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January 17, 2018

カレーの国の王様・完結編 S.S.ラージャマウリ 『バーフバリ 王の凱旋』

Bbog1インドで歴代興行収入第1位の記録を作った『バーフバリ 伝説誕生』。その記録を塗り替えたのはやはり『バーフバリ』でした。衝撃の結末のあとを継ぐ『バーフバリ 王の凱旋』、ご紹介します。前作の記事はコチラ

数奇な運命に引き寄せられ暴君に立ち向かうことになった男・シブドゥは、戦いの最中己が伝説の王アマレンドラ・バーフバリの息子…マヘンドラ・バーフバリであることを知る。父の遺臣であるカッタッパは、マヘンドラに先代の物語を教える。その数々の偉業、なぜ無敵の彼が死を遂げたのか、そして彼を殺めたのは誰だったのか… 話を聞くうちにマヘンドラの胸の炎は一層熱く燃え盛っていく。

というわけで前作は途中から主人公のお父さんの話に突入してしまい、しかも語りきらないうちに幕となってしまいました。後編も当然冒頭からアマレンドラの話が続くことは予想できましたが、これがいつまで経っても終わらない(笑) というかもしかすると息子よりもお父さんのパートの方が長い…? もはやどっちが主人公なんだかわからなくなります(両方じゃないの)。
普通に第一部をパパ編、第二部をセガレ編とすることも出来たと思うのですが、なんでこんな構成にしたのか考えてみました。
以下は結末以外ほぼネタバレで語っていくのでご了承ください。

rock
punch
rock
punch

まず先代のバーフバリがすでに亡くなってる状態から前作は始まります。で、その無双の伝説を我々は子バーフと一緒になって聞くわけですが、彼と同じように「なんでそんな強い人が死んじゃったの?」という疑問が高まっていきます。そして彼を殺したのが忠臣カッタッパだったということが明かされるとますます頭が「???」で満ちていきます。今作『王の凱旋』ではそうした秘密が徐々に解き明かされていく面白さがあるのですね。前作公開からその真相を約9ケ月待ちましたが、インドの人たちは一年半以上待ったようなのでさぞつらかったことと思います。

それにしてもだまされたとはいえアマレンドラを死に追いやってしまった「決して間違えない」と言われてる国母シヴァガミ様。息子にいいように操られてけっこう痛い失策を色々やらかしています。「おばさんボケてんじゃないの?」と思いますが、こんな話シェイクスピアにチラホラあったような。それなりの分別があったはずの権力者が身近な人物の諫言に踊らされて、取り返しのつかない失敗をしてしまうという。『バーフバリ』は全体的に「『ハムレット』っぽい」なんてことも言われてますし、シヴァガミ様が肩書ほど賢人でないのも監督のシェイクスピア・オマージュなんだと思うことにします。あとやっぱりこの父バーフが追いつめられていくくだりがすごく計算されてて脚本がうまい。

それほどにかわいそうな目にあわされながらも、なおも養母を思うアマレンドラが健気で、「こんなトンデモ映画でなんで俺は…」と思いつつ泣かされてしまいました。

そしてようやくお話が語り終えられた時、マヘンドラもわたしたちも悪王バラーラデーヴァへの怒りがMAXに達することになります。そのボルテージを保ったまま一気に復讐編へと突入するのですから、これが気持ちよくないわけがない。先に述べたように親編・子編で二つに分けていたら間に9ケ月のインターバルがありますから、我々の怒りもだいぶしぼんでいた恐れがあります。その点でもこの構成はよくできてるなあ…と思いました。

そのクライマックスの攻城戦は前作以上の無茶アクションが炸裂し、さっきこぼれかけた涙がひっこむほどでした(笑) バネで飛ばしてパチンコ玉のように城内に入るというアレですが、普通は地面に激突して即死だと思います。現に?酒見賢一先生原作の『墨攻』という漫画でも同じようなことをやってて、そちらではパラシュートつきだったにも関わらず9割ほど死んでました。ところがこちらでは「盾でガードしてるから」という無茶な理屈でどなたもこなたもピンピンしてるという。そんな風に気合で大抵のことはなんとかなってしまう世界なのですね。なんとも恐ろしく、なんとも痛快であります。

