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December 31, 2018

2018年、この映画がアレだ!

平成最後の年末もいよいよ最後の日となりました。それでは年末恒例の当ブログの映画ベスト参ります。ベストと言いつつワーストからいきます(笑)

☆ワースト1位:『パーティーで女の子に話しかけるには』
ワーストというほど嫌いじゃないく、「すっかり置いてけぼりになった」くらいの映画です。そしてこれのほかに大ハズレが思い浮かばなかった。よい年でした。

続きまして「はっきりよかったとは言いづらいけどなんか賞をあげたい」という「えこひいき賞」の発表です。

☆えこひいき賞:『音量を上げろタコ! なに歌ってんだか全然わかんねぇよ!!』
そこそこひどい映画でしたが妙に気に入ってしまったところも多く。特にあいみょん作詞作曲の主題歌がようございました。「えこひいき賞」はほかに仮面ライダービルド関連3作、コードギアス総集編2作、アニメ版GODZILLA2作などが候補に挙がりました。

でははっきり「良かった」と言える35本、駆け足で発表いたします。

35位:『ニンジャバットマン』 合体合体合体合体!!
34位:『マジンガ―Z INFINITY』 拘束されたマジンガ―がピンチを切り抜けるシーンに1万点
33位:『来る』(来年レビュー予定) 来る! きっと来る!
32位:『オンリー・ザ・ブレイブ』 行こう! 行こう! 火の山へ!
31位:『リメンバー・ミー』 ご先祖は大切に!
30位:『スカイスクレイパー』 今年のベストすかっとしたセリフ大賞「それはできない。俺は○○だ」
29位:『アントマン&ワスプ』 アベンジャーズを救うのはアントマンだって信じてる
28位:『ブラックパンサー』 男同士のキャットファイト!!
27位:『女神の見えざる手』 ジェシカ様ヒールで踏んで!
26位:『タクシー運転手 約束は海を越えて』 本年度マイベスト韓国映画!
25位:『判決、ふたつの希望』 暴言にはパンチを。パンチには親切を
24位:『search/サーチ』 教えてグーグル!
23位:『ムタフカズ-MUTAFUKAZ-』 『HANAGATAMI』と一緒に観て満島真之介氏のすごさに触れてほしい
22位:『ちはやふる 結び』 さよなら、机くん、肉まんくん、ヒョロくん…!!
21位:『イコライザー2』 デンゼル先生の熱血殺人授業!
20位:『若おかみは小学生!』 これを招待作品に呼べなかったことが「熱海国際映画祭」最大の敗因ではないかと
19位:『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』 初代ファミコンのドット絵が一番落ち着く世代です。
18位:『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』 本年度ベストオープニング映画。大ゴケなんか気にするな!
17位:『メイズランナー 最後の迷宮』 もうメイズとか迷宮とかあんまし関係ないんですけど感動したから気にしません
16位:『シュガーラッシュ オンライン』(来年レビュー予定) ネットは広大だわ…
15位:『機動戦士ガンダムNT』 宇宙世紀の空白を埋めていけ!
14位:『インクレディブル・ファミリー』 信じてたよ、ブラッド・バード… いんくれーでぃぶる いんくれーでぃぶる
13位:『僕の名前はズッキーニ』 本年度ベストコマ撮りアニメ。コマ撮りなのに大人向けでビター
12位:『シェイプ・オブ・ウォーター』 デルトロさん、オスカーおめでとう。半魚人だっていいじゃない!
11位:『ハン・ソロ』 「スターウォーズ初のコケ作品」とか言われてるが俺は好きだ! ただもう少し間隔はあけよう!
10位:『ボヘミアン・ラプソディ』 まさか2018年に町中でクイーンの曲がなりひびくことになろうとは… すげえぜ!
9位:『スリー・ビルボード』 今年のハレルソンはすごかった…!!
8位:『ピーターラビット』 ほのぼの童話の皮をかぶった、狂人と凶獣の激闘。怖ええぜ!!
7位:『いぬやしき』 「ちょっこー、お前、本当変わらないよな…」のくだりが本当に好き
6位:『泣き虫しょったんの奇跡』 『来る』とはあまりにも違いすぎる松たか子がすごい!
5位:『カメラを止めるな!』 この映画はね、もう祭りですよ祭り… ワンツースリフォ止めないで~♪
4位:『レディプレイヤー1』 まあこれは実質『アイアンジャイアント2』なので… 俺はIGで行く!
3位:『デッドプール2』 奇跡の『グリーンランタン』再評価映画。黒歴史があるから今の君がいる!
2位:『パディントン2』 モフモフモフモフしやがって… モフモフっていいよね…!

そして栄えある第一位は
91in1gvohhl__sx342_『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最期ノ審判』でした。
これもまああまり人にはすすめられない映画なのですが、テレビシリーズシーズン1からひっくるめての愛情が暴走してこうなりました。気になる方はどうぞamazonプライムでごらんください…!
ちなみに今年物議をかもした『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』に関しては評価を保留といたしました。来年公開の『エンドゲーム』を観てから真価を定めたいと思います。

来年もアメコミ映画を中心に見たい映画がドサドサ予定されております。がんばって生きましょう! それでは2019年もどうぞよろしく~

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December 29, 2018

第15回SGA屋漫画文化賞

2018年もあと2日とちょっと。恒例の漫画ベストと映画ベストをもって〆たいと思います。本日は漫画ベストの方を。第15回SGA屋漫画文化賞参ります。賞金も賞品もありません。むしろくれ。

