モイといえばモイと答える マリヤッタ・クレンニエミ/サーラ・カンテル 『オンネリとアンネリのふゆ』
サンタクロースとムーミンの国、フィンランドで書かれた名作童話の映画化。ふたりの少女の日常と冒険を描いた『オンネリとアンネリのふゆ』、ご紹介します。
それぞれの家庭で面白くない思いをしていた少女オンネリとアンネリは、あることがきっかけで建築家「バラの木夫人」からかわいらしい家を譲られ、そこで二人面白おかしく暮らしていた。
ある雪の晩、バラの木夫人を訪ねて小人の一家がやってくる。なにかとねらわれやすい小人一家を守るため、オンネリとアンネリは夫人が来るまでドールハウスにかくまうのだったが…
実はこの作品、シリーズ2作目にあたります。1作目は昨年6月に公開された『オンネリとアンネリのおうち』。こちらでは公開されなかったので『~のふゆ』を観る前に予習しておこうと思ったのですが結局バタバタしていて観られませんでした。というわけで、ネットであらすじを調べて想像で補いながら臨んだのですがまあなんとかなりました。
こういってはなんですが、オンネリもアンネリもとりわけ目立つところや変わったところがあるわけではなく、ごくごく普通の遊び好きで純真な性格の女の子。強いて言うならばこまめにクルクル変わる衣装がかわいらしい。ついでにふたりのお家の調度品や内装、隣近所の住人たちまでいちいちキュート。そんな風にかわいらしがかっつまった絵本のような映画でした。わたしがとりわけキュンとなったのは例の「モイ!」というあいさつ。うわさには聞いてましたが、お人形さんのような嬢ちゃんたちが「モイ!」「モイ!」と言うのを耳で聞くと萌えずにはいられませんでした。わたしはおっさんですけど実際にこのあいさつ使ってみたいなあ… モイ! モイモイ!! …失礼しました。
そんなかわいらしさにさらに花を添えるのがゲストキャラらしき小人さんたち。その物珍しさゆえ人間に狙われる…というあたりはジブリで映画化された『狩りぐらしのアリエッティ』をおもいださせます。ちなみに『アリエッティ』の原作が1950年代、『オンネリとアンネリ~』の原作が1960年代。『アリエッティ』の方がやや先んじてますが、たぶん偶然重なっちゃったんだろうと思われます。
この小人ら、アリエッティらとは違ってそこそこ文明的な生活をしているのが特徴。いっぱしに自動車まで所有しています。このおもちゃみたいな車がひょこひょこ走り回る様子がなかなかツボでございました。
その小人をねらういわゆる「悪役」となる女性もそんなに悪人ではなく、「もうすこしいい暮らしがしたいな~」と思願ってちょっと暴走してしまうくらいの人。ついでに無駄に美人。自分の過ちにきづくとすぐに反省してしまうあたりがまた心地よかったりします。
このシリーズは全4作を計画しているそうで、たしかちょうど今日から始まったノーザンライツフェスティバルという北欧作品を扱った映画祭で、3作目の『オンネリとアンネリのひみつのさくせん』が上映されてます。こちらは一般公開の予定はなくそちらでの限定上映とのこと(…)。スチールを見たら主演の嬢ちゃんたちがもうすっかり大きくなってました。だもんでいま製作中の完結編ではまたあらたな子役がキャスティングされてるとのことです。いずれこれらも配信かレンタルで観られるようになるのでしょうか。
ちなみに自分がこれまで観たフィンランド映画って何があったかと思って記事検索してみたら『ル・アーブルの靴磨き』『ビッグ・ゲーム』『アイアン・スカイ』くらいしかありませんでした。地方に住んでるとあまり北欧の作品って劇場で観る機会がないのでかかったら積極的に鑑賞していきたいものです。とりあえず次は電話だけで事件を解決するという『ギルティ』というデンマーク映画を楽しみにしております。
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