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August 30, 2017

恐怖のバナナ軍団VS80年代から来た男 カイル・バルダ&ピエール・コフィン 『怪盗グルーのミニオン大脱走』

Photoまだまだ続く夏休み映画特集。本日は今夏最大のヒット作となるであろうイルミネーション・エンターテイメント最新作『怪盗グルーのミニオン大脱走』をご紹介します。

子どもたちのため犯罪者を引退し、反悪党同盟のエージェントとして活躍していた元怪盗グルー。だが手ごわい泥棒のバルタザール・ブラットに後れをとったために、妻のルーシー共々組織を首になってしまう。失意を味わうグルーの前に、一人の老紳士が現れる。彼はグルーの生き別れの兄弟・ドルーの執事だった。

1作目で親となり、2作目で妻を得、どんどん人間的成長を遂げていってるグルーさん。3作目ではもしかして子供たちの巣立ちが描かれるのでは…と思いましたが、さすがにまだはやかったようです。今回スポットがあてられるのはあとから加わったルーシーがどのようにして本当の母親になっていくかということと、初めてあうグルーとドルーが兄弟としてうまくやっていけるかということ。こうやって書くとなんか普通にさわやかなファミリードラマみたいですなあ。

ただ前作の時点で既に問題となっていたことですが、グルーさんってやっぱり悪党の時の方が輝いてたし生き生きとしてるんですよね… 悪の誘惑にかられながらも「俺には家族が」とこらえるグルーさん。えらい! でもキャラとしては微妙! スタッフもその辺に限界を感じてるのでかつてのグルー的なドルー(ややこしい)というキャラを用意したのかもしれません。
新ライバルのバルタザールが主人公より断然個性的なのも問題です。彼はもともと世界的に有名な子役スターだったのですが、大きくなったらすっかり人気がなくなってしまい、世間を恨んでヴィランになってしまったという設定です。黄金時代であった80年代が忘れられず、その時代の音楽とファッションで華麗に悪事を働くバルタザール。なんて面白いやつなんだ… そういえば先の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』でもふんだんに80年代オマージュがささげられていましたが、いまちょうどそのころ子供だった世代が映画産業の中心になってるということでしょうかね。

グルーさんの分の悪いところはまだあります。このシリーズいまやすっかり日本でも大人気になってしまいましたが、注目を集めているのは彼ではなく子分のミニオンたちだということです。グルー不在の『ミニオンズ』が大大ヒットをおさめてしまったことが、皮肉にもそれを証明してしまいました。『アナと雪の女王』を「アナ雪」と言うがごとく、本作品を「ミニオン」としか言わない一般の皆さん。とうとうTVCMまでタイトルコールのところで「怪盗グルーの」を省くようになってしまいました。なんてかわいそうなんだグルーさん…! ま、実際ミニオンたちの方が見ていて楽しいのだから仕方ないやね(あっ)

本作品にはミニオンの他にもいろいろかわいいものが出てきて癒されます。ドルーの島のブタさんたち、バルタザールの子分のロボット(声:宮野真守)、ユニコーンっぽいある動物など。三姉妹たち…特に末っ子のアグネスも相変わらずいい子でかわいいですね。声をあてていた芦田愛菜女史も7年の間に成長してしまい、さすがにかつてよりは大人っぽい声になってしまいました。バルタザールと違って立派な大人になってくれることを祈るばかりです。

Photo_2これで完結となるかと思った『怪盗グルー』シリーズですが、ちょいバレするとまだまだ続きが作れそうなENDでした。とりあえず次はスピンオフ第二弾である『ミニオンズ2』が3年後の2020年に予定されています。ますます薄くなるグルーさんの影… がんばれ!