2018c1☆少年漫画部門:ゆうきまさみ 『究極超人あ~る』

リアル中二のころ夢中になったあ~る君が30年ぶりに帰ってきたとあったら、そりゃ受賞させないわけにはいかないでしょう。
それにしてもあ~る君も登坂先輩もほんと変わんないねえ。その辺に安心したり、自分だけがオヤジになってしまったことがちょっとさびしかったり、
ゆうき先生、またちょこちょこ読みきりで続き描いてくださいねー


2018c2☆少女漫画部門:吉田秋生 『海街diary』

二年連続受賞であります。理由は他の少女漫画をほとんど読んでないのと、12年に渡る連載がめでたく完結されたので。
いやあ、すげえあっさり終わりましたが、それがかえってよかった。あと巻末の番外編的な短編「弟」も胸にしみじみと沁みいるお話でした。
吉田先生はもう1作鎌倉を舞台にした作品を構想されてるそうで、そちらも期待してます。


2018c3青年漫画部門:ちばあきお・コージィ城倉 『プレイボール2』

昨年は少年漫画部門でしたが、今年はこちらで。
ついに始まった谷口君最後の夏大会。今年もっとも続きが楽しみだった漫画。
「ちば野球漫画」を忠実に再現しながらも、現代的な見方も取り入れてあるのが興味深いです。

青年系では他には『キングダム』『ゴールデンカムイ』『銀河英雄伝説』といったヤンジャン系が相変わらず熱いです。


2018c4☆中年漫画部門:原作:萩原天晴・漫画:上原求、新井和也・協力:福本伸行 『1日外出録ハンチョウ』 

これまた2年連続受賞。今年も辛いとき悲しいとき、わたしのささえとなってくれたのはこの漫画の「いかに物事を楽しむか・いかに楽しみを見つけるか」というスピリッツでした。ああもう、大槻さん抱いて…!!
オヤジ系漫画ではやはり福本関連の『新・黒沢』が熱い展開になってきております。あとここ数年楽しみにしてた『銀牙 THE LAST WARS』が終わってしまってちょっぴりショック。


2018c5☆その他部門:矢部太郎 『大家さんと僕』

芸人が描いた漫画が手塚治虫文化賞とはなにごとじゃーーーーーい!! と斜に構えた姿勢で読み始めましたが、最後まで目を通して納得…というか降参いたしました。
大家さんと矢部さんのコンビは『こぐまのケーキ屋さん』の店長&店員さんとよく似ています。大家さんが強風にさらわれそうになるとこなんか特に。

その他系では安達哲先生の『総天然色バカ姉弟』の新刊が出たのもよかったっす。


2018c6☆邦訳部門:ピーター・J・トマシ, ホルヘ・ヒメネス 『スーパーサンズ』


スーパーマンの息子ジョンとバットマンの息子ダミアン。何から何まで対照的な二人が角突き合わせながら繰り広げる冒険コメディ。それをサポートする二人の父ヒーローのやり取りがまた面白い。
今年読んだ邦訳アメコミは他に『バットマン:ザ・ラストエピソード』『バットマン/フラッシュ ザ・ボタン』『バットマン メタル・プレリュード』など。バットマン関連ばっかりじゃー


2018c7☆アニメ部門:雨宮哲 『SSSS.GRIDMAN』

25年前ごくごく一部で人気を博した特撮ヒーロー『電光超人グリッドマン』が、平成も終わろうといういまこの時にアニメになって帰ってきた…!
このアニメは何を語ろうともネタバレになってしまうので、興味ある方はさっさとネトフリに入ってごらんください…! 『ウルトラマンネクサス』『仮面ライダーW』などを手がけてこられた長谷川圭一先生の最高傑作であります。

アニメでは他に超珍作の『ポプテピピック』やあの名作のリメイク『デビルマンcry baby』が印象に残っております。


2018c8☆大賞:徳丸正弘 『もっこり半兵衛』

下ネタ漫画を得意としておられた徳丸先生がギャグセンスはそのままに江戸の人々の情愛や哀感を高らかに歌い上げた傑作時代劇漫画。
特に2巻冒頭の「伊助の武芸指南」が大変素晴らしく、シンプルながら交わされる会話の一つ一つが力強くかつ切ないエピソードでした。思い出しただけでも鼻水が垂れ流れます… チンコネタが苦手でなければ自信を持っておすすめいたします。

本年もいっぱい面白い漫画に出会えて感謝。来年も積極的に面白き漫画を発掘していきたい所存にございます。では。


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December 25, 2018

ニュータイプの涅槃が見られるか 富野由悠季・福井晴敏・吉沢俊一 『機動戦士ガンダムNT』

そういえば『00』が終わってからめっきりガンダムについて書かなくなってしまいましたが、今でも自分は普通にガンダムが好きです。『UC』や『鉄血のオルフェンズ』もかなりはまって観てましたし… そのガンダムの映画が微妙な距離(車で1時間半)の劇場でかかると知り、年末の忙しい時期マイカーを飛ばして観に行ってまいりました。『機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)』ご紹介いたします。

地球の支配階級と宇宙に移民させられた人たちの対立がつづく近未来。度重なる戦火や極限状況はやがて一部の人間を新たなる種「ニュータイプ」へと進化させていく。そしてそのニュータイプの精神に感応して動くマシン「サイコフレーム」は超常の現象まで引き起こし、世界を震撼させる。奇跡を呼び起こした機体「ユニコーンガンダム3号機フェネクス」の力を手に入れるべく争奪戦を繰り広げる各勢力。その中にはフェネクスのパイロット・リタと幼少時を共に過ごしたヨナ・バシュタとミシェル・ルオもいた。