暴れるだけ暴れると潔くバサッと締めてしまう本作品。ネットなどでは第3部の噂も流れてましたが、主演のプラバース氏によるときっぱり「第3部はない。これで終わり」とのことです。代わりに小説やアニメで外伝的な話がいろいろ展開されるのだとか。
わたしも前の記事で「2作できっちり終わらせてください」と書いてましたが、やっぱりこの荒唐無稽な世界がこれでおしまいなのはもったいない…という気になってきました。直接の続編は無理でも同種の世界観を生かしたファンタジー大作がまた観たいものです。

Bbog2この2部作もうひとつ不思議なことがありまして、1部はコロナ小田原でかけてくれたのに2部はやってくれず、代わりに1部をかけてない駿東郡清水町の映画館で2部を上映してくれたり。いきなり2部とかやってお客さん入るのだろうか…と思いましたが、思い切りがいいのかDVDで予習してきたのか、10数名ほどお客さんが入っていたのは驚きでした。あるいはわたしのようにその中間地点に住んでる方ばかりだったのか。まあ映画の内容に比べればめちゃくちゃちっぽけなどうでもよいことです。

『バーフバリ 王の凱旋』はまだ少数ながら上映してるところがありますので、いまだかつてないトンでもね~~~史劇が観たい方はぜひごらんください。冒頭に短い「これまでのあらすじ」も入りますので、いきなりこれから観ても(たぶん)大丈夫です!


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January 15, 2018

正解の車窓から アガサ・クリスティー ケネス・ブラナー 『オリエント急行殺人事件』

Oksj1_2昨年の12月はスターウォーズがあったせいか洋画大作の公開がえらく少なかったんですけど、そんな中唯一果敢に真っ向勝負を挑んだのがこの作品。アガサ・クリスティーの代表作を、名匠ケネス・ブラナーがアレンジした『オリエント急行殺人事件』、ご紹介します。

世界的名声を誇る探偵のポワロはイスラエルで見事依頼された事件を解決し、休暇のためオリエント急行に乗車する。だが名探偵の宿命か、ポワロは列車の中で殺人事件に遭遇してしまう。ほとんどの乗客にアリバイがある中、ポワロは「灰色の脳細胞」を駆使して真犯人を暴き出すべく捜査を始める。

原作は「犯人が意外な推理小説ベスト」によくあげられる作品でして、これに並ぶものがあるとすれば同じくクリスティーの『アクロイド殺し』と、エラリー・クイーンの『Yの悲劇』くらいでしょうか。そんだけメジャーな作品なのでミステリーの解説書には大抵「こういう人が犯人」と堂々たるネタバレが書いてあったりして…
倒叙物は別として、犯人がわかってるミステリーほどつまらんものはありません。ので、この映画もスルーするつもりだったのですが、時間が空いたのと、一応名作のストーリーくらい知っておいた方がいいかと思って観てきました。オリエント急行からの風景を眺めて旅する気分も味わえますしね♪(ほとんど雪景色でしたが)

結論から言うと肝心なネタが割れててもけっこう楽しむことができました。理由の一つはポワロというキャラクターの面白さにあります。当代随一の名探偵でありながら、やることがいちいち子供っぽいんですよね。たとえば朝食に食べる二つのゆでたまごはぴったり同じ大きさじゃないといやだとか。ほかにも我々だったらどうでもいいと思えることにやたらこだわります。特に「左右均等」であることには。あとおいしそうなものに目がなかったり、当時の大衆娯楽であるディケンズをゲラゲラ笑いながら読んでたり。ぶっちゃけて言っちゃうとすごく古畑任三郎っぽい。この辺はブラナー監督のアレンジがけっこう入っていると思われます。
ブラナー氏のアイデアといえば、ポワロの口髭がやたらでかいのもそのひとつ。なんでも自分をユーモラスに見せることで犯罪者たちを油断させる狙いがあるんだそうです。

