おいでよ杜王町 荒木飛呂彦・三池崇史 『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』
約30年の歴史を誇る人気漫画が、鬼才三池崇史の手によりとうとう実写映画化。吉と出るか凶と出るか、鬼が出るか蛇が出るか… そんな『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』ご紹介します。
風光明媚な日本の一都市杜王町。しかしその町にはサイコキラーが潜んでいるらしく、行方不明者や殺人の被害者が近年増加し続けていた。そこへ引っ越してきた平凡な高校生・広瀬康一は、奇妙なヘアスタイルの東方仗助という少年と知り合う。たまたま彼と居合わせた際、宏一は仗助が「スタンド」と呼ばれる操り人形にも似た超能力の持ち主であることを知る。
自分もいい年なので恥ずかしながら『ジョジョ』の連載が始まったころのことが記憶にあります。『ドラゴンボール』や『北斗の拳』が人気絶頂だった「少年ジャンプ」において、突如現れた「世界名作劇場」のような漫画。はやいうちに打ち切られるだろう…という予想を裏切り、現在もまだ掲載誌を変えて続いているから驚きです。
自分が本格的にはまったのは主に中東を舞台とした第3部のあたりから。単行本も最初から買い揃えたのですが、現代日本が背景のこの第4部の途中で脱落しちゃいました。ははは(第5部は最近廉価版で全部読みました)。そんな中途半端なファンですが、それだけにあまりこだわりなく実写版を鑑賞することが出来ました。
いろいろ危ぶまれた三池監督の『ジョジョ』ですが、けっこうがんばっていたのではないでしょうか。つか、三池さんも宇宙や未来が舞台でなければそれなりにちゃんとやる方だと思います。春の『無限の住人』も力作でしたし。
わたしがこの映画で気に入ったのは仗助がきちっと主人公をこなしていたということ。原作の第4部は康一君や岸辺露伴、吉良吉影という立ちまくりのキャラに押されてしまってどうも仗助の影が薄かった印象があります。しかし劇場版では露伴も吉良も登場せず、仗助が最もかっこよかったエピソードをメインにしてるのでかなり輝いておりました。いまひとつ朴訥な演技の山崎賢人君も、それがかえってぼーっとした仗助のキャラにあっておりました。
自分の敵を助けた際、第3部の主人公である承太郎は「俺にもよくわからねえ」と答えるのですが、仗助は「別に。何も死ぬこたあねえと思っただけだよ」と言います。この自然で力の入ってない「人助けの理由」、第4部でとりわけ気に入ってたとこなので、映画でも取り入れてくれたのは嬉しゅうございました。
そんな山崎君とある意味対照的だったのが虹村億泰役の最近改名した新田真剣佑君。これまで割と少女マンガ系の出演が目立ってましたが、今作ではガラッと雰囲気を変えて少年漫画の三下的なキャラをガラ悪く熱演しておりました。まあガラはともかくとして、彼はお父さんがサニー千葉だけに武術の心得もある俳優さんなんですよね。優男役が多くてもったいないなーと思っていたのですが『ジョジョ』ではようやくその辺が生かされて「待ってました」という感じでした。
あと他に原作ファンとして(ぬるめですが)よかった点はいかにもCGでしたが、「現実に動くスタンド」が見られたことです。これはやっぱり漫画でもアニメでも味わえない、実写版ならではの強みです。特に億泰の持つ「ザ・ハンド」などはデザインも忘れてたのですが、そのなんにも考えてなさそうなフェイスがとてもかわいく、この度魅力を再発見いたしました。
というわけで意外とよかった実写版『ジョジョ』ですが、ワーナーその他の思惑が大幅にはずれ、興行的にはこけちゃっているようです。同時期に公開してる『銀魂』は大ヒットだったのに… まあ考えてみればこのジョジョ4部も二十年以上前の漫画ですからね。一般の若い子たちにはなじみが薄かったかなあ。
そうなると心配なのはこの後の展開。最低あと2作は必要と考えてましたが、なんとかあと1作で〆る方向でがんばらねばならないかも。せっかく「第1章」と銘打ったんだから、これっきりで終わりということだけはやめてください。
幸い成績不振にも関わらず公開から一か月経ったいまもまだ公開してます。というか今週が山場だと思うので少しでも興味を持っている方はぜひごらんください。
Comments
SGAさんこんばんわ♪
良作駄作も含めて、実写のアニメや漫画作品をそれなりに鑑賞すると『慣れ』のようなものも出て来るのか、本作のような出来栄えでもどこか『グレート♪これイケるやんっ』なんて思えちゃう感じがしないでもないですね^^;(笑)
けどスタンドのビジュアルもそうですが、ジョジョらしい『こだわり』は三池監督もちゃんと捉えているなと思いまして、『何も死ぬこたあねえと思っただけだよ』といった名セリフも色々盛り込んでいたのは自分も嬉しかったですね。
真剣佑君の億泰もサマになってましたが、アニメ版の高木渉さんの演技を今から勉強すれば、多分次章で真の億泰になれるんじゃないかと思ってますw
Posted by: メビウス | September 16, 2017 09:19 PM
伍一くん☆
まあまあ良かったかんじ?
ねえねはあれだけ「ジョジョファン」を公言しておきながら、熱烈ファンの間で「銀魂観て、ジョジョ観たら、もう一度銀魂で口直しする」発言で、すっかり萎えて、ついに観ずじまいになりそう(≧▽≦)
Posted by: ノルウェーまだ~む | September 17, 2017 01:13 AM
>メビウスさん
自分もいままで漫画実写化それなりに見てきましたが、中には相当ひどいものもありましたからねえw それに比べればこの度の『ジョジョ』は十分及第点だと思います。
第4部冒頭ではもうひとつ好きなセリフ…「そんな中でお前の能力は何よりもやさしい」…というのがあって、それを入れてくれたのも嬉しかったです。
アニメの億泰は高木さんだったんですね。ヤンキー役をやらせたらこの人の右に出る者はいない…
Posted by: SGA屋伍一 | September 18, 2017 09:41 PM
>ノルウェーまだ~むさん
まあまあ楽しめたようでよかったです(笑)
ツイッターではジョジョファンからも好評でしたが、やはり真にコアーなファンからしたらあれこれ言いたいところは出てくるでしょうな…
Posted by: SGA屋伍一 | September 18, 2017 09:43 PM
> 第一部
映画「天河伝説殺人事件」のラストに書かれる「浅見光彦・事件簿ファイル第一号」というテロップを思いだしてしまった。
Posted by: ふじき78 | April 03, 2018 11:46 PM
>ふじき78さん
自分は「第二の…」が作られなかった『レモ 第一の挑戦』を思い出します。ジョジョはどうなるかなあ~
Posted by: SGA屋伍一 | April 09, 2018 09:55 PM