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November 09, 2018

人生はロックらしい 三木聡 『音量を上げろタコ! なに歌ってんだか全然わかんねぇよ!!』

今日から『ボヘミアン・ラプソディ』が公開で非常に盛り上がっているところですが、その陰でひっそりと終わろうとしているもう一本の音楽映画があります。鬼才・三木聡が阿部サダヲと吉岡里帆を主役に迎えて送るロックンロール・ムービー『音量を上げろタコ! なに歌ってんだか全然わかんねぇよ!!』(タイトル長えよ!!!)ご紹介します。

ふうかはバンド仲間とプロを目指すストリートミュージシャン。だが、その声量のあまりの小ささからバンドから外されてしまう。失意のうちに夜の街を歩いていた彼女は、工事現場で大量の血を吐く奇妙な男に出くわす。男は実はドーピングのせいで喉に限界が来ているロックスター・シンだった。彼を病院に運んだことがきっかけで、ふうかはいつの間にやらシンから歌の手ほどきを受けることになるのだが

監督三木さんの作品は他にはわが郷土を舞台にしたドラマ『熱海の捜査官』くらいしか観てないのですが、なんとなくギャグセンスが宮藤官九郎氏や堤幸彦氏、少し前の中島哲也氏に近いものを感じました。クドカンとは使う役者さんもちょっとかぶってますよね。理詰めで笑わせるというよりかは、珍妙でシュールな会話や間で攻めてくる、乾いた静かなお笑いというか。人によっては「わけわからん」で済まされてしまうかもしれません。実際これらの監督さんたちの映画はたまーに面白い時もあるものの、センスが暴走するとどんどん置いてけぼりになってしまい、ギャグが苦痛に感じられることもしばしばです。

ちなみに監督さん、この映画は何に対してもやる気のないお子さんに「夢をもってがんばってほしい」というメッセージをこめて作ったそうです。いや、でも、これで伝わるかな??? ストレートに言葉で伝えた方がいいんじゃないかな??? よそさまの教育方針に口を出すつもりはありませんけど。

じゃあこの映画もつまらなかったのかといえば、それが意外とそこそこ面白かったんですね… ちょっと人には勧めづらいですが。ぽかんとするシーンもありましたが、三回に一回くらいは独特のギャグに「ぶふっ」とか吹き出したりしてました。あまり入ってない映画館でみんな無言で鑑賞してる中、一人だけうっかり声が出てしまうのは少々恥ずかしかったです。

ストーリーも素っ頓狂な演出を引きはがすとなかなかシンプルで心温まるものだったり。お互い心に欠けたところのある二人が、喧嘩したり騒いだりしてるうちに、少しずついい方に変わっていくという。こっぱずかしいけど、これ、そういう意味では恋愛映画でもあるのですよ。映画初出演なのにボーイフレンド役が阿部さんというのが吉岡さんには気の毒なことでしたが。

そもそも酷評も多いこの映画をなぜ観に行ったかといえば、予告か何かで見た主題曲「体の芯からまだ燃えているんだ」が大変いい曲だったので。阿部さんはさすがバンドを組んでいただけあって歌にパンチがありますね。ぶっちゃけこの歌を気持ちよく聞ければあとはメタメタでもOK、くらいの気持ちだったんですが、他も(自分にとっては)色々よかったのでめっけもん、という感じでした。しっとりした物語の幕引きも好みでございました。
その主題曲はこちら。じーんせいがー もえつきるまでえええーえー 来週には『ボヘミアン』の方も観てこようと思います。

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Comments

阿部サダヲさんは『下妻物語』でもレディースの総長の恋人役で出てきて、二人の主人公の一人の土屋アンナさんに片想いされていましたね。あんなですが(失礼!)、実はモテる役が結構多い役者さんなんでしょうかね。

Posted by: マロ | November 10, 2018 04:41 AM

>マロさん

『下妻物語』はすごいリーゼントの役でしたよね。そういえば逆転版『大奥』で主演の柴咲コウさんが出演者で一番色気を感じたのが阿部サダヲさんだったそうです。物静かにしていればモテるタイプなのかも? 

Posted by: SGA屋伍一 | November 13, 2018 09:35 PM

ポカンとしてました。

5回くらい見たら麻痺して楽しめてくるかも。

Posted by: ふじき78 | November 21, 2018 09:39 AM

>ふじき78さん

なれない酒をガボガボあおってたら段々酔いが回ってきて楽しくなってくるような…

Posted by: SGA屋伍一 | November 21, 2018 09:55 PM

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