若死神は高校生! 久保帯人 佐藤信介 『BLEACH』
成仏できなかった霊が暴走し、怪物となった「虚(ホロウ)」。喧嘩っ早い高校生、黒崎一護は子供のころから霊や虚が見える能力を持っていた。ある時虚に襲われた一護は、「死神」と名乗る少女、朽木ルキアに命を救われる。だがそれが原因でルキアは虚を倒す死神としての力を失ってしまう。責任を感じた一護は彼女を助けて共に死神を退治するため、死神になるための特訓を始めるのだが…
本日はもうとっくに終わってる実写映画版『BLEACH』を紹介いたします。原作とアニメ版はところどころつまみ食いしておりました。なんというか、『幽々白書』と『聖闘士星矢』をまぜあわせてもっとお洒落にしたような漫画だと思いました。死にかけた主人公が異界の存在に超常の力を与えられるというところは『ウルトラマン』とも似てます。原作は一昨年に15年に及んだ連載が完結。いってみればブームが一旦収束してからの実写映画化となりました。
原作の大したファンでもないわたしがこの映画を観ようと思ったのは、監督が『アイアムア・ヒーロー』『いぬやしき』の佐藤信介監督だったから。ここのところ現実離れしたアクションの秀作をよく手掛けていて、海外でも評価の高い佐藤監督。最初の予告こそすごく力が抜けてそうな感じでしたが、きっと何か大したものを見せてくれるだろうと期待しておりました。
実際どうだったかとういうと、中盤すぎくらいまではアクションもストーリーも「ま、それなりにあれですね…」という感じでしたが、クライマックスの一護VS恋次の戦いは盛り上げ方、スピード、迫力どれをとっても申し分ないものでした。この部分だけでサービスデーの料金くらいの価値は十分にありました。
いまツイッターをにぎわしてる映画紹介漫画に『邦キチ! 映子さん』というのがあるのですが、そちらの評の言葉を借りるなら「かつてない駅前ロータリー映画」でありました。普段見慣れてるなんてことない駅前ロータリーがすごくクローズアップされてて、これでもかというくらい執拗にぶっこわされます。駅前ロータリーのファンならぜひとも見ていただきたい(そんな人がいるならば)。
映画はそれなりにキリよく終わっているのですが、黒崎君にとってはちょっとほろ苦い結末だったので、おそらくは名誉挽回的な続編を念頭において作られたのだと思います。ですが正直あまりぱっとしない興行成績でしたので、これ1本しか作られない気配が濃厚です。
ここ3,4年少年ジャンプ原作で作られた映画というと『バクマン』『変態仮面』『ジョジョの奇妙な冒険』『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』などがありましたが、『銀魂』以外は大して売れてないのが現状です。漫画実写化の難しさを改めて痛感するとともに、なぜ『銀魂』だけが成功したのかが謎です。先にあげたうち3作を福田雄一が手掛けているのも謎です。
まあ佐藤監督にはこれにめげずにひきつづきSFアクションを究めていっていただければと。DVDは今年末発売だそうです。
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