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January 26, 2018

ああっ ジェシカ様!! ジョン・マッデン 『女神の見えざる手』

Mmt2最初はまーったく興味なかったんですけどツイッターで皆さんが口々に「すごいすごい」「驚く驚く」とおっしゃるので気になってきたこの映画。中心部から2か月遅れてこちらでもかかったので観てきました。いわゆるポリティカル・サスペンスというのでしょうか。『女神の見えざる手』(原題は『Miss Sloane』)、ご紹介します。

業界で超やり手と噂されているロビイストのエリザベス・スローンは、所属している会社が銃規制反対派に肩入れすると聞き、部下をひきつれ退社。賛成派の新進のロビイ会社に転職する。反対派には巨額の資金があり、銃規制の法案を通すことは難しいと思われた。しかしスローンはその深慮遠謀により次々と政治家を賛成派へと呼びこんでいく。しかし勝利が近づいたと思われた時、スローンは以前手がけた仕事の不正を告発され、法廷へと呼び出されることに…

えーと、まず「ロビイ活動」「ロビイスト」とはなんぞや。度々耳にするこの言葉、恥ずかしながらよくわかってませんでした。調べたところによると「特定の主張を有する個人または団体が、政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動」だそうで…
ある法案を通したい団体があったとします。ただ企業や民間団体は直接それができません。政治家にがんばってもらわなきゃならないわけです。その時団体の依頼を受けて議員さんたちに働きかけ、法案を通してくれるようお願いするがロビー活動、ロビイストたちなわけです。米国にはそういうことを引き受けてる会社がいっぱいあるみたいです。名の由来はそういう活動が最初に行われたのがホテルのロビーだったからだそうで… まんまかい!
日本においては「ロビー活動は利権団体と政治家との癒着・買収の一形態というイメージが強く、快く見られないことから、表立って行われることはない」とか。…じゃあ知らなくても無理はないか(いいわけ)。少し前作られたドラマ『ハゲタカ』もこのロビー活動を題材にした作品とのこと。

…とくどくど説明するとさぞ込み入った話かと思う方もおられるかもしれませんが、そんなことはありません。相容れない二つのグループが真っ向から対決するストーリーなので単純明快です。その戦いの中で俄然存在感が際立っているのが原題でもあるスローン女史。本当にこの映画は彼女のために用意されたものであり、彼女を中心にすべてが回っています。おそらく戦国乱世に生まれたならば彼の諸葛孔明のごとき天才軍師として名を馳せたに違いありません。その手腕に舌を巻く一方で、あまりにも手段を選ばないそのやり口に生ぬるい人間としてはさーっとひいてしまうところもあったり。少し前の『ナイトクローラー』の主人公とも少し似たところもあります。

なぜ彼女がそこまで銃規制にこだわるのか、あるいは銃のことなどどうでもよく、単に華々しい勝利をおさめたかっただけなのか… ともかく、なぜそこまで「勝ち」に貪欲なのか、劇中でははっきりとは明かされませんでした。「そういう社会で生きてきた」みたいなことをちらっと言ってはいましたが、背景については我々が想像するしかありません。このあえて彼女の過去を語らなかったことこそが、映画に深みをもたらしている気がします。

あとまったく人をよせつけないようなキャラでありながら、人間としての弱さもそれなりに持っている描写もチラチラあります。それなりに性欲もあるようで、ホテルにコールガールならぬコールボーイを呼んでエッチらおっちらやってるシーンもあります。この辺のくだりは別にいらないんじゃ…と思いながら観ていたのですが、終盤これがけっこういい感じで生きてきまして。まさか自信満々で筋肉ムチムチのコールボーイに泣かされるとは思いませんでした。男子たるモノこうありたいものです。

こうした傑物を女優…ジェシカ・チャスティンが演じているのが感慨深いものがあります。彼女だからこそ凛とした美しさもあるし、強さの裏の痛々しさも引き立ちますし、底に漂う情念なども漂ってまいります。そういえば昨年の米国の売上トップ3は『スターウォーズ ジェダイの復讐』『美女と野獣』『ワンダーウーマン』で、いずれも強い女性が主人公の作品。こういうたくましいヒロインが求められてる時代ということなのでしょうか。

Mmt1『女神の見えざる手』は好評ゆえかまだ全国の映画館で細々と公開中。先週から小田原でも始まりました。チャスティン姉さんは今年はX-MENの新作で銀河帝国の女帝様を演じるという噂もあります。これまた強そう… 素敵!!

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Comments

こんにちは。
年明けから何故かココログさんにTBが飛ばなくなってしまい、もしかしたら自分ではTBを送っているつもりの失礼がありましたらどうぞお許しください。

本作に限らず、ジェシカ・チャスティンは強い女がめっちゃ似合っていますよね。ホント、記事に書かれていらっしゃるように戦国時代に生まれていたら…!
まあとりあえず彼女とはビジネス上で敵対する関係でなくて良かったです。

Posted by: ここなつ | January 30, 2018 at 06:42 PM

>ここなつさん

お気になさらず~ こちらも返事が遅くなり申し訳ありません

最初にジェシカさんを観た『ツリー・オブ・ライフ』の時は儚げなイメージだったのですが、その後はたくましい役をバンバン演じられてますよね… とりわけ今回はこれまでのキャリアでも最強といっていいのでは。降参あるのみです

Posted by: SGA屋伍一 | February 05, 2018 at 10:25 PM

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