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August 08, 2018

博物館へいこう ブライアン・セルズニック トッド・ヘインズ 『ワンダーストラック』

1wdst先月の「遅れ小規模公開映画」特集第二弾(あと3回くらいあります…)、『ベルベット・ゴールドマイン』や『キャロル』で知られるトッド・ヘインズが、『ヒューゴの不思議な発明』のブライアン・セルズニックのベストセラー小説を映画化。『ワンダーストラック』、ご紹介します。

1977年、母を亡くし、事故で聴力も失ってしまった少年ベンは、まだ見ぬ父の手掛かりを探すために大都会NYへ向かう。それから50年前、やはりとある事情で有名女優を訪ねて、同じ地へ向かう耳の聞こえない少女ローズがいた。彼らはメトロポリタン美術館にある「驚きの飾り棚(ワンダーストラック)」により、奇妙に結び付けられることになる。

と書くと『君の名は。』みたく超自然的な要素によって二人が時空を越えちゃうのかな…と思われる方もおられるかもしれませんが、あくまで現実的な範囲の中でおさまる話です。
主人公たちの境遇からそういう演出になったのか、非常にセリフが少なく、物静かな映画。77年パートはまだ普通に音声がちょこちょこ流れますが、57年パートは当時のサイレント形式そのままで、映像は白黒で言葉は字幕でしか流れません。
わたしのうしろで観ていたおばさま二人組が「なんだか眠くなるわねえ」とかおっしゃってましたが、その音声控えめなところがなんとも味のある作品です。

あとこの映画のもうひとつの特色は、博物館、それも特に「みんなのうた」や『ナイトミュージアム』で扱われていたメトロポリタン博物館への愛情がものすごくこめられているところです。まるで自分もベンやローズと一緒にかの施設を探訪しているような気持ちになりました。それぞれ40年前、90年前の展示内容ですから今とはだいぶ違うんでしょうけど、かえって貴重なものが観られたような。
よくできた博物館というのは、ひとつの宇宙でもあるんですよね。多くの少年少女がそこから世界の一端を感じたように、主人公二人も小宇宙のような建物をさまようことによって、狭い環境から一歩踏み出すとっかかりを得ることになります。

Wdstこの映画観てたらひさしぶりに博物館をおとずれたくなってしまいましてね。先日行ってまいりました。もちろんNYではなく上野です。『ジュラシック・ワールド』新作の影響で恐竜の骨を見たくなったということもありまして。やっぱりいいですね、博物館は。化石、はく製、標本、機械、よくわからんもの… あそこにいくといつでも童心に戻れます。

映画『ワンダーストラック』はDVDがもう今月末に出ます。子供のころ学研まんが「ひみつシリーズ」などに胸をときめかせた人はどうぞごらんください。

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