転生したら普通に勇者だった件 S・S・ラージャマウリ 『マガディーラ 勇者転生』
公開から1年を経てもIMAXリバイバルなどで話題を呼んでいる『バーフバリ』。本日はそのS・S・ラージャマウリ監督が9年前に手がけたもうひとつのスペクタクル映画『マガディーラ 勇者転生』を紹介します。
17世紀のインド。勇者パイラヴァと王女ミトラヴィンダは相愛の仲であったが悪漢の奸計に陥り、結ばれることのないまま悲劇的な最期を迎える。
それから約400年後の現代。バイクレーサーの血気盛んな若者ハルシャは、バス停である女性の手に触れた途端電撃のような衝撃を受ける。やがてはハルシャは自分が勇者パイラヴァの生まれ変わりであり、その女性インドゥもまたかつての恋人ミトラヴィンダの転生であることを知る。
わたくし監督ラージャマウリさんはハエが主人公の映画『マッキ―』でブレイクした方かと勝手に思ってたんですが、それ以前からインドでは大大人気監督だったみたいで。すいません。特にこの『マガディーラ』は本国で1000日を越えるロングランを記録したというからぶったまげです。1000日言うたらぶっちゃけ3年弱ですからね。日本で記録的ロングランといえば『タイタニック』でも1年くらいでしたし。
序盤こそ突然女詐欺師を捕まえるくだりで謎の「金のめんどりダンス」がえんえんと流されてしまい面喰うのですが(後にカメオ出演している主演俳優のお父さんのヒットナンバーであると知りました)、運命の二人がビビビッと出会った途端テンポが俄然よくなってきます。17世紀パートの歴史劇はそれこそ『バーフバリ』のようであり、現代パートの恋のさや当ては『マッキ―』のようであったり。というか『バーフバリ』は前二作で積み上げたものを踏まえてさらにスパークさせた映画だったんだな…ということがよくわかりました。
あと4作観て改めて思いましたが、ラージャマウリ監督の作風ってすごく『ジョジョの奇妙な冒険』っぽいですね。メインキャラはみんな濃い目の顔立ちでいちいちズバーンとポーズを決めます。悪役はどこまでも悪く一片も同情の余地のないやつなのですが、どこか不思議な色気があったり。そして物理では不可能なアクションも「オラオラオラオラ」と気合で可能にしていきます。主人公側に物悲しい背景があるあたりも大変ジョジョっぽいですね。
尺やスケールの点では『バーフバリ』よりもスケールダウンしてる感はありますが、『マガディーラ』が面白いのはやっぱり戦国時代と現代を行ったり来たりする構成。いまどき生まれ変わりとかあまりにもおとぎ話っぽい気はしますが、インドの人々にとってはいまだに身近でロマンをかきたてさせられる素材なのかもしれません。
ラージャマウリ監督作品にはこの翌年に作られた『荒武者キートン』のリメイク『あなたがいてこそ』というのもあります。2010年にひっそりと日本公開されてたのですが、来月横浜のシネマヴェチェントという劇場でリバイバルされるとのこと。うーん、行きたいけどきびしいなあー
Comments
インドと言えばヒンドゥー教、ヒンドゥー教と言えば悪名高きカースト制度で、いまでもヒンドゥー教の教えはともかくカースト制度がどれだけ根付いているのかは分かりませんが、そのカースト制度を支える概念が輪廻転生であり、カースト制度は抜きにして仏教にも取り入れられたほど大きな影響力を持っているのですよね。
だからインドの人達にとっては生まれ変わりという考え方は日本以上に強いのかもしれませんね。
日本でも仏教の教えの中に輪廻転生がありますから、日本人もキリスト教文化の欧米の人達よりは生まれ変わりは身近に感じられるのかもしれないですけどね。
Posted by: マロ | October 26, 2018 12:15 PM
>マロさん
返信おくれてすいません。カースト制度は確かにいまだにインドに深い影響を及ぼしているようで。インドの人々の願望を反映してか、かつては「低いカーストだった主人公が実は高いカーストの生まれだった」という映画が大変多かったそうです(『踊るマハラジャ』とか)。ただ最近はインド映画も多様化してきて少しはその影響も薄まってきてるのかな…と思います。
日本人は輪廻ってあんまり本気で信じてなさそうな。どっちかというと霊界とか天国・地獄の方が身近に考えてそう。わたしも日本人ですが…
Posted by: SGA屋伍一 | October 30, 2018 09:46 PM