「ナラティブ(NARRATIVE)」とは「物語」「神話」という意味があるそうで。副題の「NT」はそれと、宇宙世紀ガンダムの重要なキーワード「ニュータイプ」をひっかけてるものと思われます。

で、この度の新作、やはり原作を福井晴敏氏が手掛けた『UC』の後日談的な意味合いが強く、補完能力の強い方ならいきなりこれを観ても大丈夫でしょうけど、できたら『UC』を先に観てから臨んだほうがよいかもしれませんん。他にも『Z』や『逆襲のシャア』などからの引用もいろいろあり、宇宙世紀ガンダムを知ってれば知ってるほど楽しめる作りになっております。

それほどまでにガンダムを愛している福井氏ですが、宇宙世紀の創始者富野由悠季監督とは違う独自の道を歩み始めている気もします。まず富野監督との大きな違いのひとつはセリフが普通によくつながってる(笑) 富野監督のセリフ回しって会話になってんだかなってないんだかよくわかんない感じですしね… それがひとつの味でもあるんですけど。もうひとつは大人たちが概ねちゃんとしているということ。『NT』では子供を人体実験するひどい大人も出てきますが、『UC』と同じく主人公を心配して健全な道を歩ませようとしている大人たちもちゃんといます。富野作品では若者と一緒にフラフラしてる大人が多かったからなあ。

そして富野監督が見切りをつけた「ニュータイプ」について蒸し返してる…じゃなくて、もう一度ちゃんと取り組もうとしてる点。御大は途中で「人類の進化が明るい未来をもたらす」というテーマに行き詰まりを感じてしまったのか、『F91』以降は前面に出さなくなってしまいました。しかし初代ガンダムから付き合ってる我々としては、やはり宇宙世紀ガンダムにはこの要素がないと物足りなく感じてしまいます。

ちなみにニュータイプの能力についてどんなだったか振り返ってみると、初代のころは「人一倍勘がいい」くらいのものだったと思います。それが『Z』『ZZ』になるとモビルスーツに半端ない出力を放出させたり、死者の精神を呼び寄せたりすることもできるようになりました(笑) そして『UC』に至るとサイコフレームの力もあって、神に近い存在にまでなり、周囲一帯の艦隊を無効化することさえ可能になりました。まさにニュータイプ能力のインフレ化が止まらないような状態になっております。
今回の『NT』では、「ニュータイプなら肉体が滅んでも精神だけ永遠に存在できるのでは」というところにスポットがあてられています。なんかかつて『銀河鉄道999』でも問われたような問題ですね(なつかしいなあ)。福井さんはその危険性と希望の両方を説き、結局「どっちやねん」という状態で幕を引きます。ずるいですね! 

なんかいろいろdisってるような文章になってしまいましたが、主人公3人の哀れな境遇や強い絆にはけっこう鼻水垂らしてたりしてました。自分、なんだかんだ言って福井節にはかなり弱いもので… そういえば超能力を持つゆえに虐げられる子供たち、というモチーフは『終戦のローレライ』にもあったなあ。あれも『Zガンダム』の「強化人間」にインスパイアされたアイデアだったんですかね。
メカ戦においてもいっぱいサービスしていただきました。懐かしのディジェにはじまり、着たり脱いだりと忙しいナラティブガンダム、ラスボス感たっぷりのセカンドネジオングに、ユニコーンガンダム1号機にも増して神がかってるフェネクスとキャラ立ちまくりのモビルスーツ群がスクリーンを彩ります。

さて、このままニュータイプの影響力が強まると時代的に後に位置する『F91』とはつながらなくなりそうですが、サンライズ的にはその辺どう処理するのか? その答えは来年から始まる『閃光のハサウェイ』3部作で知ることが出来そうです。『Zガンダム』以上に暗いと言われるこの作品、果たして我々の胃は耐えられるのか… た、楽しみですね!

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December 24, 2018

スパイダーマン×スーパーマリオ デビッド・ロバート・ミッチェル 『アンダー・ザ・シルバーレイク』

2018年もあますところあと一週間… わたしが最後に映画館で観た実写洋画はこの作品になりそうです。『アンダー・ザ・シルバーレイク』ご紹介いたします。

ロサンゼルス市で一際おしゃれとされているシルバーレイク地区。そこで特に目的も仕事もなくダラダラと過ごしている青年サムは、ある日同じアパートに住むサラといい雰囲気になる。だがその翌日サラとそのルームメイトたちは忽然と姿を消してしまう。サムは彼女の消息をつかむためにあちこち動き回っているうちに、シルバーレイクの裏に潜む上流階級の企みに近づいてしまう。

ロサンゼルスといえばハリウッドがあって華やかでセレブ達が集う街…というイメージがあります。しかし本当のセレブ達は一部で、普通に貧しいひとたちもそこでは暮らしているようで。この映画に登場するサムの境遇は『ラ・ラ・ランド』より低く『フロリダ・プロジェクト』よりは多少マシ、といったところです。というかまず真面目に働こうとしないのがあまりよろしくないw

