銀のサディスティック …あらら クレイグ・ガレスピー 『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』
遅れて公開された上にさらに書くのが遅れた映画が続きます。本日はアカデミー助演女優賞を持っていった「真実に基づく物語」。、『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』をご紹介します。
20世紀末。アメリカはポートランドに住む少女トーニャ・ハーディングは、幼少のころから品のない星一徹のような母親に特訓されて、フィギュアスケートの実力をめきめきとあげていく。やがてはその高いジャンプで全米にも名前を轟かすようになるのだが、一方で彼女の奔放な演技は審査員たちから不評を買うのだった。そんな折、地元の青年のジェフと恋に落ちたトーニャは彼と結婚する。しかしそれは彼女をさらに波乱多き人生へと誘うのであった。
ハリウッド発の「衝撃の実話」って向こうでは常識でも、こっちでは知られてないものが多いですよね。『アメリカン・スナイパー』『フォックス・キャッチャー』『ビニー 信じる男』、最近だと『オンリー・ザ・ブレイブ』などなど。ですがさすがにこの話は当時スポーツ報知の一面にもでかでかと載ったので知っておりました。そのくらいセンセーショナルな事件だったということですね。
ただ別段自分フィギュアスケートに興味がそれほどあるわけでもなく、「映画化された」と聞いても食指がなかな動きませんでした。けれどツイッターで「クズしか出て来なくてすごく楽しい」という評判を聞いて一転。鑑賞することに決めました。
たしかに楽しいところも色々ありました。「ケリガン襲撃事件」を企てた面々の壮絶なボケっぷりとかね。
けれどどちらかといえばそれ以上に痛々しさの方が印象に残ってしまいました。いつもDVを受けてるトーニャの姿がまず視覚的に痛そうだし、彼女の身近な人々の身勝手さがまた強烈に痛い。
まあこの作品も映画である以上完全な真実ではないんでしょうけど、もしそれにかなり近いのだとしたら、「悪役」のイメージが強かったトーニャにどうにも同情したくなってしまいました。
彼女にも全く問題ないわけではないんですが、あんなモンスター親に育てられたら、そりゃ問題児にもなろうというもの。あと五輪で仮にも4位になったのに、それでもスポンサーがつかずレストランでウェイトレスやってたのが厳しすぎる。国内じゃなくて世界の4位ですよ!? その辺は選手によるのかもしれませんけど、フィギュアってのは恐ろしいほど一握りの選手しか報われないのだなあ…と。それでもそのわずかな可能性を夢見て、世界中の子供たちが歯を食いしばってチャレンジしてるんでしょうね。
そんな傷だらけの彼女を演じるのはいま最もホットな女優の1人であるマーゴット・ロビー。プロデューサーの1人としても名を連ねております。輝かしいばかりの美貌を誇る彼女ですが、なぜかハーレクインとか、ピーターラビットの妹など怪我の絶えない役が続いております。もしかして自己破壊願望でもあるのかしら…と心配になってまいりました。
ちなみにこの映画に対してケリガンさんは「私はあの映画を見ていませんし、何か言うこともありません。」「自分の人生を生きるのに忙しいのです」とクールなコメント。トーニャさんの方は「映画の詳細はいくらか事実と違うと主張しながらも、自分に再びスポットライトが当たったことで嬉しそうである」とのことです。うーん、いかにもな反応。まあ喜んでるならそれでいいのかなあ。
『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』はまだぷちっとだけ上映館が残っておりますが、もう少ししたらDVD発売・配信が始まるでしょう。というか北米版はもう普通に変えます。華やかな銀盤の裏面が知りたい方はどうぞ。
Comments
「アイトーニャ」というと、何かの品物のよう。
Posted by: ボー | August 15, 2018 07:12 AM
>ボーさん
遅くなってすいません。なんの品物だろう… 猫関係?
Posted by: SGA屋伍一 | August 20, 2018 10:18 PM