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August 29, 2017

セトの花嫁 アレックス・カーツマン 『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』

Photo夏休み映画の感想をせっせこ書いてますが、まだ全然終わりません。宿題を31日までやっていたあのころを思い出します。そんなわけで本日もサマームービーの1本『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』、ご紹介します。

チャラい軍曹のニックは中東の紛争のどさくさにまぎれて、金目のものを盗もうとある遺跡へとやってくる。そこを拠点としていたゲリラとの銃撃戦の末、ニックは見事お宝を発見。だがその遺跡には2000年以上前に封印された恐ろしい(でもかわいい)魔物が封印されていたのだった…

本作品は1932年に作られたホラー映画の古典『ミイラ再生』の2度目のリメイクとなっています。1度目はみなさんご存知の大ヒットシリーズ『ハムナプトラ』ですね。これら原題はみな『The Mummy』なんですが、「マミイ」というとお母さんを連想させるからでしょうか。二回とも避けられていたところを、今回ようやく日本でもオリジナルのタイトルで公開されることとなりました。

他にも前作と差別化を図るために幾つか工夫がなされています。ひとつはミイラの話をまんま現代にもってきたこと。あとユニバーサルが権利を持つ多くのモンスターが存在する「ダークユニバース」の第一弾であること。はやくもミイラだけでなく、他の複数の怪物の噂や痕跡が作品の中でチラチラ登場してきます。

そういった設定も魅力的ではありますが、本作の一番輝いてる点はミイラの女王「アマネット」がめちゃくくちゃチャーミングだというところです。演じるソフィア・ブテラはこれまでの宇宙人や「足がナイフの殺し屋」も悪くなかったですけど、今回の役が最もはまっていたと思います。健康的なミイラ化前もよかったし、病的なミイラ化後も不思議と萌えさせられます。まさにソフィアたんのアイドル映画といっても過言ではありません。これほどかわいいアマネットなのになぜか主役のトムトムは振り向いてあげようとしません。唐変木にもほどがあります。

そんなトムトム、最近では生真面目なお坊ちゃん的な役を演じることが多かったですが、この度の『マミー』ではなかなかのクズです。女に手は早いわ、お宝に目がないわ、気の毒な相棒を振り回すわ、けっこう容赦なく人を殺しまくるわ。ただまあ、惚れた相手のためには命がけでがんばるいいところもあります。なんかルパン三世によく似てるような。ルパンが戦ったのはマミーじゃなくてマモーでしたが。

他に印象に残った点としては、最近のハリウッドでは何かに取りつかれると目全体が真っ黒になることが多かった(トムトムも『オール・ユー・ニード・イズ・キル』でやってました)、本作品ではまた違ったとりつかれ描写に挑んでました。細かいとこですがこういう目新しい面白い描写はなるたけチェックしておきたいものです。

Mmy1そんなわけでこれを皮切りに「ダークユニバース」が始動していくはずなのですが、批評家たちからの不評の嵐にはやくもユニバーサルがやる気を失っているという話も聞きます。この根性なし! とりあえず今後の予定としては

2.『フランケンシュタインの花嫁(仮)』(2019年公開予定)
3.『大アマゾンの半魚人(仮)』(公開日未定)
4.『透明人間(仮)』(公開日未定)
5.『ヴァン・ヘルシング(仮)』(公開日未定)
6.『狼男(仮)』(公開日未定)
7.『フランケンシュタイン(仮)』(公開日未定)
8.『魔人ドラキュラ』(公開日未定)
9.『オペラの怪人』(公開日未定)
10.『ノートルダムのせむし男』(公開日未定)

となっている模様。2以外全部未定じゃねえか(笑) 『フランケンシュタイン』の前に『フランケンシュタインの花嫁』があるのもよくわかりません。でもまあ自分怪物映画好きなんで、「ダークユニバース」ががんばって存続してくれることを願っています。


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August 23, 2017

エンジンは今日も上々だ マック・フィー 『カーズ クロスロード』

Photoここんとこライバルに押されてる感もあるものの、変わらずに堅実に作品を作り続けているCGアニメのパイオニア・ピクサー。本日はその最新作で11年続いたシリーズの完結編(となるかもしれない)『カーズ クロスロード』をご紹介します。1作目の紹介はこちら。2作目の紹介はコチラ。

そこは車たちが楽しく暮らす不思議な世界。デビュー以来常にトップを走ってきたレーシングカーのマックイーンは、年を経たせいかその走りに次第に陰りが見えてくるようになる。コンピューターにより精密なドライビングをこなす若手たちに後れをとることが多くなった彼は、焦りからとうとうクラッシュ事故を起こしてしまう。なんとか傷を癒しサーキットに戻ることを決めたマックイーンだったが、その道は想像を越えて険しいものであった。

