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January 18, 2019

燃えよドラゴ スティーヴン・ケープル・Jr. 『クリード 炎の宿敵』

ようやく今年初鑑賞の映画の感想です。ロッキーの魂を受け継いだ新世代ボクサーの戦いを描いた第二弾『クリード 炎の宿敵』についてだらだらと書きます。1作目の感想はこちら

前作での激闘からしばらく後、ついにアドニスはヘビー級王者の地位を掴み取る。しかし栄光に酔いしれる間もなく、次なる挑戦者ヴィクターが現れる。彼こそはかつてリングの上でアドニスの父、アポロを死に至らしめたイワン・ドラゴの息子であった。復讐心に駆られ挑戦を受けたアドニスだったが、トレーナーのロッキーがその試合を避けることを勧めたため二人の間には溝が出来てしまう。

というわけで前作以上に『ロッキー4(炎の友情)』をひきずっている本作品。『4』は「アメリカ万歳! すばらしいUSA!」という感じで作られた映画でしたが、あれから30年。スタローンもだいぶ心境に変化が生じたのか、そういったプロパガンダとは無縁の、ライバルの心情にもだいぶ寄り添ったストーリーとなっていました。復讐に燃えるアドニスをやんわりとたしなめるロッキー。リングにあがる目的はもっと崇高で純粋なものでなくてはならないということでしょうか。「ボクシングは相手を憎んで憎んで憎み切らないとやってられないスポーツ」なんて話も聞きますが。ともあれ亡父の後を追ってボクサーになったアドニスは『がんばれ元気』を、厳父に鍛えられて同じ道を歩むヴィクターは『巨人の星』を連想させて少年漫画ファンとしては燃えるところです。

パパドラゴを演じるのはもちろん『4』と同じくドルフ・ラングレン。たしかこのあと『レッド・スコルピオン』というランボーみたいな映画で「スタローン、シュワルツェネッガーに次ぐ第三の筋肉スター!」みたいな売り方をされてましたが、ヴァンダムと共演した『ユニバーサル・ソルジャー』以外はそんなにぱっとした活躍がなかったような。あと何気にアメコミ映画がほとんどなかったころに『パニッシャー』を演じたりもされてますね。若いころはしゅっとした美青年でしたが、その後厳しい人生を歩まれたのか『エクスペンダブルズ』ではすっかり怪獣みたいな顔つきになってしまいました。まあその方がますます星一徹っぽくてよかったと思います。

主演のマイケル・B・ジョーダンも変わらぬ…というか『ブラックパンサー』のキルモンガーを経たせいか一層ファイターとしての凄みを感じさせてくれました。『クロニクル』『ファンタスティック・フォー』のころのガリベン優等生の面影はもうありません。彼の忍耐し、躍動し、鍛錬する筋肉がただひたすらに美しい。その肉体だけでも観る価値はある映画です。

以下はラストまで完全にネタバレしてるのでご了承ください。

わたくしボクシング映画・漫画の傑作には、敗者を美しく描いたものが多いと思うのです。6作中もっとも評価の戦い『ロッキー』1作目がそうですし、『クリード チャンプを継ぐ男』もそうでした。漫画でいうなら『あしたのジョー』がありますし、初期の『はじめの一歩』も敗れていったライバルたちを本当に魅力的に描いていたと思います。やっぱり栄光をつかんで超ハッピーに終わる話より、負けはしたけど全力を尽くして悔いなく静かにリングを去っていく姿の方が心に残りやすいのです。
本作品でいうと前半こそ「敗者」はアドニスなので彼を俄然応援したくなるわけですけど、ドラゴ親子のなめた辛酸や負けられない事情が伝わってくると、なんだかライバル側にも肩入れしたくなってきてしまいました。もうどっちも勝ち…というかドローでいいじゃん!と。しかしストーリーの構造上ヴィクターがもう一度勝つことはないのです。二度までも母に裏切られたヴィクターの哀しげな表情を見た時、「いやー、今回は泣くまででもないかな」とか思いながら観てたのに突然鼻水がブシュッとロケット噴射してしまいました。あと勘違いかもしれませんが、お母さんがそんなにも簡単に自分を見限ったのに対し、アドニスが逃げずに真摯に向かい合ってくれることがすごく嬉しくなったのでは。そんなことを想像したらさらに鼻水が爆散してしまったのでした。

監督が変わった二作目というのはダメダメになることが多いですが、『クリード 炎の復讐』はこの例にあてはまらなかったようです。よかったよかった。スタローンは次は終わったはずの『ランボー』やシュワとの共演作『大脱出』の続編が待機している模様。ドルフさんには来月早くも『アクアマン』で再会できます。お二人ともまだまだ元気いっぱいで頼もしいかぎりですね!

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Comments

こんにちは。
「燃えよドラゴ」は正に言い得ていて!
本作、ドラゴ父子のストーリーが素晴らしかったと思います。
個人的には、ラストラウンドでドラゴ父の取った行動が、本作のメーンイベントをかっさらっていったと思っております。

Posted by: ここなつ | January 23, 2019 at 12:55 PM

ドドドド、ドルフさん、アクアマンに出るの?

Posted by: ふじき78 | January 26, 2019 at 12:36 AM

>ここなつさん

おっしゃる通りだと思います。また父子二人でがんばればいいじゃない!と思いました。そしてお母さんのなんと憎たらしいこと…

Posted by: SGA屋伍一 | January 27, 2019 at 08:19 PM

>ふじき78さん

ドルフさん、ノリノリですねえ。波にも乗ります(たぶん)

Posted by: SGA屋伍一 | January 27, 2019 at 08:20 PM

SGAさんこんばんわ♪

やっぱり自分もずっと昔にロッキーシリーズを観てからでしょうか、ボクシングの作品は映画でも漫画でも勝利するという最終的な結果の方じゃなく、そこに至る過程のようなものに胸が熱くなるのを感じたりする方かもしれませんね。
試合に臨むまでの各々のドラマであったり過酷なトレーニング風景であったり、試合も勝敗よりネバーギブアップな精神で立ち上がっていく所とか・・そういった目頭がグッときてしまう展開が本作にもまたたくさん盛り込まれていて好きでしたし、アドニスだけじゃなく相対するドラゴ親子の境遇も丁寧でしたから、結果両者を応援したくなる演出にしてるのもとても良かったと思いました^^

Posted by: メビウス | January 28, 2019 at 08:02 PM

>メビウスさん

たしかにロッキーシリーズは特訓風景が大事ですよね。自分が特に印象に残ってるのはやはり冷蔵庫でロッキーが牛肉をサンドバックのように殴るシーンです
よくできたスポーツ漫画には練習風景が面白いものが多かったり、ライバルにも肩入れしたくなるものが多いですよね。そんなところが少年漫画ファンにはたまりませんでした!

Posted by: SGA屋伍一 | January 28, 2019 at 10:07 PM

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