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November 14, 2018

時計じかけの俺んち ジョン・ベレアーズ イーライ・ロス 『ルイスと不思議の時計』

21世紀も18年がたちましたけど、映画の中ではいまだに魔法使いが大活躍です。本日はそんな魔法使いムービーの最新作『ルイスと不思議の時計』をご紹介します。ずっと「不思議な時計」かと思ってましたが、「不思議の」が正解ですのでご了承ください。

第二次大戦後まもなくの時代。両親を失った少年ルイスは風変わりなおじさんに引き取られてともに暮らすことになる。夜な夜な歩き回り暴れるおじさんの姿を見ておびえるルイスだったが、ある時彼が本物の魔法使いであることを知り、弟子入りを志願する。

冒頭の流れが先日紹介した『若おかみは小学生!』とほぼ同じでびっくりしました。児童文学が原作で妙にオカルティックなところも似ています。それはさておき。

2001年、『ハリー・ポッターと賢者の石』公開をきっかけに映画界ではファンタジーブームが起きました。後に続けとばかりに向こうの児童文学・幻想文学が次々と映画化されましたが、大成功をおさめたのは元祖ハリポタと超名作ロード・オブ・ザ・リングくらいで、あとはスタジオが思ったほどの利益を上げられず、三部作を匂わせて1作でおしまい、という作品もチラホラありました。
その後ファンタジーブームは収束しアメコミブームとヤングアダルト原作ブームにとって代わられたわけですが、完全に途絶えたわけではなくたまーにポツポツと作られ続けております。最近だと『PAN』とか『ミス・ペレグリン』とか。
ジュラシックワールドやイルミネーション、ワイルドスピードといった人気シリーズを多数所有しているユニバーサル・ピクチャーズさんもここらでディズニー、ハリポタ、LotRに対抗するファンタジーものが欲しいと考えたのでしょうか。白羽の矢が立てられたのがこの少年ルイスを主人公とした一連の作品。調べましたら第1作は1973年に書かれ、その後作者の死、二代目作者への継承を経て2008年の11作をもって完結したというから感動的です。ニューヨークタイムズが選ぶ「優良図書」にも選ばれ、なぜハリポタブームのころに映画化されなかったのか不思議であります。

どうしてもハリポタと比較してしまいますが、この作品の特色はまず「戦後間もなく」が舞台というところでしょうか。街並みや人々のいでたち、調度品なのにレトロな雰囲気が漂っております。あとかなり家族的でユーモラスなところが魔法使いものとしては珍しい方かと。このジャンル、意外と深刻で暗い話が多いのでね… 「家族的」と書きましたが別に親子でないおっさん・おばさん・ガキンチョがトリオを組んで難敵に挑むという話、ありそうでなかなか思い出せなかったり。

監督は一部でカルト的な人気を誇るイーライ・ロス。これまで生皮はがしたり人肉食ったりするような映画ばかり撮ってきた彼が子供向け作品を手がけると聞いたときにはユニバーサルさんの正気を疑いました。が、さすがはプロというべきかエログロを盛り込んだりせず、彼とわからないような立派なキッズ・ムービーとして仕上げてまいりました。この辺日本でいうと三池崇史さんとちょっと似ております。
あともちろん魔法や小道具がちゃんと魅力的に描けているか…というところも魔法使い映画としては大変大事です。時折趣味の悪いシーンもありましたがこの点も及第点だったのでは。わたしは意思をもって勝手に動く椅子が妙にかわいくて気に入りました。

そんなロスさんが血しぶきを我慢して作られた『ルイスと不思議の時計』、いったいいかほどの成績だったかというと、概ね製作費の倍くらいのところに落ち着きそうです。映画が利益を得られのは「製作費の3倍以上」と一般に言われております。そう考えると続編へGOとなるかはいささか微妙なラインであります。ユニバーサルがまた他を探すのか、強引につづきを作るか生暖かい目で見守っていこうと思います。

偶然か知りませんけど今秋はもう2本魔法使いムービーが待機しております。一本はハリポタワールドの前日談である『ファンタスティック・ビースト』の2作目。もう一本は名作動画を原作としたディズニーの『くるみ割り人形』。それぞれの健闘を祈りますです。

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