わたくし『カーズ』ってそんなに好きな作品でもなくて(嫌いでもない)。1作目は『トイストーリー』や『モンスターズ・インク』などと比べるとなんだか地味な話に思えたし。2作目は世評とは裏腹に前作よりも楽しめましたが、それでもそんなに心に残る映画でもなく。これまでピクサーのアニメはすべて映画館で鑑賞してたので、それを切らさないために観ていたようなものでした。
しかし今回不穏な空気が漂う予告編を見た時、これまでとは違う強く引き付けられるものを感じたのです。

かつて「いくら頭を柔らかくしても車に感情移入するとか無理だから!」と思ったわたしですが、今回はコンテナの中で「俺は早い!」とつぶやいているシーンからどっぷりとマックイーンになりきってしまいました。
さらに去っていく仲間たち、認めざるをえない肉体?の衰え、時代遅れになっていくことへの焦り…こうした感情がいい年になった自分にビンビンと突き刺さっていきます。このテーマ完全に子供たちおいてけぼりですよ。

これがわかりやすいエンターテイメントであればマックイーンが年齢を無視した奇跡的な走りを見せて、生意気な若造をぎゃふんと言わせるのでしょうけど、この映画は一種のファンタジーであるにも関わらずそういう安易な方向には逃げません。1線を退かねばならなくなった者が本当にすべきことはなんなのか。黄金時代の栄光にしがみつくことなのか? それに関してとても厳しく、しかし温かい答えを用意しております。

そのヒントとなるのが1作目でマックイーンの師であったドク・ハドソンの思い出。2作目では声の担当のポール・ニューマンが亡くなったことを受けてはやくも故人…というか故車になっています。ゆえにそちらではえらい影が薄かったのですが、『クロスロード』では彼と同じ立場になったマックイーンの脳裏に絶えず浮かび続けます。前々作でははっきり明かされなかった彼の思い、かつて共に過ごした懐かしい記憶。そういうのが出る度に「く…くるまのくせに! 機械のくせに!!」と思いつつも号泣しておりました。わたしがそういうのに弱いこと知ってて(知るわけがない)、何度も何度も本当に卑怯よ!と叫ばずにはいられませんでした。

「2作目は1作目の60%の出来であれば成功」と言われます。3作目に至っては1作目の20%であればいいわけです(それくらい駄作になることが多い)。しかしこの『カーズ クロスロード』はまさにこのために1,2があったのだ思えるくらい、シリーズで最高のドラマを見せてくれました。
地方ではアニメは字幕版がほとんどないので今回も吹替えでしたが、主演の土田大氏の演技もさらに深みを増して素晴らしいものでした。メジャーな俳優さんが声をやることが多いCGアニメにおいて、彼の決してでしゃばらない、しかし力強いアクトはかえって光るものとなっております。ごく最近もともと「カクレンジャー」のブルーで人気を博したことを知りました。11年目にしてようやっと気づく真実。どうも申し訳ございません。

Cscr2というわけで自分としては7月中のベストムービーだった『カーズ クロスロード』ですが、日本での人気は完全に『ミニオン(怪盗グルー)』にかなわないのが辛いところです。幸いまだもう少し上映してるようですので、中高年になり四十肩やぎっくり腰など体にガタが来ているおっさんは「子供向け」という先入観にとらわれずぜひごらんください。奥田民生の歌がまた素晴らしいのです。♪国境を越えたって~

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August 21, 2017

愛犬と行く殺しの旅 チャド・スタエルスキ 『ジョン・ウィック:チャプター2』

Photo「キアヌ・リーブス完全復活!」ということと凝りに凝ったアクションが話題を呼んだ『ジョン・ウィック』。好評を受けて早くも先日第二弾が公開されました。『ジョン・ウィック チャプター2』、ご紹介します。

妻のプレゼントの子犬の復讐を果たし、裏社会から足を洗った「伝説の殺し屋」ジョン。だがかつてやむない経緯で「誓印」を交わしたマフィアの顔役ダントニオがやっかいな仕事を依頼しに来る。なんとか諦めてもらおうと懇願するジョンだったが、殺し屋社会において「誓印」の効力は絶対。やむなくジョンは今度こそ最後と思い定めて仕事に赴く。

1作目の感想はコチラ。あ… わたしけっこうdisってますね… はははは… で、今回もいろいろつっこみたいところがありまして。

まずこれは前作にも言えることですが、ジョンさんが伝説伝説いうわりにはかなりフラフラしたりヒットをくらったりで、観ていてすごく心配になるんですよ。それはまあ、観客をハラハラさせようという演出の一環なのかもしれませんが。

