですね

モーターボールのシーンは圧巻でした。アリータを大事に思ってる割にあんな野蛮な競技に送り出してしまうイドさんには「おや?」と感じましたがw

Posted by: SGA屋伍一 | April 01, 2019 10:38 PM

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