支配階級の陰謀に自分一人が気づいてしまった…というサスペンスはちょくちょくあります。日本でいうと代表的な例は『20世紀少年』などでしょうか。で、そういう話の主人公はそれなりにかっこよかったりカリスマ性があったりするものですが、この映画のサムは本当にだらしないしボンクラだし老人や子供にも容赦しないし、長所がほとんどありません。強いてひとつあげるなら多少見てくれがいいので女の子が自然と寄ってくることくらいでしょうか(腹立たしい)。あと一般の陰謀サスペンスと比べると組織側の追及もいまひとつゆるい。アパートの家賃の取り立ての方が厳しいように思えました。

いってみればとても中二的なストーリーであるわけですが、中二になりきってるというのではなく、かつての中二的な自分を冷ややかに温かく(どっちなんだ)見つめてるような姿勢を感じました。監督もかつてはロスの片隅で将来にめどが立たず悶々としてるような青年だったのかもしれません。
あとウンコとかオナニーと下ネタも出てくるのですが、あまり汚くかんじられず、全体的にオシャレ感の方が強く残ったのは監督のセンスゆえでしょうか。ダニー・ボイル監督の『トレインスポッティング』とその辺似ております。

そんなボンクラ―を演じるのは『アメイジング・スパイダーマン』や『沈黙』『ハクソー・リッジ』などで知られるアンドリュー・ガーフィールド。真面目で苦悩してひたむきにがんばる役が多かったですけど、そういうのに疲れたのか今回は180度違う極めてええかげんなキャラを好演してました。劇中ではコミックのスパイダーマンを手に取るシーンもあり皮肉が効いてました(笑)。

ちなみにわたしがこの映画を観ようと思ったのは、予告で主人公がスーパーマリオに興じていたから。流麗なCGが幅を利かしているこの時代に元祖ファミコンのスーパーマリオですよ。まるでこないだミニファミコンを購入した自分のようで、すごく親近感を覚えたのですね。いまでもあちらでは人気があるのか、それとも単に監督のひいきなのか。
いずれにせよそんなスーパーマリオの引用にもちゃんとした理由があって驚いたり嬉しかったり。それだけにとどまらずニンテンドーが物語のカギを握っていたりしてたまげました。この世界を裏から動かしているのは任天堂なのかもしれません。微妙に説得力あるような… 恐ろしいですね! 今年の正月はその某社の百人一首にでも興じながら日本を取り巻く陰謀について考えてみようと思います。それともやっぱりスーパーマリオの方が楽しいか…

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December 18, 2018

続・ムツゴロウVSジョニー・デップ J・K・ローリング デビッド・イェ―ツ 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』

『ハリー・ポッター』と地続きとなる「魔法ワールド」の第二シリーズ。不思議動物を探して世界を旅するスキャマンダ―先生が2年ぶりに帰ってこられました。『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』、ご紹介します。1作目の感想はこちら

アメリカでの活躍からしばらく後、有名人になってしまったニュート・スキャマンダ―は苦労してとらえた悪の魔法使いグリンデルバルドが脱走したことを知る。無関係を決め込もうとしていた彼だったが、恩師の大魔法使いアルバス・ダンブルドアに頼まれて渋々グリンデルバルド追跡の旅へ赴く。一方かつての友ジェイコブは実らぬ恋に悩んだ相愛の人クイニ―に魔法をかけられて、自我を失った状態になってしまっていた…

好きな研究にだけ打ち込んでいたいのに、才能を買われて表舞台に引っ張り出されてしまうニュートさん。まるで『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーのようです。
それはさておき、前作の『魔法使いの旅』は1作だけで十分の完成度をもった作品でした。こう言ってはなんだけど、あのまま終わってしまってもそれはそれで後のことは十分想像つきそうだったし。
ところが今回の『黒い魔法使い~』は思いっきり「シリーズ」を念頭に置いた作りになっています。登場人物はさらに増えて入り乱れ、それぞれの関係も錯綜したりこじれたりして、いきなりネタバレですが様々な不安を残して「この後は続編で!」って形で終わってしまいます。特に気になったのはジェイコブとクイニ―の悲劇…になるのかな。二人そろって1作目でフェードアウトしてくれればそれなりに希望を抱けたのに… 2018年は前の暮れから続いてた『最後のジェダイ』に『キングスマン:ゴールデン・サークル』、さらに『パシフィック・リム/アップライジング』や『アベンジャーズ:インフィニティーウォー』など、「シリーズ化するということはキャラの不幸が増すこと」という現実をまざまざとつきつけられた年でした(デッドプールやパディントンのような例外もありましたが)。残りのあと3作でなんとかハッピーエンドにこぎつけてほしいものですが、ハリー・ポッターでどんどん話を暗い方向へ持っていったローリング先生なのでその点どれほど期待できるか。

愚痴はこれくらいにして、今回あらためて気づいた点をふたつほど。
ローリング先生はファンタジー作家でありながらミステリーも大変お好きなようで、全作に必ずといっていいほど「隠された真実」「意外な展開・犯人」「周到な伏線」というものが見られます。この映画で言うなれば「クリーデンスの本当の親は誰か?」というもの。クリーデンスは前作で爆死したように見えたんですけど普通に生きてました。
あとミステリーといえば邦題も意味深です。「黒い魔法使い」とは一体誰のことなのか。グリンデルバルドはとっくに誕生してるし、ヴォルデモードはまだ生まれてない。となると大体予想がついてしまいます。

もう一点はこの「魔法ワールド」の中心にはダンブルドア先生がどーんといらっしゃるということですね。ハリポタとファンタビを最も強くつなげているのは彼以外にいませんし。スターウォーズというところのダース・ベイダ―のような、ちょっと違うような。もう「魔法ワールド」というより「ダンブルドア・サーガ」とでも言った方がしっくりきます。ファンタビ五部作が完結したら(気が早いよ)、今度は少年ダンブルドアの冒険でも始まりそうな気がしてなりません。