一発アイデアものかと思いきや、けっこう人情ものっぽかったのはなかなか意外でした。そう、あんまりこういう言い方するとよくないですけど、『オリエント急行殺人事件』ってけっこう泣けるミステリーなんです。ただそういう情状酌量の余地がある場合でも法律を貫こうとするのがポワロ。彼が融通を利かせてくれるのかどうかがこの映画の山場のひとつだったりします。

雪景色ばっかりといえども、やっぱりオリエント急行の旅を疑似体験できたのも気持ちよかったです。オシャレな車内、美形ぞろいのお客たち、レトロな時代背景… 雪の中の脱線はちょっといただけないですけど、そういう時どうやって解決するか、というのも興味深かったです。

Oksj2そんなに話題になってるようには思えなかったんですが、『オリエント急行殺人事件』はすでに世界で製作費の5倍以上を稼いでいるため、すでに第二弾にゴーサインが出ました。監督・主演のケネス・ブラナーが続投で今度は『ナイルに死す』をやるんだとか。こちらは犯人を知らないので、2,3年後になるでしょうか楽しみに待ちたいと思います。

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January 10, 2018

学者・医師・僧侶・神・教師・風来坊 『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』

20180110_130307以前は熱心にチェックしていたのに、微妙な作品が多くてついつい足が遠のいていた仮面ライダー映画。しかし「今度のは違う…」と聞いて半信半疑…いや、2割信8割疑でひさしぶりに観てまいりました。『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FINAL ビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』ご紹介します(相変わらずタイトル長い…)

巨大な壁により日本が3分割された世界。仮面ライダービルドこと桐生戦兎は怪人たちが現れたと聞いて相棒の仮面ライダークローズ=万丈龍我と共に現場に向かうが、謎の男「カイザー」の力により龍我は並行世界に飛ばされてしまう。そのもうひとつの世界で、龍我は同じように多くの「仮面ライダー」たちが存在していることを知る。やがてカイザーの企みが2つの世界を融合させ、消滅させてしまうことだと暴いたライダーたちは、次元を越えて手を組み、人々を守るために悪の帝王に敢然と立ち向かう。

最近のライダー映画には前作と放送中のライダーが競演する「冬映画」と、とにかくうじゃうじゃと全員集合する「春映画」、そして現行のライダーがピンで主役を張る「夏映画」があります。
いわゆる「春映画」に不評が多いのは、ライダー各作品の世界観がないがしろにされてしまうことが多いからでしょうか。「中の人」が出てくるのは全体のうちわずかで、ほとんどは変身しっぱなし。そして前の「彼ら」だったらやらないようなことを普通にやらかす。要するにガワは同じだけど中身は別人ぽいライダーが大量にうろちょろしてるだけのように見えてしまうのです。オタ…ファンはそういうところに厳しいのです。

ただこれには仕方ない事情もあります。いまや若手俳優の登竜門と化している東映特撮ですが、番組終了後中の人がブレイクしてしまうとギャラが高騰して(あるいは事務所の思惑で…)、「ライダー」として呼べなくなってしまうからです。佐藤健しかり、菅田将輝しかり。去年までは出られた竹内涼真君も今年は出られなくなったりとか。
しかし今回は大枚をはたいたのか、なんと久方ぶりに躍進著しい福士蒼汰君を「フォーゼ」として呼び戻すことに成功しました。他のライダー…オ―ズ、鎧武、ゴースト、エグゼイドらもみな放映時と同じキャストを集めております。オタ…ファンはこういうのに弱いのです。それは彼らの演告知のツイートが、東映映画公式Twitterアカウントの史上最高となる1日で5万リツイートと5万いいねを記録したり、ライダー映画としては何年かぶりかの週末1位を記録したことにも表れています。そしてさらに嬉しいのは、この映画が各シリーズのちゃんとした「後日談」になっているところ。

特に力を注がれていたと思しきは平成12作目となる『仮面ライダーオ―ズ』。主人公の映児のみならず、消滅したはずの相棒・アンクまで登場させてくれました。そしてこのアンク復活のくだりがなかなかよく考えられていたり、7年経った今でもコンビが全然変わっていないところに泣かされました。まあ全体からすれば彼らの登場場面は決して多いわけではないんですけど、それでもわたしにとってこの映画はウン年越しの『オ―ズ』の正統的な続編でありました。

各ライダーの主題歌が代わる代わる流れるエンディングがまたよかった。ろくろく観てない作品もあったけど(笑)、脳裏でここ数年の彼らの活躍がバーッとフラッシュバックしていくようでした。例によってストーリーは荒削りで強引なところもありましたが、そこは大事なところではないからいいのです。やればできるじゃないですか! 東映さん!!