あと襲ってくる悪役の殺し屋さんたちがとても不用意なんですね。仮にも相手は伝説の殺し屋なんだから、もっと用心してこっそり近づかないと。どかどかと真正面からつっこんではバタバタとやられていくので、よくそんなんでこれまで生きてこられたな…と思いました。「殺し屋Aさんは前から来てキアヌがバン、そしたらBさんは右から来てキアヌがバンバン、そのあとCさんがやや斜めから来てキアヌがナイフでグサ」 まるでそんなリハーサル風景がありありと頭の中に浮かんでくるような、そんなアクションでした。

もう1点。いくらなんでも殺し屋が多すぎです。殺し屋ってそうそうなれる職業ではないと思うのです。でもこの映画だと世界の総人口の半分くらいは殺し屋では…というくらい大量におられました。かなりいかれたシチュエーションであります。

…と、今回もかなりつっこんでしまいましたが、つまらなかったかといえばそんなことはなく、むしろそこそこ面白かったです。前作で一度耐性が出来ていたからでしょうか。つっこみどころが多くてもそこは昔ながらのプロレスのようにお約束として楽しむことができました。そういう味わい方のできる映画なのです。

殺し屋世界の独自のルールも興味深いですね。あらすじでも述べた「誓印」の拘束力とか。「コンチネンタル」系列のホテルでは殺人はご法度というのも面白い。いや、どんなホテルでも普通は殺人は禁止ですが、外でどんなに派手にタマを取りあってても、ホテルに入った途端ボロボロのなりでしょうがなく酒を飲んでるシーンとかめちゃくちゃおかしかったです。

以下、ラストもちょいバレで。

そしてこの映画で何が特によかったかといえば、前作と違ってワンちゃんが死ななかったことです。これに関しては公開前にどこかの記事でちゃんと確認しておいたので、すごく穏やかな気持ちで鑑賞することができました。
ただジョンさんは今回も安らかに引退できなかった…というかさらなるピンチに見舞われたまま幕となってしまったので、二代目ワンちゃんのその後が大変心配であります。どうかひきつづき無事でありますように…

Photo_23作目については「とりあえず構想はある」とのこと。次はジョンさんが二時間ひたすら愛犬と和やかに遊んでる、そんなお話を期待してます。あとこの映画で家を燃やされちゃったせいか、放浪暮らしかホテル住まいだったキアヌさんがとうとう家を買ったという話には笑わせてもらいました。マイホームでゆっくりくつろいでくださいね!

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August 17, 2017

ビックリヒーローズ高校白書 ディーン・イズラライト 『パワーレンジャー』

0f638427f91e3c27cba4613325b9d21b夏休みもいよいよ後半。よい子の皆さんは宿題片付けてるでしょうか。本日はそんな子供たちに送る夏休み映画の1本『パワーレンジャー』をご紹介します。

アメリカの田舎町に住む高校生のジェイソンはアメフトの花形選手だったのに、派手ないたずらをやらかして居残り勉強をさせられることに。そこでいじめられっ子のオタク・ビリーになつかれてしまったジェイソンは、半ば強引に遺跡調査に付き合わされる。ビリーが発破をしかけると中に眠っていた超古代の装置が作動。偶然居合わせた他の高校生3人らとともにジェイソンたちは超能力に目覚め、装置の所有者であった異星人ゾードから「パワーレンジャー」に任命される。

日本人ならほとんどの人が知ってる長寿特撮シリーズ「スーパー戦隊」。作品ごとに設定は変わるものの、大体5人のヒーローチームが巨大ロボを駆って悪と戦うという内容です。その16作目『恐竜戦隊ジュウレンジャー』のころから、特撮パートだけを抜き出して、アメリカ人用に作り直したものが『パワーレンジャー』です。こちらも一応現在までオリジナルと並行してシリーズが継続しているとのこと。

