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August 23, 2017

エンジンは今日も上々だ マック・フィー 『カーズ クロスロード』

Photoここんとこライバルに押されてる感もあるものの、変わらずに堅実に作品を作り続けているCGアニメのパイオニア・ピクサー。本日はその最新作で11年続いたシリーズの完結編(となるかもしれない)『カーズ クロスロード』をご紹介します。1作目の紹介はこちら。2作目の紹介はコチラ。

そこは車たちが楽しく暮らす不思議な世界。デビュー以来常にトップを走ってきたレーシングカーのマックイーンは、年を経たせいかその走りに次第に陰りが見えてくるようになる。コンピューターにより精密なドライビングをこなす若手たちに後れをとることが多くなった彼は、焦りからとうとうクラッシュ事故を起こしてしまう。なんとか傷を癒しサーキットに戻ることを決めたマックイーンだったが、その道は想像を越えて険しいものであった。

わたくし『カーズ』ってそんなに好きな作品でもなくて(嫌いでもない)。1作目は『トイストーリー』や『モンスターズ・インク』などと比べるとなんだか地味な話に思えたし。2作目は世評とは裏腹に前作よりも楽しめましたが、それでもそんなに心に残る映画でもなく。これまでピクサーのアニメはすべて映画館で鑑賞してたので、それを切らさないために観ていたようなものでした。
しかし今回不穏な空気が漂う予告編を見た時、これまでとは違う強く引き付けられるものを感じたのです。

かつて「いくら頭を柔らかくしても車に感情移入するとか無理だから!」と思ったわたしですが、今回はコンテナの中で「俺は早い!」とつぶやいているシーンからどっぷりとマックイーンになりきってしまいました。
さらに去っていく仲間たち、認めざるをえない肉体?の衰え、時代遅れになっていくことへの焦り…こうした感情がいい年になった自分にビンビンと突き刺さっていきます。このテーマ完全に子供たちおいてけぼりですよ。

これがわかりやすいエンターテイメントであればマックイーンが年齢を無視した奇跡的な走りを見せて、生意気な若造をぎゃふんと言わせるのでしょうけど、この映画は一種のファンタジーであるにも関わらずそういう安易な方向には逃げません。1線を退かねばならなくなった者が本当にすべきことはなんなのか。黄金時代の栄光にしがみつくことなのか? それに関してとても厳しく、しかし温かい答えを用意しております。

そのヒントとなるのが1作目でマックイーンの師であったドク・ハドソンの思い出。2作目では声の担当のポール・ニューマンが亡くなったことを受けてはやくも故人…というか故車になっています。ゆえにそちらではえらい影が薄かったのですが、『クロスロード』では彼と同じ立場になったマックイーンの脳裏に絶えず浮かび続けます。前々作でははっきり明かされなかった彼の思い、かつて共に過ごした懐かしい記憶。そういうのが出る度に「く…くるまのくせに! 機械のくせに!!」と思いつつも号泣しておりました。わたしがそういうのに弱いこと知ってて(知るわけがない)、何度も何度も本当に卑怯よ!と叫ばずにはいられませんでした。

「2作目は1作目の60%の出来であれば成功」と言われます。3作目に至っては1作目の20%であればいいわけです(それくらい駄作になることが多い)。しかしこの『カーズ クロスロード』はまさにこのために1,2があったのだ思えるくらい、シリーズで最高のドラマを見せてくれました。
地方ではアニメは字幕版がほとんどないので今回も吹替えでしたが、主演の土田大氏の演技もさらに深みを増して素晴らしいものでした。メジャーな俳優さんが声をやることが多いCGアニメにおいて、彼の決してでしゃばらない、しかし力強いアクトはかえって光るものとなっております。ごく最近もともと「カクレンジャー」のブルーで人気を博したことを知りました。11年目にしてようやっと気づく真実。どうも申し訳ございません。

Cscr2というわけで自分としては7月中のベストムービーだった『カーズ クロスロード』ですが、日本での人気は完全に『ミニオン(怪盗グルー)』にかなわないのが辛いところです。幸いまだもう少し上映してるようですので、中高年になり四十肩やぎっくり腰など体にガタが来ているおっさんは「子供向け」という先入観にとらわれずぜひごらんください。奥田民生の歌がまた素晴らしいのです。♪国境を越えたって~

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Comments

もう3作目か・・・・・・・・
思えば・・・・・・1作目のお主のイラストに萌え(?)て
2作目で入れた我がコメント振り返って・・・・・赤面した(笑)。

しかし、このカーズとかトーマスあたり、
特にトーマスは完全CGとなり
機関車の方向なんか無視しまくる矛盾(場面上、
単線線路で双方出合って、その後方向が揃って走ってると言うのは・・・どうも納得いかん)さえ
目をつぶればまだ感情移入しやすい気がします。
(正直、トーマスはCGじゃないほうが好きで、
映画の機関車の形変わるとか・・・やりすぎだ!!)
>土田大
いやいや、ケイン・コスギばかり気にしてた
おいらも遠藤憲一さんが声の出演で
カクレンジャーに出ててびっくりだ(笑)。

Posted by: まさとし | August 25, 2017 at 10:02 PM

>まさとしさん

いやー、1作目も本当になつかしくなっちゃいましたね。赤木軍馬のセリフ入れてへたっぴなイラスト描いたっけ(笑)

そういえば最近トーマスのCG映画度々やってますね。うちの姪っ子がなぜかけっこう好きだったりします。

そしてカクレンジャーも相当なつかしい作品になっちゃいましたねえ… ちょっと前のニンニンジャ―ではレッドの人が久しぶりにゲスト出演してたとか。遠藤氏もだいぶ思い出深い作品のようです

Posted by: SGA屋伍一 | August 29, 2017 at 09:27 PM

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