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November 20, 2018

風の川で泣くしか テイラー・シェリダン 『ウィンド・リバー』

秋も深まり、ようやく近隣のシ○プラザサ○トムーンにも小規模公開作品がラインナップに戻ってきました。今日はそのうちの一本。社会派作品であり地味アクション映画でもある『ウィンド・リバー』をご紹介します。

ワイオミング州ウィンド・リバー居留地。コリー・ランバートは哀しい過去を抱えながら家畜を襲う野獣のハンターとして暮らしていた。ある日雪原でヤマネコを追っている途中、コリーはネイティブ・アメリカンの娘の亡骸を発見する。遺体の様子はその少女が何者かにより傷つけられ、走ってそこまで逃げてきたことを示していた。知人の娘だったこともあり、コリーはFBIの若き捜査官バナーに協力して犯人を捜す。

アメリカにおける黒人の差別問題はよくとりあげられますが、それに対してあまり日の当たらないのがかつて「インディアン」と呼ばれていたネイティブ・アメリカンの人たちの現状。本作品は冒頭で「事実に基づいている」と出てくるのですが、事実率は30%くらいだと思われます。ただここに描かれてる彼らの窮状はまぎれもない「現実」なのでしょう。
で、普通のアクション映画ならどこまでも悪い強大な権力者とかが登場するものですが、この映画では犯人の正体がかなりしょぼくさかったりします。同情の余地はまったくないのですが、その卑小さがさらに切なさを増幅してくれます。

そんなどうしようもなさの中、救いとなるのが美しい雪景色と、ジェレミー・レナー演じる主人公の人物造形。一見ぶっきらぼうですが、ひたむきな者にはどこまでも優しく、弱者を虐げる者は絶対に許さない。なぜ彼がネイティブの人たちに家族として迎え入れられてるのかはほとんど語られないんですが、たぶんその人柄・人徳でもって信用を得たのでしょう。彼とエリザベス・オルセン演じる女性捜査官とのほのかな交流もよかったですね。オルセンさんの方は恋だったと思いますが、コリーの方は女性というより自分の娘と重ね合わせてたんでは…と感じました。監督は『ボーダーライン』脚本のテイラー・シェリダン氏。そういやなんか雰囲気似てますわ…

この映画マーベル映画・ドラマの俳優が3人も出ているのですが、現実の悲劇はアメコミヒーローが解決してくれるわけではないということを痛感させてくれました。それは十分わかっているのですが、やっぱりアメコミ映画も大変に楽しみです。ジェレミーさんもオルセンさんも来年の『アベンジャーズ』期待しております。バーンサルさんも『パニッシャー』がんばってー

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