三作目はこのまま欧州でさらに激しいバトルが始まりそうな感じでありましたが、ローリング先生によると次の舞台は南米なんだそうです。ミイラとかケツァルコアトルとかチュパカブラとか登場しそうで楽しみですね! 一応また再来年公開予定だそうです。

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December 12, 2018

ル・アーヴルのワンツーパンチ サミュエル・ジュイ 『負け犬の美学』

ボクシングというとなんとなくアメリカのスポーツ、というイメージがあります。ボクシング映画も大概は米国製ですし。ですが先日珍しくフランス製のボクシング映画が近場で公開されたので観に行ってきました。『負け犬の美学』、ご紹介します。

40代でいまだ現役のボクサー、スティ―ブは敗戦が続いていたが、引退する踏ん切りがなかなかつかないでいた。そんな折、最愛の娘のためにピアノを買ってあげようと決意したスティ―ブは、欧州チャンピオンのスパーリングパートナーに強引に志願し、まとまった金を得ようと奮闘する。

舞台はル・アーブル。少し前カウリスマキ監督の作品で『ル・アーヴルの靴磨き』というのがありましたが、たぶん同じ町です。『ル・アーヴル~』ではなんとなく寒々としたひなびた印象がありましたが、こちらは時代と多少場所が違うのか取り立てて派手でもないけど、それなりにひらけたにぎやかな感じで描かれておりました。

ボクシング映画というか格闘技映画には2通りあると思います。ひとつは自分の夢や求道のために格闘技をやる作品。もうひとつは家族(特に息子・娘)のためにお父さんががんばるタイプの映画です。どういうわけか今年は『パパは悪者チャンピオン』『ファイティン!』とそんな作品が続いてしまいました。ボクシングに限って言うと少し前ジェイク・ギレンホール主演の『サウスポー』というのがそうでした。そしてこの『負け犬の美学』もそっち側の映画です。
で、ボクシング映画における主人公というのはかなりの確率でチャンピオンの座を狙うものですけど、スティーブはちいともそんなことは考えてません。年も年ですし、負け試合も多いですし。じゃあなぜこんな痛いスポーツを続けているかといえば、やはり好きだからということと、「お嬢ちゃんの憧れる自分でありたい」という動機があるかと思います。それは日本だろうとフランスだろうと関係ない、どこの父親も抱くごくごく普通な感情なのでは。こういうシンプルな親子の絆を微笑ましく描いたわかりやすさはフランス映画らしからぬ気がします。逆におフランスらしかったのは、スターじゃなくてどちらかといえば底辺の方のボクサーを、日常生活含めて淡々としみじみと描き出してるところでした。スポ根的な熱さは感じられませんでしたが、こういう「知られざる格闘選手」たちの物語も地味に胸を打ちます。

おフランスの人ってお洒落第一で汗をかくことを嫌い、ワイン片手に「トレビア~ン」とか言ってるようなイメージがありましたが、もちろんそんな人ばかりでなく、不器用に家族のためにがんばる人もいるのだな…と感じ入りました。
ボクシング映画は来年の年明け早々に『ロッキー』シリーズの最新作である『クリード2』も控えております。こちらは王道中の王道的なジャンル映画になりそう。やっぱり楽しみです。

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December 11, 2018

闇肉街で生きる ギョーム・“RUN”・ルナール/西見祥示郎 『ムタフカズ-MUTAFUKAZ-』

Mfk1日本製アニメとしてはかなり異彩を放っていた『鉄コン筋クリート』。そのスタッフがまたなかなかヘンテコそうな作品をこしらえたので先日観てきました。『ムタフカズ』、ご紹介します。

掃き溜めのような街「ダーク・ミート・シティ」で親友ヴィンスと暮らす青年アンジェリーノ(リノ)は、不真面目ではないのだが不幸を呼ぶ体質らしく、どんな仕事もすぐ首になってしまう。ある日ピザの配達中女の子に見とれていたリノは車と激突。怪我は大したことなかったが、それ以来彼は人に化けて街に潜んでいる怪物たちを見分けられるようになってしまう。

と書くとそれほど珍しくもないSFジュブナイルのようですが、変わっているのはメインとなるリノとその二人の友人も外見的には人間でないところ。リノは多少かわいらしいヴェノムのようですし(上画像参照)、ヴィンスは燃える骸骨(中画像参照・ゴーストライダーかよ!)、ウィリーはどうやらコウモリっぽいのですが翼もないし謎の生き物としかいいようがありません(下画像参照)。Mfk2ですが町の人々は彼らを見ても別段驚きません。ドラえもんやオバQが歩いていてもあの世界では普通に受け入れられてるような、そんな感覚なのかもしれません。ちなみに「ムタフカズ」とはヒスパニック系ギャングのスラングだそうで、人間ではないっぽいですが、ルチャ・リブレとナチョスを愛好してるのを見ると彼らも一応メキシコ系の若者のようです。

