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April 11, 2018

メキシコ地獄編 リー・アンクリッチ エイドリアン・モリーナ 『リメンバー・ミー』

Rmbm1ディズニーご本家と両輪のように良作のCGアニメを作り続けているピクサー・スタジオ。その最新作はメキシコの「死者の日」をモチーフにしたミュージカル風作品。本年度アカデミー賞長編アニメ部門でオスカーを獲得した『リメンバー・ミー』、ご紹介します。

メキシコに住むミゲルはギターと歌が大好きな少年。だが彼の一族は何代か前に、歌手を夢見て家族を捨てた不心得者がいたという理由で音楽を禁忌としていた。けれども歌うことをやめられないミゲルは、「死者の日」に行われる音楽コンテストにこっそり出場することを試みる。それで壊されてしまったギターの代わりに、記念館に展示されている地元の大スター、デラクルスの名品をこっそり拝借するのだが、それを奏でた途端彼の体に異変が起きる。なんとミゲルは生きながらにして死者たちの領域に入り込んでしまったのだ。

「死者の日」とはメキシコのお祭りで、亡くなったご先祖様の霊が現世に帰ってくるのでそれをお迎えしようというもの。…まるっきり日本の「お盆」じゃないですか! 映画『007/スペクター』や『エンドレス・ポエトリー』では骸骨の仮装をした一団がパレードを行なったりしてましたが、地域によって差があるのかこちらではそういうのはなく、普通にご馳走を食べたり音楽を奏でたり、お墓にお供えをしたり花びらで道を作ったりしてました。

メキシコというのも思えばなかなか縁遠い国です。本格的に舞台になってる映画もいろいろあるんでしょうけど、自分は昔の『荒野の七人』や『ボーダーライン』、それにDVDスルーになった『ブック・オブ・ライフ』くらいしかぱっと思い出せません。R・ロドリゲスの「マリアッチ三部作」というのもありますがそっちは未見…
ともかく、『リメンバー・ミー』を通して彼の国の文化や習慣を色々学ぶことができます。家族の絆が強いこととか、ご先祖様や年長者をとても敬っていることとか。こんなところも一昔前の日本とよく似ています。このアニメでミゲルの他に重要な位置を占めているキャラは彼のおばあちゃんとひいおばあちゃん、それに霊になってるご先祖様たちであります。そして主人公の両親もちゃんといるのに影がとても薄い。そんなところがキッズアニメとしてはなかなか変わっております。

あの世の描写もかなり華やかで独特です。普通死後の世界というのはどんより暗くて辛気くさく描かれるものですが、こちらではキラキラと美しくて複雑に入り組んだ、見たこともない歓楽街のような世界を映しだしています。アカデミー長編アニメがここ数年ずっとディズニー系が独占してしまっているのはやはり問題なのでしょうけど、受賞も納得の美術力でありました。
あとご本家ディズニー映画には頻繁に歌が挿入されますが、「歌」そのものをテーマにした作品はほとんどなかったのでは。邦題ともなっている「リメンバー・ミー」という曲、宣伝で何回も聞かされましたが、よくある男女の別れの曲かと思いきや鑑賞後ではがらっと雰囲気の変わるところが心憎いです。途中主役コンビが演奏する「ウン・ポコ・ロッコ」という曲もなかなかよかった。自分は時間の都合で吹替え版で観たのですが、ミゲルをあてている男の子の歌声がとても朗々としてて思わず聞きほれてしまうほどでした。

中盤過ぎからはあの世の青年?ヘクターとのバディものになるところも楽しい。やっぱりピクサーの王道はバディものでありますよね。あと自分は青年と少年が対等のパートナーで冒険するという話が好きなので、そこらへんも高ポイントでした。

Rmbmここんとこ日本ではディズニーご本家やドラえもんに押されていた感のあるピクサーですが、『リメンバー・ミー』は歌を前面に押し出したのが効いたのか、『グレイテスト・ショーマン』と並んで粘り腰のヒットを続けております。タコスをかじりながら踊りたくなる快活な1本でした!

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Comments

> メキシコというのも思えばなかなか縁遠い国です。

飲みねえ飲みねえタバスコ飲みねえ

Posted by: ふじき78 | April 20, 2018 at 11:42 PM

>ふじき78さん

ドンタコスかカラムーチョで勘弁してください!

Posted by: SGA屋伍一 | April 23, 2018 at 10:09 PM

リメンバー・骸骨

Posted by: ボー | May 03, 2018 at 07:24 AM

>ボーさん

骨まで愛して、みたいな

Posted by: SGA屋伍一 | May 07, 2018 at 09:57 PM

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