ゼロの指導者 谷口悟朗 『コードギアス 反逆のルルーシュⅡ 叛道』
放送終了後10年を経て総集編の劇場版三部作が公開されている『コードギアス 反逆のルルーシュ』。本日は第二部にあたる『叛道』について思ったことをつらつら書いてみます。第一部『興道』の感想はこちら。
捨てられた復讐のため、妹ナナリーの居場所を作るため、仮面をかぶり武装組織「黒の騎士団」を立ち上げた大国ブリタニアの王子ルルーシュ。偶然手に入れた特別な力「ギアス」と持ち前の兵法の才能で、旧日本「イレブン」において彼の勢力は増していった。だがブリタニアで人気の高い皇女ユーフェミアが黒の騎士団に和平条件を提案してきたため、事態は意外な方向へ進み始める。振り上げた拳をひっこめてナナリーのために仇の国と和睦すべきか。ルルーシュは思い悩んだ末、決断をくだす。
TVシリーズ一期の終盤と二期の序盤(というかほとんど前半)が扱われた本作品。やはり最大の山場はシリーズ最大の悲劇であるユーフェミアの虐殺。リアルタイムで観てた時は「なんて残酷で意地悪なこと思いつくんだろうなあ…」と画面の前で崩れ折れたものでした。さすがはやる時は徹底的にやりすぎてしまうことで定評のある谷口悟朗監督です。10年経ってるしどうなるかも知っているので、初見時よりはショックが和らぐかな…と思いながら鑑賞してましたが、辛い展開があるとわかっていながら観ているとそれはそれでかなりこたえるものでありますね。
『叛道』で第一部よりさらにエスカレートしてるのがこの『はだしのゲン』なみの残酷描写。老若男女、幼い子供ですら平等に戦火の中で散っていく様子が丁寧にネチネチと描かれていきます。これを露悪的と見るか、リアリズムと見るか(ロボや超能力が活躍する作品でリアリズムもないもんですが…)。ともかく、単なる娯楽作品の中では納まりきらない強烈な毒がこのアニメには含まれております。
話は変わりまして。第一部『興道』はほぼTV版の忠実な総集編でしたが、第二部では途中からかなり独自の展開が増えてまいります。まるでどこかの『エ○ァン○リオン』みたい。古いファンを飽きさせないためか、はたまた噂されてる新シリーズへの布石なのか。その意欲は買いますが、あまりにもその辺が矢継ぎ早だったためか、大変わかりやすい入門編であった第一部に比べ、第二部はTV全話観ていたわやしですらよくわからない仕上がりになってしまったような(単に脳の退化でついていきづらくなった…という考え方もできますけど)。これも『エ○ァ』がアニメ残していった影響のひとつですが、精神の内面を描いたシュールな描写は高尚に思えるかもしれませんけど、観ている側には混乱を招くばかりではないでしょうか。
…といろいろ詰問するような文章になってしまいましたが、今回も色々力が入っていたことは認めざるを得ません。特に中盤スザク視点から話を追うことで、本当にルルーシュの記憶がよみがえったのかつつみくらますように持っていく展開はうまいと思いました。学園のみんながナナリーのことをどうして忘れてしまったのか…という謎も補完されましたし。オミットされたのは中華連邦のゴタゴタを黒の騎士団が収めるあたりくらいでしょうか。あと偽の弟ロロ君の存在感がだいぶ小さくなってるような。彼の活躍?は第3部に持ち越しというところでしょうか。
大都市では今月末にも第3部であり完結編の『皇道』が公開予定。いまんとこ劇場一覧にうちの近くの映画館の名前はありませんが、1・2部はやってくれたのでたぶん大丈夫でしょう…!(そう信じたい)
そしてそのあとはいよいよ魔神君が復活するのでしょうか? 期待半分、不安半分でシリーズの行方を見守っております。
Comments
そーかー。新機軸が入り込んでたんですか? ただ単に情報量が多くて詰め込めないから話がバシバシ飛んでるのかと思ってました(TVシリーズ未見)。
Posted by: ふじき78 | May 08, 2018 10:43 PM
>ふじき78さん
お返事遅れてすみませんです。本文中にも書きましたがオリジナルに忠実だったエヴァ序からだんだん逸脱してしったエヴァ破への流れとよく似てます。ということは次はエヴァQ…?
Posted by: SGA屋伍一 | May 14, 2018 10:11 PM