そんなゆるキャラのような3人が宇宙人の陰謀に巻き込まれ、ギャングたちの抗争にも関係し、ルチャ・リブレの神話にも関わったり、若者らしい恋や友情のドラマもあり…はっきり言ってかなり詰め込みすぎです。にもかかわらずあんまりそれがうっとおしく感じられなかったのは、ひとえにポップな美術背景とそのゴチャゴチャ感がマッチしてたからでしょうか。フランスの作家がメキシコ系アメリカ人を描き、日本人スタッフが映像化という多国籍な製作環境もいい感じのごった煮感に貢献しております。あと相当バカバカしい話でありながらリノやヴィンスの友を思う気持ちにはホロリとさせられました。

Mfk3自分がなんとなく気にいってしまったのは謎の生き物のウィリー。うるさいし小ずるいしブサイクなデザインなんですが、どうしてかかわいそうな目にあってるともらい泣きしそうになってしまいました。声を演じるは『花筐』での好演が印象的だった満島真之介氏。あちらではにおい立つような男の色気を放ちまくっておりましたが、こちらではすっぱだかの珍獣を違和感なく演じた上にEDではラップまで披露していて芸達者だなあ…と感服いたしました。

あんまり話題にもならずにどんどん公開も終わりつつあるようですが、気になった方はこちらの予告編をご覧ください。陰謀に巻き込まれた貧乏青年の映画と言えば先日『アンダー・ザ・シルバーレイク』というのも観ました。こちらについても近々書きます。


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December 07, 2018

ミッション・インテリジェンス シドニー・シビリア 『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』

半年ほど前好評を博したイタリアン・コメディの続編が早くも公開。前作は少々都会と時間差がありましたが、今回は時差なしで観られました。『いつだってやめられる 闘う名誉教授たち』、ご紹介いたします。前作の感想はこちら

麻薬組織の摘発の途中、ある人物のテロ計画に気づいてしまったピエトロたち。だが彼らは協力者の女警部に裏切られてまたしても刑務所に入れられてしまった(ここが前作のファーストシーンでもありました)。ピエトロは各地の刑務所に散らばってる仲間を集め、脱獄してテロを未然に防ぐ作戦を立てる。かくして不良教授たちの最後のミッション・インポッシブルが始まる。

先の記事にも書きましたが、これ実はシリーズの3作目にあたります。2作目『10人の危ない教授たち』はそれなりに全国公開されたので鑑賞できましたが、1作目『7人の危ない教授たち』は限定公開の上ソフトも未発売だったので結局いまにいたるまで観ておりません。今回どうも1作目で主人公たちとやりあったらしいキャラが重要なポジションで出てくるのですが、この度もなんとか想像で補いました。そしてなんとかなりました。

で、『闘う名誉教授たち』のひとつのウリは「脱獄モノ」であることですね。厳重にハイテクで警護された監獄から、目立つむさくるしい10人もの男どもがどうやって脱獄するのか。とても不可能に思えるこの命題を、頭脳とお笑いでなんとか実行していきます。IMFのようにスマートにかっこよくではなく、思ったようにうまくいかないながらも強引にずっこけながらクリアしていくところが面白かったです。
そんな素っ頓狂なメンバーは2作目の公式サイトでチェックすることができます。うむ、それぞれちょっとくどめで個性があり見分けやすい。

ここで意外だったのがピエトロのメタボな女房役アルベルトの堂々たる歌唱力。ラリッてる分析官としてのイメージしかありませんでしたが、中の人は歌手としてもそれなりのキャリアがあるようで。歌唱力がどうして脱獄に必要なのか?ということは本編を観てご確認ください。

今回はそういったドタバタの他に、イタリアの教育に対する政府への批判も込められています。なんかいま彼の国では大学や研究施設への予算がどんどん削られているみたいで。ピエトロが大学をお払い箱になったのもその影響ですし、さらに陰謀の首謀者がテロを企てた理由もそこに起因しております。この映画は本国で大ヒットしたようなので、そうした問題も改善されるとよいのですが…

以下は結末までネタバレしておりますのでご了承ください。

協力と奮闘の末になんとか目的を果たした教授たち。夕焼けをバックにさわやかにム所へと戻っていきますが、彼らかなりの確率で懲役は免れないものと思われます。事情があったにせよ、刑務所の壁ぶち壊して脱獄してるわけですからw まあメンタル面でしぶとそうな彼らのこと、これからもタフに愉快に生きていくのでしょうけど、せっかくあれだけがんばったのになんとも気の毒です。それとも女警部が力添えしてくれてなんとか赦免してもらえるのか。その辺のことは想像するしかありません。

あとこの映画に限らず最近の洋画の傾向として、「事件を無事解決しても元奥さん、元恋人とよりが戻るところまではいかない」というのがあると思います。険悪なムードではなくなるものの、これからは良い友達としてお互いの道を行きましょう、みたいな。以前は主人公のかっこよさにほれなおして元のさやにおさまる、というパターンがほとんどだったと思うのですが。まあこれに関しては今の流れの方が好みなんでべつにいいです。

『いつだってやめられる』3部作は12月の14日から20日まで全作がアンコール上映されるようで、近場の方はその間にコンプリートすることが可能になりました。地方の私はちょっと行けそうにないので年明け早々に出るというDVDか配信を待ちます。


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December 05, 2018

永遠なる女王様 ブライアン・シンガー/デクスター・フレッチャー 『ボヘミアン・ラプソディ』

Drm1主に1970年代から80年代にかけて活躍した伝説のバンド「クイーン」。そのクイーンの足跡をたどった映画が2018年の今日本でも大ヒットしております。本日はその『ボヘミアン・ラプソディ』についてダラダラと書きます。

