ビックリヒーローズ高校白書 ディーン・イズラライト 『パワーレンジャー』
夏休みもいよいよ後半。よい子の皆さんは宿題片付けてるでしょうか。本日はそんな子供たちに送る夏休み映画の1本『パワーレンジャー』をご紹介します。
アメリカの田舎町に住む高校生のジェイソンはアメフトの花形選手だったのに、派手ないたずらをやらかして居残り勉強をさせられることに。そこでいじめられっ子のオタク・ビリーになつかれてしまったジェイソンは、半ば強引に遺跡調査に付き合わされる。ビリーが発破をしかけると中に眠っていた超古代の装置が作動。偶然居合わせた他の高校生3人らとともにジェイソンたちは超能力に目覚め、装置の所有者であった異星人ゾードから「パワーレンジャー」に任命される。
日本人ならほとんどの人が知ってる長寿特撮シリーズ「スーパー戦隊」。作品ごとに設定は変わるものの、大体5人のヒーローチームが巨大ロボを駆って悪と戦うという内容です。その16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のころから、特撮パートだけを抜き出して、アメリカ人用に作り直したものが『パワーレンジャー』です。こちらも一応現在までオリジナルと並行してシリーズが継続しているとのこと。
というわけで基本は子供向けのはずなのですが、なぜかこれがけっこうしっかりした青春ドラマになっておりまして、スクールカーストやSNS、家族との関係など、現代アメリカのティーンが直面する多くの悩みが取り上げられたりしてます。
こうした作りは1985年の名作『ブレックファスト・クラブ』を意識してるようです(自分は観てませんが)。そちらは普段グループが異なるゆえ接点の無かった五人の高校生が、居残り勉強を通じて友情を深めていくという話だそうで。ともかく、米国の洋画・ドラマでは体育会系はオタクをいじめるのが相場と決まっているのに、のっけからいきなりかばってくれるというのはなかなか斬新でした(いじめっ子が速攻で親友になった『21ジャンプストリート』のような例もありますが)。
ただ青春ドラマとしての充実度が高くなればなるほど、「あれ? もしかして変身とか巨大ロボとかいらないんじゃね…」という気がしてくるから困ります。自分がこの映画を観た最大の動機は「巨大ロボの合体が気になるから」だったので。オリジナルの「ジュウレンジャー」のロボはそれはもう合体ギミックが秀逸で、何度もばらしたり組み合わせたりしてよく遊んだものでした(自分当時大学生でしたが…)。だから今回のロボ「メガゾード」もおおよそ合体しづらそうな形状なんですが、きっとその辺の描写をきちっとやってくれると期待してたんですが… 結論から言うと、上手にごまかされた、という感じでした。青春模様もいいけれど、まずはそこを!そこをしっかりやらないといけないのでは!! じゃないとお子様たちはオモチャを買いませんよ! もちろんわたしもです!(お前は買うトシじゃないだろ)。ハアハア、ハアハア…
またしても呼吸が荒くなってしまいましたが、全体的に丁寧な造りですし、クライマックスのバトルは燃えますので、そこは評価しております。
この『パワーレンジャー』、そんな風に一体どの年齢層に向けて作ってるのか微妙なため、本国・日本ともにきびしい成績になってしまったようです。しかし意外にもDVD・玩具関連の売れ行きは好調なようで(あれ?)。思わせぶりなオマケシーンもありましたし、がんばって続きを作っていただきたいものです。今度こそちゃんとした合体ギミックを披露するためにも。ちなみに日本での公開は残ってるところでも大体明日までです。
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