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May 22, 2017

帰ってきた「電車で業!」 ダニー・ボイル 『T2 トレインスポッティング』

T2terminator2judgementday2014237630ダニー・ボイルの名を知らしめたあの快作が、なんと20年ぶりに帰ってきました。かつてエジンバラでブイブイいわしてたあの悪ガキたちは、2010年代の今どうしているのか? 『T2 トレインスポッティング』、ご紹介します。

レントン、ベグビー、サイモン、スパッドは子供のころからつるんでいる悪友同士。青春時代はともにドラッグをキメたり盗みを働いたり刹那的な日々を謳歌していた。だがその友情はレントンが仲間を裏切り、一人故郷を離れたことで一度終焉を迎える。
それから20年。人生に疑問を感じたレントンはふらりとスコットランドに戻ってくる。会いたかった友達、会おうかどうか迷う友達、そして絶対に会いたくない友達… レントンの思いをよそに、彼の帰郷は仲間たちを再び引き合わせる。

『トレインスポッティング』1作目が日本で公開されたのは1996年11月。ちょうどわたしが映画にはまる2か月ほど前でした。公開後映画雑誌やらレンタル店やら各種メディアで大々的に取り上げられ、当時のオシャレな若者たちに大いにもてはやされたようです。たしかコピーが「もっとも陽気で悲惨な青春映画」だったかな。便器の底でもスタイリッシュな映像、イギ―・ポップのビートの効いたスコア、そしてモデルのようにスラリとした主演の若者たち。遅れてビデオでようやく鑑賞したわたしは、「ほほー まんずかっこええ、都会っぺえ映画だっぺ」と地方の薄汚れたアパートでひとりごちたものでした。
そんなわけでそれなりにたのしんだものの、まず「おしゃれ映画」としてのイメージが強く、そんなに思い入れが深かったわけでもなかった『トレインスポッティング』。20年ぶりにメインキャスト続投で続編を作ると聞いて、主に懐かしさと物珍しさで観に行ったのでした。ところがこれが予想外に大変突き刺さるお話でありました。

まずアホっぽくてもキラキラと輝いてたレントン。あの独特のへらへらとした笑顔はもう見られません。時折微笑むことはありますが、ジェダイの弟子を育てそこなったせいでしょうか、基本的にいつも眉根にしわをよせています。彼などはまだいいほうで、ベグビーはいまだ収監中ですし、サイモンはヤクザな商売を続けていて、スパッドは結婚にも仕事にも失敗して相変わらず重度のヤク中…と誰一人まともで幸福な家庭を築けていない。ただねえ、自分だってドラッグや犯罪にこそ手を出していないものの、この20年どれほど成長したかといえばいささかこころもとないし。くわえて体力もけっこう落ちてる。おなかも出てる。そして相変わらずの独り者… そんな自分の停滞・劣化ぶりをいちいち指摘されるようで胃がキリキリといたしました。

でもそれでいてこの映画、すごく楽しいんですねえ。笑えない境遇にありながらそれでもカラ元気で暴れまわるレントンたちがとにかく愉快ですし、ダニー・ボイルってこんなにお笑い得意だったかな?と思うくらいギャグセンスが秀逸。私が観た回は10人くらいしか入ってなかったんですが、それでもけっこう場内笑い声が響いていました。特に印象に残ったギャグはやっぱりトイレ関係。本当にダニーさんはトイレを撮らせたら天下一品ですね。

あととりわけ胸にしみたのは友情の面倒くささでしょうか。友情の素晴らしさを描いた映画はたくさんありますが、この面倒くささを強調したものはあまりないような。だいたいレントンはあんなことをしでかしたあとで、どの面下げて仲間たちに会うのだろうと思ってましたが、やはりみんなからぶんなぐられてました(笑) ただそのあとが三者三様で、スパッドがすぐにうととけたのに対し、サイモンはもう少し一悶着あったりする。ベグビーにいたっては到底和解は無理だろ、と思ってましたが幼少のころを思い出すにつれ、意外な感情が湧いてきたりして… どれだけ喧嘩しても結局縁が切れない4人。どっちかといえばバラバラでいた方がお互いのためになる気もするんですが、やっぱりその存在がなによりの慰めなんでしょうね。
ベグビーなんかは20年前到底理解できないような男だったのですが、今回はその不器用ぶりが泣けて泣けてしょうがありませんでした。

そんなアホどもを優しく照らすのはエジンバラの美しい夜景。前作はビデオ鑑賞だったからそんなに感銘を受けなかったけど、この歴史を感じさせる風情ある街並み、いいですよね… お金もないけど行ってみたくなりましたよ。
Photoなんかまだまだ語りたいことがるような気もするんですけど、鑑賞から1ヶ月経ったいまもあんまりうまくまとまりません。それほどにいろんな感情が呼び起こされる映画です。1作目がそれほど特別な映画でもなかっただけに、こんな気持ちになるとは大変意外でありました。
ちなみに『トレインスポッティング』原作(アーヴィン・ウェルシュ著)にも続編がありますが、『ポルノ』というタイトルで映画とはやや内容が異なるとか。加えて『Skagboys』なる前日談もあるそうです。
『T2 トレインスポッティング』はさすがにだいぶ公開が終わりましたが、東京ではまだほそぼそと続いてるところもある模様。やっぱさすがだべな、東京は!


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