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November 28, 2018

シン・キングギドラ 静野孔文 瀬下寛之 『GODZILLA 星を喰う者』

はやいもので1年前始まったアニメゴジラ3部作も、先ごろめでたく完結編が公開されました。これがまたなんとも扱いに困る代物でして… ともかくその『GODZILLA 星を喰う者』をご紹介します。第1部『怪獣惑星』の記事はコチラ。第2部『決戦機動増殖都市』の記事はコチラ

あと一歩でゴジラを殲滅するところまでいったものの、部下のユウコを見捨てられずその機を逃してしまったハルオ。もはや万策尽きたかと思えた人類軍だったが、ハルオの盟友である異星人メトフィエスは、異次元から恐るべき存在を召喚して悲願を成就しようと企んでいた。

今回は大体ネタバレの観た人向けで…
前作は意外な形で(笑)メカゴジラをフィーチャーしたアニメ版ゴジラですが、完結編では満を持して最大のライバル「キングギドラ」を持ってきました(劇中では単に「ギドラ」)。普通の怪獣としては出てこないだろうな…とは予想しておりましたが、特異点(ブラックホール)から時空を超えてやってくるエネルギー体のような形での登場。時空の層が違うゆえか向こうは自由に攻撃できても、ゴジラの方は接触することさえかなわない恐るべき存在。「恐るべき」といえばその飽くなき食欲のゆえについには地球すら破壊してしまうという超弩級の破壊神でもあります。そんなゴジラ・アースをも上回るモンスターをどうやって撃退すればいいのか。退けられたとしてじゃあ残ったゴジラはどうすればいいのか… 頭の中を「無理ゲー」という言葉が縦横無尽に飛び交います。

それはともかく、なぜメトフィエスが自分たちまで滅ぼしてしまうようなそんな怪物を呼び寄せたのか、というのが本作品の重要なポイントのひとつです。早い話が人間も文明もいつかは終焉を迎えるのだから、どうせなら宇宙で最強の存在の犠牲になった方が華々しいじゃないか、ということでありました。キムタクならずとも「ちょ、まてよ」と言いたくなる思想ですが、人間なら誰でも一度は「どうせいつかは消滅してしまうんだから、自分の存在に意味なんてないのでは」と考えたことがあるのでは。当たり前すぎてそれこそ「中二」と言われてしまう論題かもしれませんが、これってやはり生涯かけて考え続けなきゃいけないことだと思うんですよね…

自分はこのシリーズを「3作かけてゴジラを倒す話」だと思い込んでいたのですが、そうじゃありませんでした。「3作かけてゴジラに対する敗北を受け入れる話」だったのです。家族を殺されて復讐にいきりたつハルオでしたが、文明を破壊することが地球の意思だとしたら? その「怒り」こそが種族や自然環境を滅ぼす原因だとしたら? 地球の意思を受け入れてゴジラと共存していくことこそが道理ではなかろうか…と問いかけられてるような結末でありました。

ただハルオはすんなりゴジラと和解…という風にはいきませんでした。怒りを捨て、子孫を残したところで彼の物語は完結したということなのでしょうか。機械と一体化することを拒み、宿敵を倒すことよりも地球を守ることを選んだ彼には、どこまでもしぶとく生きつつづけてほしかったのですが。この点に関しては果たしてあれで正しかったのか、観てから10日以上経った今もぐるぐると考え続けております。

真面目すぎたがゆえの欠点もありましたが、アニメ版ゴジラ三部作はかつてない怪獣映画であり、意欲作・実験作だったと思います。スタッフの皆さん、どうもお疲れ様でした。

アニゴジは終わりましたがゴジラ映画は来年5年ぶりのハリウッド作品が公開。さらに翌年にはキングコングとの対決も控えております。平成が終わってもまだまだその咆哮がやむことはないでしょう。ガオッ!!

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