というわけで基本は子供向けのはずなのですが、なぜかこれがけっこうしっかりした青春ドラマになっておりまして、スクールカーストやSNS、家族との関係など、現代アメリカのティーンが直面する多くの悩みが取り上げられたりしてます。
こうした作りは1985年の名作『ブレックファスト・クラブ』を意識してるようです(自分は観てませんが)。そちらは普段グループが異なるゆえ接点の無かった五人の高校生が、居残り勉強を通じて友情を深めていくという話だそうで。ともかく、米国の洋画・ドラマでは体育会系はオタクをいじめるのが相場と決まっているのに、のっけからいきなりかばってくれるというのはなかなか斬新でした(いじめっ子が速攻で親友になった『21ジャンプストリート』のような例もありますが)。

ただ青春ドラマとしての充実度が高くなればなるほど、「あれ? もしかして変身とか巨大ロボとかいらないんじゃね…」という気がしてくるから困ります。自分がこの映画を観た最大の動機は「巨大ロボの合体が気になるから」だったので。オリジナルの「ジュウレンジャー」のロボはそれはもう合体ギミックが秀逸で、何度もばらしたり組み合わせたりしてよく遊んだものでした(自分当時大学生でしたが…)。だから今回のロボ「メガゾード」もおおよそ合体しづらそうな形状なんですが、きっとその辺の描写をきちっとやってくれると期待してたんですが… 結論から言うと、上手にごまかされた、という感じでした。青春模様もいいけれど、まずはそこを!そこをしっかりやらないといけないのでは!! じゃないとお子様たちはオモチャを買いませんよ! もちろんわたしもです!(お前は買うトシじゃないだろ)。ハアハア、ハアハア…

またしても呼吸が荒くなってしまいましたが、全体的に丁寧な造りですし、クライマックスのバトルは燃えますので、そこは評価しております。

Img_0この『パワーレンジャー』、そんな風に一体どの年齢層に向けて作ってるのか微妙なため、本国・日本ともにきびしい成績になってしまったようです。しかし意外にもDVD・玩具関連の売れ行きは好調なようで(あれ?)。思わせぶりなオマケシーンもありましたし、がんばって続きを作っていただきたいものです。今度こそちゃんとした合体ギミックを披露するためにも。ちなみに日本での公開は残ってるところでも大体明日までです。

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August 09, 2017

明るい海賊計画 完結編(?) ヨアヒム・ローニング&エスペン・サンドベリ 『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』 

Pocs1夏休みも本番。ここぞとばかりに娯楽大作も次々と公開されております。本日はその先陣を切った名物シリーズの最新作『パイレーツ・オブ・カリビアン 最後の海賊』をご紹介します。

相変わらず無茶な悪巧みに精を出している海賊ジャック・スパロウ。だがそのいい加減さが祟って部下に見放された上に、海軍に捕まって死刑を宣告されてしまう。それでものんきにふるまうジャックの前に、かつて共に冒険した船乗りウィルの息子が現れる。彼は父にかけられた呪いを解くため、ジャックに力を貸してほしいと頼むのだが…

まず冒頭からこれまでもちょくちょくあったバスター・キートンへのオマージュ的アクションがドカンとあり、その時点でけっこう満足してしまった自分がいます。そういえば前作『生命の泉』ではあからさまにチャップリンの某作品を再現したシーンがあったなあ。
また「お宝の場所のヒントが星座に隠されている」というのも面白いアイデアでした。古来船乗りは星を頼りに航海をしたと言いますが、ようやくその辺が生かされたストーリーとなっております。

監督はノルウェー出身の監督コンビ、ヨアヒム・ローニングとエスペン・サンドベリ。この二人、『コン・ティキ』という「本当にあった」渋い航海記の映画で知られております。そちらでは必要以上に頻繁なサメ描写が特に印象に残ったのですが、この「最後の海賊」でも変わった形でサメを暴れさせておりました。おそらく最近のサメ映画ブームを強く意識してるものと思われます。

さらにバミューダ・トライアングルの秘密や幽霊船のヘンテコギミック、おなじみの大砲ドッカンドッカンやお宝のびっくりパワーなどもいちいち楽しませてもらいました。まあもともとこのシリーズにはそういうおかしなギミックとか、海賊ならではのアクションを期待してるのであって、ストーリーはよっぽど破綻さえしてなければどうでもいいよ、というスタンス。ですが今回二組の親子の「ちょっといい話」が軸になっていたりして、ついホロリと来てしまいました。年食って涙腺が弱くなってるのを差し引いても、パイカリに泣かされるとは不覚でございます。

