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May 21, 2018

あんたちょっといい女だったよ、だけどやばい女 チョン・ビョンギル 『悪女/AKUJO』

Akj1常にヒリヒリする暴力ムービーを提供しつつづける韓国映画界。この度もまたそんなブテチゲのような映画に、さらにあらたなエッセンスを加えた作品を送り出してくれました。『悪女/AKUJO』、ご紹介します。

たった一人で暴力団に殴り込みをかけ、その場にいた者すべてを葬り去った恐るべき女がいた。なんとか身柄を拘束した当局はその能力を惜しみ、工作員として養成することにする。妊娠していた彼女はおなかの子のため、当局の申し出を受け入れる。やがて訓練を終えた女は無事生まれた子供と施設を出、任務に臨む。幾つかのミッションを終えたら平穏な生活が待っているはずだった。だが彼女には哀しい再会と運命が待っていた。

「悪女」というと皆さんはどんな女性をイメージされるでしょうか。お色気を武器に純真な男心を惑わして、さんざん甘い汁を吸ったあげくポイ捨てするようなそんな女ではないでしょうか。ただこちらのヒロインは全然そういう感じではなく、むしろだまされてる側。「悪いのはわたし、それとも運命」というコピーですが、この場合は悪いのは断然当局と悪男です。ただこういうタイトルになったのは敵側からすれば彼女が「とんでもなく凶悪な女」に見えるからでしょう。それほど人間離れした戦闘力を持つヒロインです。

前から思ってたのですが、韓国の映像作品って映画は血みどろバイオレンスなのに、TVはメロメロの恋愛ものが多いんですよね。TVじゃ血しぶきは流しにくい、という事情もあるんでしょうけど。で、この『悪女』は従来の暴力ムービーに巧みにメロドラマを織り交ぜた作品になってました。任務のためにクールに徹するはずだったのに、いつのまにかタイプの違う二人の男に心揺られちゃってるヒロイン。しかしそういう甘~~~いムードが漂うのは本当にちょっとの間です。あとはひたすら映像的にも精神的にもいたぶられ続ける「悪女」。あまり人をSとかMとかにわけたくはありませんが(ちなみにわたしはLLです)、監督のチョン・ビョンギル氏は地上でも有数のサドだと思いました。前作が『殺人の告白』というのもその確信を強めさせます。

で、面白いことにこのビョンギル氏、スタントマン出身なんだそうで。その経験が生かされたのか、格闘シーンもカーチェイスも恐ろしいほどの気迫がみなぎっております。そしてそれをほとんど自分でこなしたという主演のキム・オクビンさんがまたすごい。まあ最近はハリウッドなどでも女性主体のアクション映画は珍しくないですが、あちらは爽快感やたくましさを感じさせるものが多いような。対してこちらは強いながらも痛々しさややるせなさも印象に残る作品となっておりました。それだけに観終わったあとはどっと疲れが押し寄せてまいりました。

Akj2『悪女/AKUJO』は公式サイトを見るとまだぽつぽつ公開が残ってる地域もありますが、もう来月22日にDVDが出るのでその方が見やすいかと思います。
実はさっきここまで書いたところでPCがフリーズして記事が全部消えました。一瞬悪女のように暴れたくなりましたが、「暴力は何も生まないわよね…」と思い直して静かに書き直した次第です。


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Comments

伍一くん☆
私は試写会だったこともあり観たのは1月でした。まだポツポツとやっていたのですね~~
やるせない切ない女性なのに悪女よばわりで可哀相でした…
アクションは凄くて凄惨だけどカッコよかったです。

Posted by: ノルウェーまだ~む | May 28, 2018 at 12:05 AM

>ノルウェーまだ~むさん

こちらでは大体小規模公開作は二ヶ月遅れがデフォルトです。やってくれないのも多数(+_+)

悪女呼ばわりはかわいそうなのでせめて猛女とか女傑とか… なんか違いますね
一昔前「女優という仕事は髪を痛めます」というCMがありましたが、それどころじゃなく体中痛めまくってて頭が下がりました

Posted by: SGA屋伍一 | May 28, 2018 at 10:06 PM

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Tracked on May 28, 2018 at 12:06 AM

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