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August 08, 2017

のこぎり崖は命ガケ メル・ギブソン 『ハクソー・リッジ』

Photoというわけでまーだアカデミー関連の話を続けます。本日はメル・ギブソンが約10年ぶりに監督に復帰した待望の映画『ハクソー・リッジ』をご紹介します。

第二次大戦たけなわのころ、一人の風変わりな青年が陸軍に入隊する。その青年デズモンド・ドスは信仰ゆえに人は殺せない、銃は持てないと主張し、あくまで衛生兵としての任務に専念させてほしいと上官に懇願する。だが軍隊がそんな「異物」を認めるはずもなく、テズは彼を除隊させようとする圧力と戦うことになる。

太平洋戦争の激戦地・沖縄で銃弾が飛び交う中、多くの兵士の命を救った実在の人物の物語。このドスさんの思考がちょっと常人にはわかりかねるところで、「人を殺したくないならそもそも戦争に行かなきゃいいんじゃない?」「人の命が大切なら戦争をやめさせる方向でがんばらなきゃいけないんじゃない?」とわたしなんかは思います。あとドスさんは何かにつけて「神様が」と口にするのですが、その辺が無信心な人間からしたらちょっと狂信的にすら感じられたりします。

ですが我々からみたら「?」と思える行動も、本人にしてみれば矛盾するものではなく、ちゃんと筋道だって導きだされた結論なのでしょうね。信仰というものは多かれ少なかれそんなところがあります。あと動機がどうあれ彼の尽力で死人の数が少しでも減ったならば、それはそれで称賛されるべきことなのではなかろうかと。

「衛生兵」で思い出すのは『プライベート・ライアン』の冒頭のシーン。銃弾の雨の中無数の兵士たちがバタバタ倒れていく中、あちらこちらから「衛生兵!」という呼び声が起きるのですが、この圧倒的な死の量産の前にはあまりにも無意味だよな… と思ったものでした。そんな状況にあっても、あきらめずに「あと一人、あと一人」と自らも傷つきながら救援に奔走するドスさん。その恐るべき信念にしょっちゅうフラフラ迷ってる身としては、頭を垂れずにはいられません。

そしていろいろ問題を起こしながらも信仰心が篤く、監督としてもすぐれた才能を有しているメル・ギブソンもまた矛盾だらけの存在です。本当にもっと人格がまともならこの10年の間にもう2、3本撮れただろうに…と、そのことが残念でなりません。そして本人もそのことを反省したのでしょうか。『アポカリプト』や『ブレイブ・ハート』では戦闘シーンや残酷描写をウヒウヒ楽しんで作ってるな~と感じられたのですが、こちらではゴアシーンが普通に痛々しく、戦争への悲しみが素直に伝わってくるような作りになってしまいました。立派になられたのね…と感慨にふける反面、「ちょっと無理してない?」と思わないでもありません。

主演は元スパイダーマンのアンドリュー・ガーフィールド。彼は先日『沈黙』でも、信仰ゆえに苦しい立場に立たされる役でした。あと自分の信念ゆえに日本くんだりまで来ることになるところも一緒でした。なんか面白い偶然であります。ともあれその熱演が認められて、本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされたのだから大したものです。『アメイジング・スパイダーマン』シリーズが中途半端に終わってしまったのは残念ですが、代わりにこういう路線で引き続き活躍していければよいですね。

Photo_2『ハクソー・リッジ』はもう完全に公開終了したかと思ってましたが、終戦記念日の時期だからかそこそこ上映館残ってますね。くわしくは公式HPをご覧ください。メルさんの次回作はなんとあの『パッション』の続編…つまりキリストの復活の話という噂もあります。なんにせよ問題おこさずに無事映画が作れますように…

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Comments

伍一くん☆
「あの」メルギブ監督だからこそ、狂信的な信仰心で突き進むかんじなのかな。?
信仰心が熱いと一見正義感からの行動に思えるけど、ドスは実はそうじゃないところが面白いと思いました。
あくまでも信仰心。
そのどこかアンバランスなところが絶妙なスパイスになっていたと思います。

Posted by: ノルウェーまだ~む | August 12, 2017 at 12:33 AM

「ハクソー」って、そのままなのがねえ。歯のゴミなのか、クシャミなのかと想像してしまうのであった。

Posted by: ボー | August 16, 2017 at 08:46 AM

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