こっから先はエンドロール後までネタバレで…

そう、この映画3作目『ワールズ・エンド』のオマケシーンからちょうど10年後の設定になってるのですね。あれからもう10年も経ったんかい…と時間の流れの早さに軽く絶望しますが、10年越しに果たされたハッピーエンドにはシリーズを追ってきた身としては感動せざるを得ません。だのに… だのにです。せっかくめでたしめでたしで終わった話が最後のオマケで少々水を差されてしまったのが残念です。あれは映画史上「もっともいらなかったエンドロール後のオマケ」と言っても過言ではないでしょう。例えるならすばらしい演技をしてびしっと着地を決めた体操選手が、マットを降りたところでずるっとズッコケたような印象でした。

Pocs2これまでずっと爆ヒットを続けて来たパイカリも、今回は北米成績が思わしくなかったようで、プロデューサーも「これが最後」とおっしゃってるようです。だったらあんなわけわかんねーヒキを入れんじゃねーよ!! ハアハア、ハアハア、ハアハア… すいません、ちょっと熱くなりました。たぶんまたいずれパイカリは作られると思いますが、ジョニデさんもいいお年ですし、次はそろそろリブートになりそうな気がします。

オマケに今まで書いたシリーズの感想リンクを貼っておきます。
『呪われた海賊たち』&『デッドマンズ・チェスト』
『ワールズ・エンド』
『生命の泉

本当にどうでもいことしか書いてないな…


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August 08, 2017

のこぎり崖は命ガケ メル・ギブソン 『ハクソー・リッジ』

Photoというわけでまーだアカデミー関連の話を続けます。本日はメル・ギブソンが約10年ぶりに監督に復帰した待望の映画『ハクソー・リッジ』をご紹介します。

第二次大戦たけなわのころ、一人の風変わりな青年が陸軍に入隊する。その青年デズモンド・ドスは信仰ゆえに人は殺せない、銃は持てないと主張し、あくまで衛生兵としての任務に専念させてほしいと上官に懇願する。だが軍隊がそんな「異物」を認めるはずもなく、テズは彼を除隊させようとする圧力と戦うことになる。

太平洋戦争の激戦地・沖縄で銃弾が飛び交う中、多くの兵士の命を救った実在の人物の物語。このドスさんの思考がちょっと常人にはわかりかねるところで、「人を殺したくないならそもそも戦争に行かなきゃいいんじゃない?」「人の命が大切なら戦争をやめさせる方向でがんばらなきゃいけないんじゃない?」とわたしなんかは思います。あとドスさんは何かにつけて「神様が」と口にするのですが、その辺が無信心な人間からしたらちょっと狂信的にすら感じられたりします。

ですが我々からみたら「?」と思える行動も、本人にしてみれば矛盾するものではなく、ちゃんと筋道だって導きだされた結論なのでしょうね。信仰というものは多かれ少なかれそんなところがあります。あと動機がどうあれ彼の尽力で死人の数が少しでも減ったならば、それはそれで称賛されるべきことなのではなかろうかと。

「衛生兵」で思い出すのは『プライベート・ライアン』の冒頭のシーン。銃弾の雨の中無数の兵士たちがバタバタ倒れていく中、あちらこちらから「衛生兵!」という呼び声が起きるのですが、この圧倒的な死の量産の前にはあまりにも無意味だよな… と思ったものでした。そんな状況にあっても、あきらめずに「あと一人、あと一人」と自らも傷つきながら救援に奔走するドスさん。その恐るべき信念にしょっちゅうフラフラ迷ってる身としては、頭を垂れずにはいられません。

そしていろいろ問題を起こしながらも信仰心が篤く、監督としてもすぐれた才能を有しているメル・ギブソンもまた矛盾だらけの存在です。本当にもっと人格がまともならこの10年の間にもう2、3本撮れただろうに…と、そのことが残念でなりません。そして本人もそのことを反省したのでしょうか。『アポカリプト』や『ブレイブ・ハート』では戦闘シーンや残酷描写をウヒウヒ楽しんで作ってるな~と感じられたのですが、こちらではゴアシーンが普通に痛々しく、戦争への悲しみが素直に伝わってくるような作りになってしまいました。立派になられたのね…と感慨にふける反面、「ちょっと無理してない?」と思わないでもありません。

