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November 09, 2017

ボンクラのニャンダフル・ライフ ジェームズ・ボーエン&ロジャー・ポスティスウッド 『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』

Bbnk1先日『僕のワンダフル・ライフ』という犬の映画が話題を呼んでましたが、今回は猫の映画の話です。あちらがファンタジーっぽい話なのに対し、こちらは「実話をもとにした物語」。『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』、ご紹介します。

親に捨てられ、ドラッグに溺れ、日々の食事にも事欠くストリート・ミュージシャンのジェームズ。彼は親切な社会福祉士の口利きでなんとかある公営住宅に入れることになった。そんなジェームズの住まいにある日一匹の猫が迷い込んでくる。ジェームズは飼い主を見つけようとするが徒労に終わり、なんだかんだで猫をひきとることに。ボブと名付けられたその猫は驚いたことにどこまでもジェームズの後をついてきて、彼の演奏にも立ち会うようになる。そんな一人と一匹の姿はいつしかロンドンで人々の話題になっていくのだった。

よく少年漫画などで「やさしい」以外とりえのない少年の前に突然美少女が現れて、勝手に好きになってくれる話ってありますよね。まさにそんな映画です。違うのは美少女が猫だということです。そういう漫画を見かける度に「はいはい、よく中二君が抱く妄想だよね」と一笑に付してましたが、いやあ… そんな話実際にあるんですねえ… 本当に夢を諦めてはいけないですね。

さらに驚くべきはこのボブが犬のようにジェームズのあとをひょいひょいとついていくこと。普通猫は縄張りもあるしそんなことはしないものです。しかしボブはまるでアニメに出てくるマスコット動物のように、ジェームズの肩に乗って二階建てバスで移動したりもします。冬は襟巻の代わりになってあったかいだろうなあ…じゃなくて、そんな猫いるか!!??と思わずにはいられません。それも小さいころから芸を仕込まれてきたわけではなく、ある日ぷいっと迷い込んできた猫がそんなことをやるからたまげます。

そしてそんな猫をよく撮影のためにもう一匹見つけてこれたなあ…と思っていたら、またまたビックリすることに、これボブさんご本猫が演じられてるんですね。ジェームズさん本人がカメラの外で上手に指導されてるのか、極めて自然な演技でした。本当にあった猫の話を、その猫が実際に再現しているという点で、まことに他に類を見ない映画と言えましょう。

作品はボブとジェームズの絆を描くとともに、ドラッグから抜け出すことの大変さも描かれてます。春の『T2 トレイン・スポッティング』でもありましたが、ドラッグはとことん人をダメにします。しかしそれに手を出す人にもやりきれない事情があることも多く。そして一度はまってしまうとその沼から抜け出すことは容易ではありません。
幸いジェームズはボブの存在のおかげでその悪癖を断つことができました。すべての患者に効果があるわけではないでしょうが、猫がドラッグ中毒の抑止力にもなるという一例です。一匹の普通の猫が一人の人の人生を変えてしまうことも確かにあるんですよね。昨年初めの『猫なんてよんでもこない』を思い出したりもします。

ただジェームズ氏は気づいているのかどうか。彼はドラッグへの依存からは脱することはできたでしょうけど、代わりに別の依存症にどっぷりはまってしまっております。そうです。猫依存症です。幸い今はボブ氏が健在だからいいけれど、犬猫は大抵人間より先に逝ってしまうもの。その時にジェームズ氏が耐えきれるのかとても心配です。なぜならいままさにわたしがその苦しみと戦っているからですああああああああねごねごねごねごおおおおおおおお!!!!

…失礼、取り乱しました。いつかなんとかこの病から立ち直りたいと思います。
Bbnk2春に亡くなったモンさんは肩の上には乗っかってきませんでしたが、昼寝してるとよく腹の上には乗っかってきました。そんな懐かしくも重苦しい感触を思い出させてくれた『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』。まだいろんなところで公開しておりますので、気になった方はボブさんの美猫ぶりをスクリーンで堪能されてください。公式サイトはこちら


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Comments

伍一くん☆
それがいるんですよね。
私先日、新宿で首輪をつけた猫ちゃんを、まさに映画そのままに首に巻いて(笑)チャリを漕いでいる青年を見かけました。
日本人でしたが…

Posted by: ノルウェーまだ~む | November 16, 2017 10:28 AM

>ノルウェーまだ~むさん

それはいいものをご覧になりましたね…
岩合光昭さんくらいの猫名人になればそんなことも朝飯前なのでしょうか

Posted by: SGA屋伍一 | November 21, 2017 09:00 PM

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Tracked on November 16, 2017 10:24 AM

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