さて、こんだけいいものを作ったあとで、問題の「春映画」はどうするのだろう…と思っていたら、今年はぐっと方針を変えてネット配信だった作品『仮面ライダーアマゾンズ』の劇場版をやるのだそうです。気になったので今更シーズン1をレンタルで鑑賞してみたら、これまた『寄生獣』の系譜につらなる大変な力作でした。劇場版の公開前に項を改めて感想を書くつもりでおります。
20180110_130212陛下も退位されることが決まり、「平成」ライダーたちの時代もそろそろファイナルを迎えつつあります。まあ元号が代わり、休止期間が訪れることがあっても仮面ライダーはこれからも戦い続けるのでしょう。ひきつづき応援してまいります。


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January 09, 2018

ゼロから始めりゃいいじゃない 谷口悟朗 『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』

Cdg11少し前「外伝」の『亡国のアキト』が完結し、『コードギアス』もこれで収束かな…と思っていたら間を置かずに本編が帰ってまいりました。旧TVシリーズを劇場版に再編集した三部作の第一部『コードギアス 反逆のルルーシュⅠ 興道』、ご紹介します。

大国ブリタニアが世界を牛耳っているもうひとつの「現代」。まだ幼いブリタニアの王子ルルーシュは目と足が不自由な妹と共に政治取引の材料として日本へ送られ、そこで首相の息子枢木スザクと友情を育む。
しかし穏やかな日々は長くは続かず、ブリタニアは日本に侵攻し力ずくで自国の領土としてしまう。自分の存在をないがしろにされたルルーシュは父とブリタニアへの復讐を誓う。
それから数年後、一介の学生として身分を隠しながら暮らしていたルルーシュは、偶然軍が極秘に護送していた謎の少女C.C.に出会う。そして成り行きから彼女と「契約」を交わしてたルルーシュは、悪魔の力「ギアス」を手に入れたのだった…

『コードギアス』第1期放映開始からはや11年と少し(もうそんなに経つのかよ…)。ここでもちょくちょく感想書いてましたけど、当時はそりゃあ夢中になって毎週観てたものでした。
今回は総集編ということで観ようかどうか迷っていたのですが、映画館の予告で主題歌の『COLORS』が鳴り響いたら懐かしさがどーっつ押し寄せてきて、結局鑑賞することにしました。
で、改めて思いましたけど、やっぱ面白いですわ、このアニメ。伝奇物語として、架空歴史ものとして、超能力SFとしてよく出来てる。そしておまけにオシャレなロボットまで大活躍するんですけど、実はこれ、ロボット出なくてもストーリーにほとんど支障ない気が… でもやっぱりロボがいた方が画面が華やかになりますしね! 出すことに決めた製作陣に大いに賛同いたします。

あともうひとつ感心したのは見事な編集ぶり。この込み入った全50話の物語を3作の映画にまとめるのってすごく大変なことじゃ…と思っていたのですが、非常に自然に「はしょった」感もなく、約1/3にあたる17話くらいまで一気にまとめあげておりました。同じくギアス保持者であるマオとの戦いのくだりはばっさりカットされましたが、あそこはどちらかといえば脇筋で、なくても特に問題ありませんし。あと総集編でありながら、これをいきなり観た人でもちゃんと話が、面白さがわかるようになっていたのも偉かったです。

話は変わりますが、ちょうどいまネットフリックスで『デビルマン』の新作『crybaby』が配信中。これの脚本が『コードギアス』と同じ大河内一楼氏なのですね。大河内氏は『革命機ヴァルヴレイヴ』でも人情家タイプと冷徹な天才タイプの友情とぶつかり合いを描いておりましたが、もしかしたらその源流は『デビルマン』にあったのかなあ…と憶測しております。

