ポノック3本勝負 『小さな英雄 カニとタマゴと透明人間』
8月に観た映画の感想もこれでようやく最後の1本… スタジオジブリのあとを継ぐべく作られたスタジオポノックが、昨年の『メアリと魔女の花』に続いて送る第二弾。『小さな英雄 カニとタマゴと透明人間』をいまごろ紹介いたします。ポノックが誇る実力派作家3人によるオムニバス映画でございます。
一本目は『カニーニとカニーノ』。3人の中では最もメジャーな米林宏昌監督作品。カニの兄妹の小さな冒険を描いたお話で、宮沢賢治の『やまなし』にアクションを組み込んだようなアニメ。川辺の背景が美しかったり、捕食動物が半端なく恐ろしかったり、短い時間の中でもいろいろ光るものがありました。さすがは安定の米林さんであります。
二本目は『サムライエッグ』。タマゴのアレルギーに悩む小学生の日常を切り取った作品。「日常」といってもアレルギーは時として死に至りかねないほどの症状を引き起こすこともあり、毎日が危険と隣り合わせなわけであります。決してくらい話ではないのですが、そんなアレルギーの苦しみを体感させるような美術・演出はインパクトがありました。
三本目は『透明人間』。存在感が薄いあまり誰の目にも見えなくなってしまった青年のピンチと奮闘の物語。透明なだけでなく体重も異常に軽いため、常に重しの消火器を携行しなくてはならない…という設定も気の毒ながら笑えました。青年がうっかり重しを手放してしまったため、ふわふわと際限なく上空へ浮かんでいってしまうシーンなどは夢で時々みることがあるため、軽いデジャブを覚えたりしました。
3作品とも発想・題材・美術ともにひかれるものがありましたが、惜しいのはやっぱり「短い」ということ。まったく違う種類のアニメをオムニバスで…という企画は冒険してていんですけど、全部合計しても一時間に満たないとどうしても「物足りない」という感が否めません。特に最後の『透明人間』はもう20分ほど延ばしてじっくり見せてほしかった。去年『メアリ』をやったばっかりであまり時間が取れなかったのでしょうか…
というわけでこの「ポノック短編劇場」、続けるのであれば次回はせめて1時間半か2時間くらいの尺でお願いしたいところです。ジブリもまた復活するようですけど、某御大が亡くなったらまたそこで終了だと思うので、ポノックにはアニメ映画を盛り上げるためにがんばってほしいのでした。ファイト! 3発!!
Comments
> ファイト! 3発!!
ファイト散髪って髪切りデスマッチかよ(そういやアレルギーのお母さん美容師さんだったっけ?)
Posted by: ふじき78 | October 13, 2018 10:39 PM
>ふじき78さん
そういえば床屋さんの映画って『バーバー吉野』くらいですかね。『髪結いの亭主』は床屋さんに含まれるか否か
Posted by: SGA屋伍一 | October 15, 2018 08:57 PM
「スウィーニー・トッド」(ぼそっ)
Posted by: ふじき78 | October 15, 2018 11:14 PM
>ふじき78さん
あ… なるほど。ただ彼は髪よりも喉笛を切ってたような
Posted by: SGA屋伍一 | October 16, 2018 10:17 PM