時代に早すぎた男たち ニック・パーク 『ア―リーマン ~ダグと仲間のキックオフ!』
『犬ヶ島』『ぼくの名前はズッキーニ』とコマ撮りアニメの傑作が相次いで公開された2018年ですが、老舗のアードマンの新作も後を追うようにしてやってまいりました。『ア―リーマン ~ダグと仲間のキックオフ!』、ご紹介します。
たぶん古代のヨーロッパ。原始人のダグと仲間たちは緑豊かな谷間で毎日楽しく暮らしていた。しかしそこへ青銅器文明を持つ帝国が侵攻し、強引に領土としてしまう。荒野に追いやられたダグは帝国の総督に直談判し、彼らのエリートとサッカーの試合で勝ったら谷間を返してくれると約束を取り付けるのだが…
まずサッカーってそんな紀元前から存在してたのか??という疑問がわきますが、子供アニメでそういう堅苦しいことを言ってはいけません。あと約1万年前の中国の地層から実際に石の球が発掘されてるそうなので、この時代本当に存在していた可能性もわずかながらあります。
ともかく、石器文明のワイルドな連中と青銅器文明のちょっとおしゃれな連中がサッカーで熱戦を繰り広げるという発想が面白い。…ですが…
この素っ頓狂なアイデアに並ぶストーリーやキャラクターがあったかというと、ちょっと首をかしげざるをえません。さすがは古豪のアードマン、もちろん十分に楽しい作品ではあるのですが、少し前の『ひつじのショーン バック・トゥ・ホーム』やニック・パーク黄金期の『ウォレスとグルミット』に比べるとどうしてもインパクトに欠けるというか。そうやってすぐなんでも他と比べてしまう。オタクっていやですね…
あとやっぱりアードマンは人間よりも動物をメインに据えた方が内容的にも商売的にも成功するような気がします。この映画にしてもダグのペットの犬のようなイノシシや、いつの間にか仲良くなる巨大ガモ、食べられそうなのに楽しそうなウサギに送り主そっくりにしゃべる伝書オウムなどなど動物の方が俄然印象に残ってしまったような。
ああ… 本当はこんな風に文句つけたくないのに… アードマンをもっと持ち上げて激賞したいのに!!
この映画英国の名門イートン高の同級生、エディ・レッドメインとトム・ヒドルストンの珍しい共演作であるのに、字幕版がほとんどなかったのもつろうございましたね…
と、ついオタクらしい愚痴が多くなってしまいましたが、普通に面白いですから! 気になった方は円盤か配信でご覧ください。
アードマンの次回作は『ひつじのショーン』劇場版第二作。公開日はまだ決まってないそうで。ちゃっちゃと進めちゃって! また、もう一方の雄「ライカ」の新作はこれまた原始人ものになるっぽいです。かぶった…
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