2017best12はやくも来月には第2部『叛道』が、5月には第3部『皇道』が予定されている劇場版『反逆のルルーシュ』(うちの方は少々遅れて公開される可能性が大ですが)。次はストーリー中最大の悲劇が訪れるあのくだりをやるのだろうなあ…と思うとちょっと気が重いです。観ますけどね。
そして全3作が完結したそのあとは、TVシリーズのその後が作られるという… いったいどうやって?と首をひねらずにはいられませんが、しばらくはこれまでのルルーシュ君の歩みをもう一度見守っていこうと思います。

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January 08, 2018

チェコっとだけストレンジャー カレル・ゼマン 『ほら男爵の冒険』

Hdb1_2ようやく2018年最初の更新です… もう一か月前になりますが、久方ぶりのユジク阿佐ヶ谷で気になったるーい映画がかかっていたので観てまいりました。『ほら男爵の冒険』(1961、チェコ)ご紹介します。

時は多分20世紀半ば過ぎ。月へとたどり着いた宇宙飛行士は小じゃれたなりをした先客たちと出会う。「ほら男爵」と仲間たちである。ほら男爵は飛行士を天駆ける帆船にのせ、ともに地球へ帰還する。二人は中東、大海原、戦争中の城砦と、様々な場所へ冒険を続ける。

ついさっき調べたばかりなのですが、ほら男爵=ミュンヒハウゼン男爵は実在の人物なんだそうで。サロンでけったいなほら話をしてはみんなを楽しませていたので、そんな異名がついたのですね。彼の死後そのほら話に各地のいろんな民話がまざり、今でいう「ほら男爵の冒険」が出版されました。そのバリエーションは軽く100を越えるとか。
わたしがこの物語に最初に触れたのは星新一氏によるパロディ『ほら吹き男爵 現代の冒険』でありました。その後TVでテリー・ギリアムの『バロン』を観て大いにはまったりもしました。今回阿佐ヶ谷まで出向いたのもギリアム版みたいなのが観られれば…と思ったからです。

ちなみにこの映画、「ブルデチュカ映画祭」なるイベントで上映されておりました。イジー・ブルデチュカはチェコの脚本家でアニメ、西部劇など多彩なジャンルにわたって活躍されたそうで。そのブルデチュカさんが映像作家カレル・ゼマンと組んだのがこの1961年版の『ほら男爵の冒険』です。ウィキを見ますとゼマンさんは「特撮映画監督」と紹介されてますが、その技法は極めて独特です。わたしたちが思い浮かべる特撮とはかなり違う。主に人間は実物を使っているのですが、背景はセットだったり、緻密な精密がだったり、アニメだったり。文章で書いてもわかりにくいのでこちらの紹介動画を見た方がはやいと思います。CGが生まれる以前、こんな自由奔放で様式美溢れる「特撮映画」があったとはまことに驚きです。

ちなみにこの映画が出来た1961年はガガーリン氏が世界初の有人宇宙飛行に成功した年で、その8年後にアポロ11号が月に降り立ちます。人々の目が宇宙に向いていた時代だったんでしょうね。宇宙飛行士がちゃんとフード付きのヘルメットをかぶっている一方で、ほら男爵と仲間たちは月面で普段通りのファッションを貫いているあたりはなかなか人を食っております。

日本のみならず海外でもアニメと実写は完全に分けて作られることが多いですが、このカレル・ゼマンや他のチェコアニメの作家はその辺にはこだわらず、実写とアニメをシャッフルした奇天烈な映像世界を作りあげています。本当に変わっていますね、チェコのクリエイターは… でもそこが面白い。ゼマン氏が手掛けたというウェルズ原作の他の作品も観たくなりました。

Hdb2この『ほら男爵の冒険』は今では『悪魔の発明』と抱き合わせになったブルーレイが最も手に入りやすい様子。お値段は約7000円とちょっと張りますが興味ある方はどうぞ!

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