主演は元スパイダーマンのアンドリュー・ガーフィールド。彼は先日『沈黙』でも、信仰ゆえに苦しい立場に立たされる役でした。あと自分の信念ゆえに日本くんだりまで来ることになるところも一緒でした。なんか面白い偶然であります。ともあれその熱演が認められて、本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされたのだから大したものです。『アメイジング・スパイダーマン』シリーズが中途半端に終わってしまったのは残念ですが、代わりにこういう路線で引き続き活躍していければよいですね。

Photo_2『ハクソー・リッジ』はもう完全に公開終了したかと思ってましたが、終戦記念日の時期だからかそこそこ上映館残ってますね。くわしくは公式HPをご覧ください。メルさんの次回作はなんとあの『パッション』の続編…つまりキリストの復活の話という噂もあります。なんにせよ問題おこさずに無事映画が作れますように…

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August 01, 2017

ぼくの伯父さんの痛切 ケネス・ロナーガン 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

Photoまだ今年のアカデミー関連の話をしています。日本公開が遅い+地方はさらに遅い+わたしが書くのが遅い の3連コンボなのですね。今回はケイシ―・アフレックがお兄さんに先駆けて主演男優賞をもっていってしまった『マンチェスター・バイ・ザ・シー』をご紹介します。

ボストンで便利屋として淡々と暮らしているリーのもとに、ある日突然兄の訃報が入る。甥のパトリックのケアや葬儀のため久しぶりに故郷の「マンチェスター・バイ・ザ・シー」に戻るリー。そのままこちらに帰ってきてほしいと願うパトリックだったが、リーにはそこに長く住めない深刻な事情があった。

なかなか地味で物静かな映画です。海辺の田舎町に帰ってきた男と甥っ子の、それほど激しくもない日々をつづった内容なので。なんとなく予告や宣伝からシリアスで切ないムードを予想していたのですが、むしろユーモラスですらありました。パトリック君が繊細な子かと思えばけっこうちゃらんぽらんなところも、感動に水をさします(笑) でもまあその穏やかなで人を食った語り口が心地よく感じられる作品でした。冬景色の落ち着いた街並みに流れるクラシック調のスコア。なんつーか、アメリカは田舎町ですら風景や住人がおしゃれだなあと思いましたよ。でも今調べたら「景色のいい浜辺や景勝地で知られる」とありました。もともとそういうとこだったのね…

ただそのゆったりまったりしたムードの最中、突然ナイフでこちらの胸をズブズブッと刺し込んでくるようなくだり1回だけあります。そのあとまた元の調子に戻るんですが、前後とのあまりの空気の違いに強烈なインパクトを残します。わたしたちの近隣の普通に見える方の中にも、もしかしたら筆舌に尽くしがたい悲劇を経験してる人がいたりして…なんてことを思わされます。

以下、結末までネタバレしてるのでご了承ください。

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これが普通の感動映画だったら、リーが故郷で過ごすうちに過去の悲劇を乗り越え、「もう一度この街でやりなおそう」と決意するところで終わるでしょう。でもやっぱりリーはトラウマを克服できないし、失ったものも取り戻すことはできないのです。で、彼は違う選択をするわけですけど、それがどちらかというと肯定的に後味悪くなく描かれてるのに感心しました。人間どうやったってとりかえしのつかないことや癒えない悲しみもあるけど、それでもそれなりになんとか生きていく道もあるもんだ…ということを教えられたような。わたしはそんなに…というかまったく深刻な過去などありませんけどね。

ケイシ―・アフレックの演技は初めて見ましたが、高倉健のような朴訥な印象でした。お兄ちゃんが監督した評判の高い『ゴーン・ベイビー・ゴーン』などもいつか観たいものです。そしてそのうち兄弟で仲良く共演してる映画も観てみたいものですね。殺しあう話でも支えあう話でもかまわないので。

Photo_2『マンチェスター・バイ・ザ・シー』はもう公開からけっこう経ってますが、根強いファンが多いのかまだちょぼちょぼ上映館残ってますね。くわしくは公式サイトをごらんください。アカデミー関連の話題もまだ終わりません。近日中に『ハクソー・リッジ』の感想も書きます。邦題が波紋を呼んだ『ドリーム』もまだ待機中ですしね…

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