1970年英国。空港で働く青年ファルーク(後のフレディ・マーキュリー)は音楽にのめりこみ、押しかけのようにしてブライアン・メイとロジャー・テイラーが組んでいたバンドに加わる。もう一人ジョン・ディーコンを加えたバンドは「クイーン」と名を改め、瞬く間にスター街道を驀進。世界各地でコンサートを重ね、さらに不朽の名作「ボヘミアン・ラプソディ」をリリースする。この世の栄華を極めたかに見えたクイーンだったが、フレディは人知れず孤独と己のアイデンティティに苦悩し続けていた。

わたしがクイーンの名前を知ったのは十代のころ、「レディオ・ガガ」じゃないですけどラジオの古めの曲を紹介する番組を聞くようになってから。「ジェット・ストリーム」とか「クロスオーバー・イレブン」とかそういうやつですね。その後フレディの死後、ロック好きの弟がはまって、隣でビデオを見ながら「なかなかいいじゃん」と思ったり、『クロマティ高校』での出演?にインパクトを覚えたり。そんな風に本当に上っ面のことしか知らないままこの年まで生きてきました。
ただクイーンの曲というのは本当にいまいろんなところ…CM、TV番組、映画で使用されているので、わたしたちの日常にすっかり浸透してしまった感があります。ここ数年の映画だけでも「ロック・ユー」(『ピクセル』)、「フラッシュのテーマ」(『テッド』)、「ボヘミアン・ラプソディ」(『スーサイド・スクワッド』予告)、「キャント・ストップ・ミー・ナウ」(『ハードコア』)、「アンダー・プレッシャー」(『SING』)、「レディオ・ガガ」(『T2 トレインスポッティング』)、「キラークイーン」(『アトミック・ブロンド』)、「ブライトン・ロック」(『ベイビードライバー』)とわたしが知ってるだけでもこんだけ使われおり、「さすがにクイーンかけすぎじゃね!?」状態でありました。そして真打とばかりに彼ら自身の物語を描いたこの作品が公開されました。

前半の山場はやはりタイトルである名曲「ボヘミアン・ラプソディ」が作られていくくだり。この曲についてもちょくちょく耳にはするものの、歌詞の内容については今回初めて知りました。二転三転する曲調とシュールな言葉で聴く者を翻弄しますが、これ自体ひとつの物語であり、人を殺してしまった少年が裁きの場へと向かうお話を曲にしたものであります。「ボヘミアン」というのはかつてジプシーと呼ばれたロマのことであり、漂泊の民のことであります。フレディは自分のことを世間から迫害された、どこにも居場所がないそんな存在のように考えていたのでしょうか。あれだけの成功をおさめても彼がそんな風に感じていたとしたなら、本当に世の中どうやっても幸せになれないのでは…なんて思えてきます。
でもまあ、彼の真の居場所というのはやっぱり「クイーン」であり、観衆が前に立つステージであったわけで。それをフレディが心から実感するまでのお話ということもできます。「人間3人いれば派閥が出来る。バンドはだから必ずもめる」とは中島らも氏のお言葉です。クイーンも色々もめはしましましたが、とことんまでこじれなかったのは、やっぱり彼らがバンドである以前に「家族」だったからなんでしょうね。

フレディを演じるのはエジプト系のラミ・マレック。これまで最もメジャーな役は『ナイトミュージアム』3部作のファラオでしょうか。こういってはなんですが、そんな大スターとは程遠い彼がカリスマのフレディになるのは相当なプレッシャーがあったかと思います。しかしそれこそフレディが乗り移ったかのような熱演ぶりで高い評価を得ております。

大概ネタバレですが、自分が最も鼻水を垂れ流したのはフレディが病院でやはり先の長くなさそうな少年の「エオ」に応えるシーンと、長年険悪だったお父さんに迎えられ、彼の口癖だった「善き行い」を果たしに行くシーン。後者はアメコミ者としてはちょっと違いますが、『スパイダーマン』の「大いなる力には大いなる責任が伴う」というあれを思い出したりしました。

Srzksu5f_400x400『ボヘミアン・ラプソディ』は現在3週連続で前週の収益を上回るという驚きのヒットを記録しております。正直今の日本でクイーンの映画が売れるわけなかろう…とか公開前は思っておりました。ごめんなさあいごめんなさいごめんなさい。おそらくこれまで彼らのことを知らなかった若い人々も、その力強いメロディでひきつけているのでしょう。かつて酔いしれた世代はなおさらのこと。恐るべしクイーンであります。


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December 04, 2018

この怒り、どうすレバいいノンか ジアド・ドゥエイリ 『判決、ふたつの希望』

荒唐無稽な映画の記事が続いてましたが、今回はぐっと落ち着いた社会派作品の紹介を。第90回アカデミー賞外国語映画部門にノミネートされた『判決、ふたつの希望』について書きます。

現代レバノン。右翼的な政治集団に所属している自動車修理工のトニーは、自宅近くで工事を監督していたパレスチナ人のヤーセルが気に入らず、仕事を妨害したうえ侮辱的な言葉を浴びせる。かっとなったヤーセルはトニーにケガを負わせてしまい、二人の諍いは裁判へと発展する。だがトニーについた弁護士が彼を政治的に利用しようとしたために、その論戦は国中が注目するものとなってしまう。

レバノンというとまれに伝え聞く情報や、映画『レバノン』(まんま)『戦場でワルツを』などから内戦で大変だったんだなあ…というイメージがあります。ただ調べたところによるといまはおおむね落ち着いているようで、作品の中にうつる街並みもなかなか風情があって、ちょっと行ってみたい気分になるくらいでした。ただ以前の悲惨な時代の記憶は人々の胸にまだ十分刻まれていて、時折社会に軋轢を生じさせたりするようです。

