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January 09, 2019

ワイスピバトルでつかまえて リッチ・ムーア/フィル・ジョンストン 『シュガー・ラッシュ:オンライン』

世界を制覇せんばかりの勢いで次々と力作を贈り続けるディズニー帝国。その最新作は5年前TVゲームを題材にして好評を博したあの映画の続編です。『シュガーラッシュ オンライン』ご紹介いたします。前作の紹介はこちら

前作での出会いと冒険からしばらく後。壊し屋のラルフとレーサーのヴァネロぺはますます仲良しになり、二人は毎晩ゲームセンターの色々な機械に潜り込んで楽しい日々を過ごしていた。だがいつしかヴァネロぺは決められたコースを走ることに退屈を覚えるようになる。そんな彼女のためにラルフは強引に新コースをこしらえるのだが、そのことがきっかけでヴァネロぺのゲーム「シュガーラッシュ」はクラッシュしてしまう。二人は店主が新たに備え付けたWifiを利用して、ネットの世界でゲーム機を修理する方法を探すのだが…

というわけで今回の舞台はインターネット。「物質でない世界を可視化する」という試みはピクサーの『インサイド・ヘッド』でも行われておりました。あちらはあちらですごかったですが、やはりオタクにとっては様々な見知ったキャラがうろつきまわってるこちらの方が楽しい。また普段利用してるあのサービスやSNSがいかにもといった形で表現されていていちいち舌を巻かされました。「どんなに人気を得ようとしても、結局は猫動画がトップ」とかね(笑)

相変わらずのゲームパロディにも爆笑させられました。ディズニーのプリンセスがグランド・セフト・オートのようなバイオレンスゲームに迷い込んだらどうなるか… これがけっこうそれなりに自然に溶け込んでたりして。予告でうざいくらい流されてた「大きな男の人に幸せにしてもらった?」というアレですが、「現代のお姫様は男に頼らなくたって十分活躍できる」ことへの逆説的なギャグだったようです。

さて、以下は結末までネタバレで。

そんなわけで一見にぎやかで愉快そうに見える『シュガーラッシュ オンライン』ですけど、芯の部分は題名とは裏腹に相当ビターでございました。ラルフとヴァネロぺの関係はいろんなものに重ねあわせることができるかと思いますが、自分はやはり「親友」という言葉が一番しっくり来ると思います。その無二の親友が自分とは違うことを望んでいたら?というお話なんですね。このままの安定を望むラルフ。新しい世界へ旅立つことを願うヴァネロぺ。どちらも決して悪いわけじゃないのだけど、ずっと一緒にいることはどちらかに無理を強いることになってしまうわけです。こういうのって現実にも実際にありそうな例ですよね。

で、こういう時つらいのはより深く相手に依存してる方。要するにラルフです。元嫌われ者でかわいくもないおっさんが奇跡的にプリンセスとお友達になれたのですから、そりゃべったりになるのは当たり前でしょう。だけど本当に親友ならさびしくても相手の望みを優先してあげなくてはなりません。そこでトチ狂って親友に執着しすぎると、それこそ友情がぶちこわしになってしまいます。いまなら友達が遠くに行ってしまっても、それこそオンラインでいろいろ使えるサービスもあるわけですし。
…とえらそげに書いてみましたし、それが正しいことは十分わかっているのですが、ラルフの身になって考えるとさびしすぎるしつらすぎる。それでも男は(女も?)耐えなくちゃいけない。こんなシビアな現実をつきつけてくれるとはにくい… にくいぜディズニー…!! エピローグでの様々な悪ふざけはこのさびしさをまぎらわそうという狙いだったのかもしれませんが、全然中和されてねーから!! 思えば1作目も「どんなになりたくてもなれないものがある」というきついテーマだったしなあ~ ここ最近のディズニーの定番であった「一見親切そうな人が黒幕」というパターンから脱却したところは評価しておりますけど。

こんなほろ苦いお話、子供たちにうけるんかいな、と思いましたが、カラフルな世界を愉快なキャラが駆け回るだけで十分楽しめるのか、本作品は日本では公開から3週連続のトップを飾っております。こうなるともう売れたもの勝ちでしょう。いろいろ申しましたが大傑作なことには間違いないと思います。

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Comments

>ラルフとヴァネロぺの関係はいろんなものに重ねあわせることができるかと思いますが

姪がね、おじさんのところに遊びに来なくなる映画ですよ。絶対そう!

Posted by: ナドレック | January 12, 2019 at 03:34 PM

>ナドレックさん

よくもそんな残酷なことが言えますね! ひどい! ふうう… ぼちぼち死ぬか…

Posted by: SGA屋伍一 | January 15, 2019 at 09:34 PM

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