ストーリー・オブ・騒動 完結編 久保茂昭 『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』
♪はいやー はいやー はいやー はいやー 2か月前の第二弾の後を受けて、畳み掛けるように公開された第3作。『HiGH&LOW THE MOVIE 3 / FINAL MISSION』、ご紹介します。1、2作目の感想はこちら。
とうとうSWORDをつぶすべく本格的に動き始めた九龍会。必死で抵抗するコブラたちだったがその力の差は圧倒的で、山王連合をはじめ各チームは壊滅的なを被害を受ける。国の事業のために地区の中央にあるスラム「無名街」は爆破されることが決まり、コブラもついには九龍会の手に落ち拷問を受けることに。SWORDの若者たちに果たして明日は来るのか…
前作ラストでヤクザの組長相手に300キックをかましたコブラ君。ただでは済むまいとは思っていましたが、予告を見たら裸にむかれてコンクリを飲まされそうになっていたからビックリです。それほど思い入れのあるキャラでもなかったのですが、彼の胃袋が心配で心配で結局公開1週目に観てまいりました。自分も仕事柄コンクリを扱うことがあるので、人体にどういう影響があるのか知っておきたかったし。
というわけで自分的にはそのコンクリシーンのあたりがスリルのMAXでした。いや、全体的に大変楽しませていただきましたけどね(笑)。
ただTLを眺めていると「ちょっと物足りなかった」という声もちらほら。思いますに、これまでコブラ君たちは気合と拳ですべて物事を解決してきました。ところが今回彼は初めて「拳だけでは解決できない」壁にぶち当たってしまうのですね。ではSWORDの皆さんがどうしたかと申しますと、拳と一緒に頭も使い始めちゃうという。これがなかなかに強引な作戦なんですけど。ともかくそんな風にちょっと大人になってしまったコブラちゃんと仲間たち。でもこれまでのファンたちにしてみれば、あくまでガキの拳で悪者たちをぶっとばしてスカッとさせてほしかったのかもしれません。
あと極悪マフィアみたいだった九龍会も終盤に来て急に「あ、ぼくたち悪かったかな」みたいなことを言いだして自分たちを反省し始めるのですね。悪者ヤクザだったらそこは自分を見つめなおしたりしないで、最後まで本当~ににくたらしいワルでいてくれないと。そして主人公たちに完膚なきまでに叩き潰されてくれないと。この辺が微妙にずれてるがゆえにややカタルシスが削がれた気はします。自分は懐の広い人間なので、「まあこんなんもありか~ツ」と思いましたけど。それに若いお兄ちゃんたちが画面狭しとピョンピョン元気に飛び回っていたのは、1,2と比べて全くひけをとらなかったし。
今回印象に残った点の一つは、コブラちゃんがようやく主人公らしくなってきたということ。実は2の途中くらいまでは、山王の頭二人がどっちがコブラでどっちがヤマトなのかよくわかってませんでした。だって彼らって大抵いつも二人でいるし、1では九十九さんが、2ではロッキーばかりが目立っていたし。でもまあこの度はコブラ君も一人で真剣に悩んでたり、コンクリ飲まされかけたりしていてちゃんとお話の中心になっていた気がします。
目だっていたといえば窪田正孝君演じるスモーキーもようやくちゃんとした見せ場が巡ってきました。映画しか観てない身からすると、これまでずっと寝たきりで具合が悪いというイメージだったので。窪田君は自分は『ケータイ捜査官7』のころから知ってますけど、顔がスクリーンに大写しになっても普通に鑑賞に耐える、いい俳優さんになったな…と思いました。
ハイロ―らしいヘンテコな部分も健在。たとえばSWORD地区にカジノを作るために政府は「爆破セレモニー」なるものを敢行するのですが、ちょっとこういうことを思いつくお役人さんは頭がどうかしてると思います(笑) でもハイローの世界ならアリなんでしょうね! それにやっぱりタイトルに「MISSION」と入っていたら爆破を防がないといけない気がします。
ひとまずこれで幕となったっぽい「HiGH&LOW」シリーズ。でもまた伏線っぽいものを匂わして終わっちゃったし、それなりにヒットしたしで続きが作られそうな匂いがプンプンします。自分はそんなにがっつりはまったわけではありませんが、この変な勢いのあるタイトルがこれで終了してしまうのは確かに惜しい。邦画界の異端というかカルトとして、まだまだがんばってほしいものです。♪はいやー はいやー はいやー はいやー
« This is… スティーブン・キング アンディ・ムスキエティ 『IT/イット "それ"が見えたら終わり。』 | Main | まんが2本昔話 トラヴィス・ナイト 『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』 »
Comments