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December 26, 2017

続・新・惑星大戦争 ライアン・ジョンソン 『スターウォーズ 最後のジェダイ』

Sw81ここ3年、年末の恒例行事と化している『スターウォーズ』。今年もやってまいりました。新世代と旧世代の交錯を描く「続3部作」の第2弾。『最後のジェダイ』、紹介いたします。直接の前作となる『フォースの覚醒』の記事はこちら

巨大兵器スターキラーを破壊したはいいものの、結果ファーストオーダーからの猛追を受けることになったレイア率いるレジスタンス。圧倒的な戦力差により彼らは次々と艦を沈められていき、全滅も時間の問題かと思われた。レジスタンスの火の玉パイロット、ポー・ダメロンは昏睡から目覚めた戦友フィンと語らって一発逆転の奇計を練る。
一方彼らと離れて伝説の英雄ルーク・スカイウォ―カ―を探していた新世代のフォースの使い手・レイはついにその人と相対する。だがルークはレジスタンスに協力してほしいという彼女の願いをあっさりはねのける。どうしたものか考えあぐねていたレイの意識に、ある意外な人物の思念が飛んできた。

時代を越えた人気作ゆえ、ファンの数も膨大なスターウォーズ。それだけにその面倒くささも群を抜いています。まさにファンの数だけ理想のスターウォーズがあるというか。彼らすべてを納得させる作品があるとすれば、それは一番最初に作られたエピソード4『新たなる希望』くらいのものでしょう。そんな不利な状況の中で比較的多くのファンから好意的な評価を得たのが前作『フォースの覚醒』でありました。ところがこの度の『最後のジェダイ』は評論家筋からのウケはいいものの、一般のファンたちは賛否を巡って大激突。「正式なストーリーからはずすように」という署名活動まで行われていて、とんでもなくめんどくせ~~~状況になっております。

特に物議を醸してるのは、やはり旧三部作の主人公だったルークの描かれ方でしょうか。あ、ここからかなりネタバレしていくのでその点ご了承ください…

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この度の新作、意外なことにシリーズの産みの親ジョージ・ルーカスは大変満足しているそうで。それは彼や監督のライアン・ジョンソンがルークを「神話の英雄」と考えてるからでしょう。旧約聖書、ギリシャ神話、北欧神話、その他多くの世界に伝えられている神話の英雄にはある種の定型があります。それは多くが「悲劇的な最期」「英雄的な死を迎える」というものです。あと彼らは決して完璧な存在ではなく、一時的な激情に駆られて取り返しのつかない失敗をしたりするものです。今回のルークはまさにそんな存在でした。

しかし子供のころから現在進行形で親しんでいるファンにとっては、それが許せないのだと思います。彼らにとってアメリカが産んだ最高の物語の主人公であるルークは暗黒面などまったくない、明るく汚れない人物でなければならないのでしょう。英雄であると同時に、キリストやスーパーマンのような聖人性も兼ね備えたキャラクターとしてとらえている。そしていつまでも明るくさわやかなアイドルでいてほしい。今回の大論争は特にこの辺の解釈の違いに端を発していると考えます。

他に興味深く思った点は昨年のサイドストーリー『ローグ・ワン』との対比でしょうか。あの作品は戦争につきものの「犠牲」の悲しさを描いていましたが、結果的に彼らの死が反乱軍に勝利をもたらしたため、その犠牲を肯定してるように思えなくもありません。
『最後のジェダイ』も割と中盤過ぎまではドバドバ犠牲を出しまくって同じ姿勢のように見えたのですが、途中から「やっぱ誰かの犠牲で勝利を得るのはいくない」ということを言いだします。ドンパチをやっている以上それは単なる理想論のようにも思えますが、そういうアンチテーゼを打ち出すことによって『ローグ・ワン』とのバランスを取っているように感じました。

