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February 07, 2018

こぐまの刑期と予算 マイケル・ボンド ポール・キング 『パディントン2』

Pdt1作目の感想で「また何年後かにはパディントンに再会できることでしょう」と書きましたが、二年で帰ってきやがりました。
南米からやってきた小熊さんの冒険と生活を描く第二作『パディントン2』、ご紹介します。

ロンドンにもブラウン家にもすっかりなじんだ熊のパディントン。故国のおばさんの誕生日が近づいたある日、パディントンは英国に来ることを望みながら果たせないでいる彼女に、ロンドンの情景を見事に表わした「飛び出す絵本」を贈ることを思いつく。けっこうなお値段のその本を買うために、必死にバイトするパディントン。だがその本にはお宝のありかがこっそり記されていたため、秘密を知る落ち目の役者ブキャナンに盗まれてしまう。その現場を目撃したパディントンはブキャナンの罠にはまり盗難の濡れ衣をきせられ、哀れ刑務所に入ることに…

今回はしょうもない小理屈をこねるのはやめ、完全ネタバレでどこが気持ちよかったかネチネチとつづっていくことにします。

まず冒頭でただ乗りをしながら街の人々に親切をわけていくパディントン。この一連のシークエンスが楽しくよく考えられていて、さらにほっこりさせてくれます。
次いで「飛び出す絵本」を眺めているあたり。紙で出来た人や景色の中をパディントンとおばさんが散策するシーンは昔作られたコマ撮りアニメ版へのオマージュかと思われます。

お話は進み、無実の罪で裁判にかけられる熊八くん。ここで感動したのはあからさまに怪しい状況でありながらごくずかの例外を除き、みんなパディントンの潔白を確信しているところですね。特に被害者の古物商のおじさんが「彼が犯人なんてそんなことあるわけない」と断言するところで、恥ずかしながらガチ泣きいたしました。
その証言もむなしく収監されるプー太郎。ただ彼には悪いけど刑務所の映画というのはもともとハズレが少ないもの。そのうえパディントンが主人公なのですから、コンセプトが決まった時点でこの映画は名作になることが確定したようなものです。
彼がすごす刑務所のなんとゆるやかで楽しそうなこと。こんな刑務所だったら正直わたしも入りたい。まあここだって最初からそんなにパラダイスだったわけではなく、パディントンが努力したからこそそうなったわけですが。

しかし不幸な擦れ違いから脱獄を決意するこぐまのケーキ屋さん。そこから怒涛のクライマックスに流れ込んでいきます。ここで冒頭何気なく出てきた設定やエピソードがビンビン生きてくることに感心します。
パディントンの掃除用具や、犬に餌付けしてたこと、収集車の兄ちゃんに親切にしてたこと、ブラウン家の長男君の趣味が鉄道であること、ブラウンさんがヨガに打ち込んでること、昔的当て名人だったこと、奥さんが遠泳の練習に励んでいること… すべて逆算で作っていったにしても見事すぎる伏線の回収っぷりです。

あと刑務所仲間で途中裏切ったナックルズが「絶対最後に助けにくる」ことはあからさまにわかってるのですが、それでも真剣にハラハラしますし、わかっていてもバカ泣きさせられます。演じるは最近息子さんがよく災難にあってるブレンダン・グリーソン氏。本当に似てない親子というとか、お父さんは頼もしかお人ですね。

そしてまたしても親切が親切で報われるエピローグ。「ああッ モフモフがモフモフをモフモフしてるなんて… 俺もモフモフしたいッ…!!」と完全に理性と涙腺が決壊いたしました。

そうそう、忘れちゃいけないエンドロール後。今回の裏の主役たるヒュー・グラントさんが見事なダンスを見せてくれます。1作目も大好きですけど、ちょっと悪役のニコール・キッドマンが生い立ちのこともあって気の毒だったんですよね。でも「2」では悪役にもちゃんと救済を与えていて心地よかったです。おヒューさんはラブコメが主な活躍畑の方だったので、わたくしあんまり出演作を観てないのですが、いやあ、本当にいい年の取り方をしていると思いました。

Pdt2やっぱり日本ではそこそこの収益の『パディントン2』ですけど、世界的にはぶっちぎりの売上と評価を誇り、当然ながら「3」が決定いたしました。次もまた2,3年後でしょうか。そのころにはまた弟君の背がぐんぐん伸びてそう…
ブラウン夫人役のサリー・ホーキンスがまたまた変な生き物と絡む『シェイプ・オブ・ウォーター』ももうじき公開で、こちらも期待大です。


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Comments

マーマレード・ベアー。
マーマレード漬けにして食っちゃうぞー。

Posted by: ボー | February 16, 2018 at 09:39 AM

>ボーさん

マーマレード漬け… おいしそうだけど糖尿病がちょっと心配なお年頃♪

Posted by: SGA屋伍一 | February 18, 2018 at 10:04 PM

わかった。君には「レヴェナント」の熊とのモフモフを許そう。

Posted by: ふじき78 | February 22, 2018 at 11:14 PM

>ふじき78さん

モフモフに包まれて死ねたら本望

Posted by: SGA屋伍一 | February 28, 2018 at 09:46 PM

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