我々観客から見ると、最初はやはりヤーセルの方の肩を持ちたくなってしまうところ。彼はただ真面目に仕事をしてるだけなのに、トニーの方は明らかに悪意があります。自分も建築関係の仕事なもので、現場の近くにこんなひとがいやだな、とか思いながら観てました(笑)。そしてヤーセルに対して叩きつける暴言がまたひどい。つい殴られても当然だ、なんて感じてしまいます。
けれど裁判の流れの中で彼の過去が明らかになるにつれ、次第にトニーがなぜそんな男になったのかがおぼろげにわかってきます。もちろんどんな生い立ちだろうと他の誰かを傷つけていい理由にはならないわけですが、諍いを解決するにはまず相手の背景を理解することが必要なのでしょう。それを怠るとこちらを攻撃してくる人々はみな悪鬼のように思えてきますし、問題はますます深刻になっていきます。お互いが集団の一員である場合はそれこそ流血沙汰にまで発展しかねません。

ただそんな憎たらしい相手でも、心情を推し量ること、ちょっとした親切を示すことでわだかまりが解きほぐれることもあります。現実にはそう簡単ではないかもしれないけれど、誰にだってできることなのでは。少なくともこの映画の監督はそうした希望を捨てていないようです。わが国はこんな風に難民ががっつり混在してる環境ではないですけど、ほかの国や民族に対するヘイトは頻繁に耳にするので、決して他人事ではありません。

いたずらに観客の感情をあおりたてずに、熱くなる周囲とは反対に二人の心がゆっくりと穏やかになっていく過程が心地よい作品でした。これがハリウッド映画かメジャー邦画だったら最後は二人抱き合っておいおい泣くとこまでいくと思うのですが、その辺も実につつましやかだったのもよかった。レバノンの人々はシャイな人が多いのかもしれません。

『判決、ふたつの希望』は日本では当初4館でのスタートでしたが、評判を呼んで50館に増えたというのが嬉しいですね。さすがに概ね公開終了したようですが、まだ少々残ってるところもあります。詳しくは公式の劇場一覧をごらんください。

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December 03, 2018

続・宇宙清掃 リアル・オドネル 『スカイライン 奪還』

2011年、「低予算でこんだけがんばった!」という感じの『スカイライン 征服』という映画がありました。感想はこちらに書きましたが、とにかく脳みそにこだわっていたことと「俺たちの戦いはこれからだ!」的な投げやりENDが特に印象に残っていました。で、少年ジャンプではそういう結末の作品は大抵それっきりだったりしますが、こちらは驚くべきことに7年の歳月を経て帰ってこられました。『スカイライン 奪還』、ご紹介します。

休職中の刑事マークは、やんちゃでつかまった息子を署に引き取りに行った帰り、大大的な宇宙人の来襲に遭遇する。人々をまるでバキュームカーのように片っ端から吸い上げていく宇宙船。マーク親子は居合わせた人々と懸命に逃れようと死力を尽くすが、ついには全員異星の母船に吸引されてしまう。果たして彼らに生還の道はあるのか。

前作は1千万$で作られたゆえか(それでも11億円)、前半はなかなか宇宙メカが登場しませんでした。が、今回は予算が二倍に増えたおかげですぐにSFガジェットがバンバンと登場してきます。ただまあかっこいいというよりかは、悪の組織が作った的なダサさが漂うところがご愛嬌です。なんせ掃除機のノズルが装備されてますからね。『ロボコン』にそんなやつがいたようないなかったような。
そして今回も脳みそへのこだわりは健在でした、。なぜエイリアンがそこまで脳にこだわるのか。我々がカニみそを珍味としてありがたがるようなものなのか。1作目を予習する暇がなかったのですっかり忘れていたのですが、あ~、なるほどね~、奴隷ロボットの生体コンピューターとして利用するんだっけ~と観ているうちに思い出しました。しかしSDカードかICチップならともかく、血液のぽたぽたしたたってるアレが部品として互換性が効くモノなのか…と思わずにはいられません。そこを無理やり可能にしてしまえるのが宇宙人の超科学なのかもしれませんが。

そういった強引な点もありますが、ボンクラ男子の好きなあれやこれやをぎゅうぎゅうに詰め込んでくれているので、「細けえこたいンだよ」という気分になってくるからオタクはちょろいです。「奪還」のサブタイが示すように今回は人類もけっこう反撃してるのですけど、はるかに文明の進んだ相手にどうやって立ち向かうのかというと、ブービートラップだったり格闘技だったり、敵の武器を利用したりムニャムニャが味方してくれたりと、あの手この手で宇宙人バトルを披露してくれました。相手がエイリアンやプレデターだったらシラットで戦うのは死にいくようなものですが、こちらの宇宙人さんは1名を除いて大体モブっぽいのでホモ・サピエンスでも気合次第でなんとかなるのです。

さて、前作は思いっきり10週打ち切り的な幕切れだった『スカイライン』、今回はどうだったかというと… やはり大変このシリーズらしい結末でした(と言うと大体わかってしまいそうな…)。リアル・オドネル監督の次回作にご期待いたしましょう(笑)
そういえばやはり低予算SFものの『アイアン・スカイ』も2作目を作るとか言ってましたが、その後どうなってしまったのでしょうか。ま、気長に待つとしますか。

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