あとキャラクターで特に面白いのはさらに深みを増した感のあるカイロ・レン。『フォースの覚醒』では「やたらとキレやすい」人という印象で、『最後のジェダイ』でも基本的にその辺は変わってないのですが、今回は前作よりも善性への迷いや優しさ、愛情を求める弱さなどが目に見えてくるようになりました。そういえばライアン・ジョンソン監督の前作『ルーパー』にも、ある出来事がきっかけで無垢な少年が超人的な「魔王」へと変貌してしまうエピソードが織り込まれていました。
正直ダース・ベイダ―が『ジェダイの帰還』で改心したのはやや唐突な感が否めませんでしたが、続三部作ではそれを反省してレン君の善悪の狭間でのぶらつきを丁寧に描こうという狙いなのかもしれません。さらに闇落ちして見苦しい死を迎えるという可能性も十分にありますが…

この度のフォースは今まで以上にあぶなっかしい、ちょっとした油断ですぐにダークサイドに転げ落ちるものとして描写されていました。主人公のレイ嬢にもちらっとそんな兆しがありましたが、それは本当に一瞬のことで、かつてのルークのようにまっすぐな心を失わないのがとても微笑ましい。そして明かされた彼女の意外な出自。
既にいろんなとこで言われてますが、ここに至ってようやくスターウォーズはスカイウォ―カ―という「血筋」から解放されつつあるのでしょう。しかしその「精神」は脈々と血統を越えて受け継がれていくのだと思います。そういうわけで「最後のジェダイ」はある意味「新たなる『新たなる希望』」であったと思います。

わたしひいきのR2-D2はディズニー体制に入ってようやくちゃんと動いてました。しかし寄る年波かその動きはやっぱりどこか億劫でありました。代わりに獅子奮迅の活躍を見せているのがBB-8.。もうレジスタンスのリーダーは彼しかいないんじゃないか、というくらいの無双ぶりです。さびしいことですがこんなところでも世代交代が見て取れました。

20171215_215510_001てんでまとまらない感想をダラダラ書き連ねてまいりましたが、自分のポジションはおごそかな確信をこめて「賛」であります。そして続三部作を完結へと導くエピソード9が今からとても楽しみです。
その「9」の公開は二年後の2019年ですが、その前に来年の夏はやくもスピンオフ第二弾『ハン・ソロ』が待機中です。はや!! ここんとこずーっと暗いムードだったSWに、久々にファンキーな空気が戻ってくるのでしょうか。こちらももちろん期待してます!


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Comments

今回、珍しくレビューを待つ状況でした。
・・・・・・・実は早々に先週見に行ってきたのだよ。

クライマックスのルークの偉大さを垣間見た。
その姿には・・・悲劇性という感じはなく
彼なりのけじめをつけた感があった・・・前向きにな。
翌日、買いあぐねていた
1/72Xウイング(ルーク機な)
のプラモ買ったトコから察してくれ。
一方で・・・・・・・・・・
カイロレンの中二病は・・・・
・・・・・・・・もうダメかも
(職場の同僚にも
奴の中二病説が出てて驚いた:笑)。
悪い奴に憧れて同じようなかっこうするわ
気に入らない事言われたエレベーターに当るわ。

これを中二病といわずして何というか。
検索のワードに「カイロレン 中二」と出るんだぜ。

スノークの護衛の鎧の人・・・・・・・
あの殺陣で思わずカニとかエビの甲羅
思い出した人手を挙げて(笑)。

Posted by: まさとし | December 27, 2017 at 10:21 PM

>まさとしさま

返事が遅れてすいません。本年もよろしくおねがいいたします。
いや、実に濃密な内容でしたね、今回は。ルークには普通の家庭守って末永く幸せに生きてほしかったですが、やはりあれこそがジェダイの後継者としての運命なのかもしれません

プラモは今回はいまのところ欲しいものがなく。AT-M6の普通のが出たら買うかな

カイロ・レン君は確かになかなかの中二君ですね。若気の至りということでなんとか救われる方向にむかってほしい。でなきゃソロが浮かばれないし

カニ・エビの人たちは今回なかなかかっこよかった。もっとはやく行動せいよ世は思いましたがw

Posted by: SGA屋伍一 | January 01, 2018 at 09:30 PM

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