萌える! お姉さん! 森見登美彦 石田祐康 『ペンギン・ハイウェイ』
アオヤマくんは子供にしては珍しい研究者肌の小学4年生。日々疑問に感じたことをノートにまとめては丁寧に調査・考察を繰り返していた。そして彼がとりわけひかれているのは、歯科医につとめているやさしいグラマラスなお姉さんについてのことであった。ある日アオヤマ君の街に南半球にしか棲息していないはずのアデリーペンギンが大量に出現するという事態が起きる。さっそく原因究明に乗り出したアオヤマ君は、調査の途中でペンギンとお姉さんに奇妙なつながりがあることを発見する。
夏は時期的にアニメ映画をよく観るのですが、この『ペンギン・ハイウェイ』もそのうちの一本。予告でお姉さんが投げた缶ジュースがうにゅうにゅっとペンギンに変身する映像を見てあっけにとられてしまいまして。アオヤマ君じゃないですけどその現象の謎をとくべく鑑賞いたしました。あと自分、ペンギン好きなもんで。映画に出てくるペンギンといえば大抵は皇帝ペンギンで、アデリーペンギンにスポットがあてられることってあまりないので、これは観ねばと思いました。
で、果たして怪現象になぜペンギンが関わってくるのか、納得のいく理由があったかというとこれがよくわかりませんでした(笑) わたしの頭が悪いのか、それとも重要なセリフを聞きのがしたか。でも無数のペンギンがわらわら動いている絵に大変ほんわかしてしまったので、その辺は適当でもよしとします。あとEDに宇多田ヒカルの歌が流れるとなんとなく「まあいいか」という気分になってしまうものです。
この映画の魅力は主人公のアオヤマくんとお姉さんに負うところも大きいですね。アオヤマくんはなかなかかわいげのないお子様ではありますが、興味のあるテーマにぶつかる時は実に子供らしいいい顔を見せます。一方でいじめっ子の攻撃や同級生の女子のアプローチにはクールな態度を崩さず、小学生のくせにいちいちかっこいい野郎だな、と思いました。
そんなアオヤマ君が慕っているのが謎多き歯科医のお姉さん。ちょっとおっぱいが強調されてるところがネットでは議論を呼んだりしておりました。おっぱいの是非はともかくとして、少年が短い間年上の女性に淡い思いを抱き、その出会いを通じて成長する…みたいな話は『銀河鉄道999』みたいでなかなかツボでした。声を当てているのは蒼井優さんですが、前にやはり声優を担当された『鉄コン筋クリート』で「おっぱいぼい~~~ん」というセリフがあったことをここに記しておきます。
余談ですが西原理恵子先生のエッセイ漫画によると、高知では昔普通に野良のペンギンがその辺をうろついていたそうで。遠洋漁業に出てたおっさんたちが法律のことも知らずお土産に持ち帰ったりしてたんだとか。いまあちらの水族館にいるペンギンたちはその末裔なんだそうです。映画を観ながらそんな話を思い出したりしてました。
今夏の日本アニメ映画はこれと『未来のミライ』のほかにもう一本『小さな英雄 カニと卵と透明人間』も観ました。次回はそれについて。あとペンギン映画では現在名作ドキュメンタリー『皇帝ペンギン』の続編、『皇帝ペンギン ただいま』も細々と公開中です。
Comments
ペンギンである必然性はそんなになかったですよね。群生する白黒と言う事ならパンダでも縞馬でも良かったんじゃないか。
私、ペンギン見てるとエヴァンゲリオンのペンペン思いだすけど、あれは可愛くなかったなあ。
Posted by: ふじき78 | October 13, 2018 10:34 PM
>ふじ78さん
結局おねえさんのお気に入りで癒し系な動物がペンギンだったから…ということだったのかな
ペンペンは改造人間ならぬ改造ペンギンでしたっけ
Posted by: SGA屋伍一 | October 15, 2018 08:56 PM
コーラの缶に近い形で、ペンギン。という発想も、著者にあったのではないかと。あと、行進するのが、かわいいし。くちばしで泡をつぶすのも絵になるの。
Posted by: ボー | June 16, 2019 08:59 PM
>ボーさん
ボーさんがお姉さんよりもペンギンに注目している… 意外(笑)
Posted by: SGA屋伍一 | June 18, 2019 09:34 PM