ストーリー・オブ・騒動 久保茂昭 劇場版『HiGH&LOW』1&2
♪はいやー はいやー はいやー …あら、どこからか景気のいい出囃子が。本日は日本映画界にあってちょっとガラパゴス的発達を遂げている特異なシリーズ『HiGH&LOW』について紹介します。ニワカ者がなんにも考えずに書いた記事なんでコアなファンはどうか見逃してやってください。
そこは架空の日本(っぽい)。山王連合会(湘南爆走族っぽい)、White Rascals(新宿スワンっぽい)、鬼邪高校(クローズ っぽい)、RUDE BOYS(北斗の拳っぽい)、達磨一家(やくざ)…そこを根城にする5つの武闘派集団の頭文字を取り、「SWORD地区」と呼ばれる一帯があった(たぶん神奈川東部あたりだと思う)。
血気にはやり小競り合いを繰り返していた彼らだったが、地区全体を牛耳ろうとする暴力団グループ・九龍会の陰謀を知り、これまでの因縁を忘れて共に巨悪に立ち向かうようになる。
最初はTVシリーズから始まったこの企画(未見です)。劇場版1作目が公開されたのが去年の夏でしたか。最初は全然興味なかったんですけど「なんか奇妙だけど熱くてすごい」みたいな評判が3週目あたりから立ち上ってきまして。それでは観てみるか…と乗り気になったらもうちょうどいい時間がなくなってしまったのですね。今回第二弾の劇場鑑賞と合わせてそちらもDVDで観てみました。
いやあ確かにすごいです。1作目のクライマックスは波止場のコンテナ群をバックに百人以上が大乱闘を演じてるのですが、高低差のある凸凹した環境を利用して豪快にジャンプしたり壮絶に突き落とされたり、怪我人出なかったのかしら…と心配になるくらいの迫力でした。メインのメンバーは個々の身体能力も高く、特に2作目から出てくるジェシーという役を演じてる兄ちゃんは、ちょっと人間には不可能では?と思えるくらいの動きを見せてくれます。
SWORDの各リーダーを務めるメンバーの設定もいちいち面白い。かっこいいというよりちょっと野暮ったいんですけど、そこがかえって魅力というか。たとえば山王のコブラ君なんかはニックネームの由来がコブラツイストで何人も倒してきたからだとか。あとホスト集団ラスカルズの頭であるロッキーは悲惨な過去がある一方で「世界名作劇場」にこだわりがあったりとか。自身の通り名もマイナーな『山ねずみロッキーチャック』から取ったものと思われます。
キャスティングもうまいですね。ニヒルな戦隊青を演じていた山田裕貴君はやる気なさげな番長、さわやかイケメンが定番だった林遷人君は寝不足そうな組長というように、それまでとはまるで違う役をあてられてますが、これが見事にはまっておりました。
そんな風にキャラとアクションは非常にハイレベルなんですが、ストーリーの方はやや強引というか「後からついてこい!!」というところがあります。たとえば先に述べた「コンテナ街の戦い」などはボスが喧嘩で負けたら「じゃあしゃあねっかー」と敵集団が塩をひくように撤退していってしまうのですが、まるで戦国武将の合戦のようでした。21世紀のこの現代に… 他にもいろいろ首をかしげたくなるような奇妙な描写がちらほら出てきます。あと非常に人が多い話なのでドラマを見てない人たちはウィキペディア等で予習をしていかないと誰が誰やらわからなくなると思います。
そういった難点もあるものの、やはりアクションのできる俳優をたくさん集めて本領を発揮させて、成功させている点は大いに評価したいです。『無限の住人』の感想でも書きましたが、せっかく動けるのにイケメンであるがゆえに、恋愛映画にばかり呼ばれてる俳優もいっぱいいるのでね… まあ胸キュン映画は胸キュン映画で需要があるんだと思いますけど、もう少しアクション映画も質・量ともに向上してほしい。このハイロ―シリーズがそのきっかけになれば…と願うわけです。
これまでは基本的にどつきあいだけで済んでいたSWORDの戦いですが、九龍会が本格的に参戦してきたことによっていよいよ死人が量産されそうな雰囲気。コブラ君も3作目の予告でコンクリートを飲まされたりしてて、彼のおなかがとっても心配です。一応完結編らしいその『FAINAL MISSION』は早くも来月11日公開。2作目の『END OF SKY』ももう一週くらい上映してると思います。
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