« 瞬間、心、重なっちゃったりして ナチョ・ビガロンド 『シンクロナイズド・モンスター』 | Main | ストーリー・オブ・騒動 完結編 久保茂昭  『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』 »

December 04, 2017

This is… スティーブン・キング アンディ・ムスキエティ 『IT/イット "それ"が見えたら終わり。』

It130年前ベストセラーとなったスティーブン・キングの代表作が、なんでかいまごろ再映像化。ところがこれがアメリカで大ブームを巻き起こしておりまして… 『IT/イット "それ"が見えたら終わり。』ご紹介します。

80年代末、メイン州はデリー。少年ビルのまだ幼い弟は、ある雨の日こつ然と姿を消してしまう。そのころ街では子供の失踪事件が多発していた。弟を諦めずに探すうちに、ビルは転校生ベンからデリーでは27年ごとに大きな災厄が訪れていることを教えられる。やがてビルと仲間たちにも及ぶ魔の手。そして彼らは災いをもたらすものが、相手が恐怖する存在に変身できる怪物「IT」であることを知る。

いきなり中バレですが、原作『IT』は文庫本で全4冊もある大長編。「大人編」と「子供編」が交互に語られて同時進行していくという構成です。こんな話どっかで聞いたような…(『20世紀○年』…)  今回は二時間ちょいの枠に収めるためばっさり「大人編」をカット。『スタンド・バイ・ミー』のような少年の夏休み冒険談がずっと続きます。ホラー風味で。

何度も書いてますけど自分はホラー苦手のチキンメンです。この映画もあらすじを知ってるのにかなり怖かった。よく子供のころ、学校の一室とか大きな家のあまり行かない部屋とか何か潜んでそうで異様におっかなかったりしたじゃないですか。『IT』はそんな懐かしい恐怖をこれでもか!というくらい思い出させてくれます。それでも耐えられたのはちょっとこの『IT』、ホラーとしては掟破りなところがあったからでして。
ホラーというのは一応観客を怖がらせることを主眼としています。しかし人間が抱く恐怖が怪物のエネルギーであったことを知ったビルたちは、その恐怖を克服しようと懸命に闘うのですね。だから後半はおっかないというより燃える展開になるんです。まだ非力でいじめっ子にもひるんでいるような少年たちが、人知を超えた化け物に勇気ひとつで立ち向かっていく… これが熱くならずにいられるでしょうか。逆に生粋のホラーファンにはこの辺調子が狂うかもしれません。

わたしも原作読んだのだいぶ前なので忘れているところもいっぱいあるんですが、今回特に気づいたのは少年たちの保護者がどなたもこなたも毒親ばっかりだということ。キング作品には問題児ならぬ問題親がよく出てくるのですが、本作品はさながらその集大成といった感があります。怪物だけでなく家庭でもストレスにさらされる子供たちを見ているのは実につろうございました。まあキング先生はけっこう子供たちに対して情け容赦ないところがありますよね… 天使のような幼子でさえぶっ殺したりするし(T T) その辺は全体的にさわやかであってもさすがはキング・オブ・ホラーです。

ちなみにこの『IT』、現在アメリカでは今年ヒットした映画の第5位をマーク。ホラー映画としては歴代第一位の座を獲得しています。なんでそんなに売れたのかはよくわかりません。最近の80年代ブームにうまくのっかったからかな? でもそれだけではこれだけの数字は叩き出せないだろうし。やっぱり原作のもつスリルや謎解きやキャラクターの魅力を存分に再現できたからかなあ。

あとこれは洋画に限られないんですけど、ここ2,3か月は純愛ものよりもなぜか「力を合わせて戦おう!」というタイプの映画や「兄弟の絆」を強調した作品がヒットしておりますね。今の世相となにか関係あるのかは…すいません。よくわかりません。

It2というわけで『IT/イット "それ"が見えたら終わり。』は日本でも地道に売り上げを伸ばしており、3週目にして1位をゲットするというまさしくモンスターのようなしぶとさを見せています。
そして予想通り今回オミットされた「大人編」も製作がアナウンスされました。約二年後の2019年9月に全米公開を予定しているとのことです。

|

« 瞬間、心、重なっちゃったりして ナチョ・ビガロンド 『シンクロナイズド・モンスター』 | Main | ストーリー・オブ・騒動 完結編 久保茂昭  『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』 »

Comments

糸 それが切れたら終わり。

Posted by: ボー | December 05, 2017 at 07:07 AM

伍一くん☆
アメリカではそんなにヒットしているのね?!
でも確かに恐怖の対象が身近にある環境は、ゾンビものに比べて共感しやすかったし、特に子供の頃の悩みや親との確執などテーマが判りやすいのが良かったよね☆
2年後に大人編なのね~楽しみ!!

Posted by: ノルウェーまだ~む | December 06, 2017 at 12:45 AM

>ボーさん

糸が切れたら結べばいいじゃない!

Posted by: SGA屋伍一 | December 06, 2017 at 09:36 PM

>ノルウェーまだ~むさん

洋画では時々こういうジュブナイル的な作品がありますよね。
文中でもあげたスタンド・バイ・ミーや、スーパー8、あとわたしはグーニーズなんかを思い出したりしました。
でも大人編があるのはITくらいかな。大人編はもっと怖そうだけどがんばって観ます…

Posted by: SGA屋伍一 | December 06, 2017 at 09:39 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/70832/66122344

Listed below are links to weblogs that reference This is… スティーブン・キング アンディ・ムスキエティ 『IT/イット "それ"が見えたら終わり。』:

» 「IT/イット “それ”が見えたら、終わり。」 [或る日の出来事]
イット・イズ・ア・ピエロ。 [Read More]

Tracked on December 05, 2017 at 07:04 AM

» 「IT イット ’それ’が見えたら終わり」☆ぞわぞわ鳥肌 [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
とにかく映像的に怖いっ! ストーリーはいたって簡単な、少年たちのひと夏の冒険&成長物語なのに、とにっかく怖い。 それぞれが抱えるトラウマを克服したら事件は解決するのが判っているから、安心して観ていられるのに、めちゃくちゃ怖い、 久しぶりにぞわぞわと鳥肌が何回も立ってしまって…... [Read More]

Tracked on December 06, 2017 at 12:41 AM

« 瞬間、心、重なっちゃったりして ナチョ・ビガロンド 『シンクロナイズド・モンスター』 | Main | ストーリー・オブ・騒動 完結編 久保茂昭  『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』 »