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April 23, 2018

愛は宇宙も救う ジャン=クロード・メジエール リュック・ベッソン 『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』

Vrn1初期のロマンチックな作風はどこへやら、このごろますます中二的になっているフランスの名物監督リュック・ベッソン。その彼がまたしてもやらかしてくれました。宇宙を舞台にラブ&ピース&ドラッグが駆け回る『ヴァレリアン 千の惑星の救世主』、ご紹介します。

人類が様々な宇宙人と接触し、銀河の隅々まで交易を広げている未来。腕利きの宇宙警備隊員ヴァレリアンは、とある惑星が消滅する夢を見る。その直後相棒のローレリーヌと臨んだ任務で、彼は夢の中で見た真珠を生み出す動物を発見。そんな折、銀河の中心である宇宙ステーション・アルファでは、内部に謎の癌のような空間が発生し拡大を続けていた。夢の疑問を抱えながらヴァレリアンとローレリーヌはアルファの窮地を救うべく奮闘する。

原作はフランスで長年人気を博しているコミック『ヴァレリアンとローレリーヌ』。調べたら自分の生まれる前の60年代から発表されていると知ってちょっとたまげました。日本で言うなれば『コブラ』とか『クラッシャージョウ』といった、ああいうノリのスペースオペラですね。いつも恋人兼部下のローレリーヌと行動していて、ツンデレされたりしてるところが独特です。

この作品でまず嬉しかったのはまず冒頭から多種多様な宇宙人が出てくる点。『スターウォーズ』にせよ『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』にせよ広い宇宙を舞台にしてるわりには、登場する知的生命体はホモ・サピエンス型が多数を占めています。ですが『ヴァレリアン』では動物園さながらいろんな形のエイリアンがひっきりなしに登場するので、宇宙人好きにはたまりませんでした。
わたしが特に気に入ったのは吹替えをアルフィーが担当している関西のあきんどみたいな三人組(下画像参照)。本体はクラゲっぽいのにぱっぱと美女に変身するリアーナの宇宙人もインパクト大でした。

もうひとつ感心したのは宇宙ステーション・アルファの設定。増築につぐ増築で内部に膨大な数のエリアを抱えているのですが、水中に満たされた区域や、電流が絶えず放出されている箇所、濃厚なガスが漂っている部分などがあり、それぞれに適応した生命体が居住しております。そんでそのカオスなステーションの美術がいちいち凝っていて見入ってしまいます。

そういったビジュアルの大洪水の中で、アホらしい描写が次から次へと繰り出されます。クラゲをかぶってトリップしたり、クラゲの宇宙人がポールダンスを踊ったり(クラゲ関連が多いな…)。真面目な人にはむかないでしょうが、こういうラリッたような演出も大変楽しませていただきました。あと毒親のせいで鬱々と悩んでいる役の多いデイン・デハーン君がうってかわってチャラいリア充を演じていたのもほっこりいたしました。

で、この映画原作付ながらベッソンが二十年前に監督した『フィフス・エレメント』のセルフ・リメイクのようなところもあります。軟体動物系の歌姫がいたり、アホらしいストーリーの中でも「愛こそが一番大事」なことを訴えてたりなど。ただ問題はダメなところまで踏襲してしまっていること。『フィフス~』は後半にいくほどおとなしくなってしまう作品でしたが、『ヴァレリアン』も肝心のクライマックスのところでいまいち盛り上がっていきません。自分にはその辺は対してマイナスにはならなかったのですが、世間一般ではそうではなかったようで、「フランス映画史上最大の予算」をぶっこんでいたことも手伝って相当な赤字を記録してしまったようです。気の毒な… やはりここはロケット・ラクーンやポーグのようなあざとかわいいゆるキャラも出して、子供人気を稼いでおくべきだったのかもしれません。

Vrn2日本でもその不遇は変わらず、いよいよ明々後日の木曜日をもって終了のようです。ぶっちゃけ、この宇宙ビジュアルの大洪水はぜひスクリーンで観ておいたほうがいいですよ?(言うのが遅いよ!!) もっともっと早くに応援しておくべきだった… 本当にもう残り少ないですけど最後まで上映ガンバレリアン!!

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Comments

> (言うのが遅いよ!!) もっともっと早くに応援しておくべきだった… 本当にもう残り少ないですけど最後まで上映ガンバレリアン!!

更に輪をかけて遅くTB。
冒頭のパール人が綺麗で良かったなあ。

Posted by: ふじき78 | April 27, 2018 at 12:54 AM

>ふじき78さん

TBありがとうございます。完全に公開おわったかしら…
パール人のおじょうさんはおっぱいがすけてそうで「はしたないわよ!」と怒りたくなりました

Posted by: SGA屋伍一 | April 30, 2018 at 10:20 PM

>初期のロマンチックな作風

そうでしたっけ。長編デビュー作が『最後の戦い』だから、当初からアクション中心のヘンテコSFを撮る監督だったような……coldsweats01

それはともかく、『フィフス・エレメント』が好きでDVDやグッズを買い込んだ私としては、こういう映画が観たかった!と声を大にして云いたいです。
エイリアンたちが、吾妻ひでお氏のマンガに出てきそうな変な奴らばかりで良かったhappy01

Posted by: ナドレック | May 01, 2018 at 09:36 PM

>ナドレックさん

『最後の戦い』は観てないんですよね~ こっちの映画館でも普通にかかるようになった『ニキータ』『レオン』『グラン・ブルー』のあたりで名前を覚えました
不条理・SF・ラブコメといったあたりは確かに吾妻先生の世界…というか80年代ののんきなスぺオペ漫画と通じるものがありますね。最近はそういうのめっきり見なくなったような

Posted by: SGA屋伍一 | May 02, 2018 at 10:43 PM

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