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May 31, 2017

ドムと氷の女王 F・ゲイリー・グレイ 『ワイルド・スピード/アイスブレイク』

Photoシリーズ8作目ながらどんどん勢いを増している『ワイルド・スピード』シリーズ。本当にどこまでいくのでしょう。とりあえず本日はその最新作『ワイルド・スピード/アイスブレイク(原題:速さと怒り狂い8つ目)』ご紹介します。1~7作目の内容をまとめた記事はコチラ

自由の身になり、地元に帰り、時間軸ももとに戻り、復讐鬼も返り討ちにしたドムさんファミリー。今度こそ何の悩みのなくハッピーにドライブを楽しめる日々が待っているはずだった。しかし彼らが退けたショウ兄弟の裏にはさらなる黒幕が控えていた。その女サイファーはドムの弱みを握りファミリーを裏切るよう命じる。

今回も世界・日本共に爆ヒットしている本シリーズ。なんとなく我が国の興行収入を調べてみたら 4億→7億→10億→9億→14億→20億→35億といううなぎのぼり具合。ここんとこバイオハとSWくらいしか人気シリーズがない日本の洋画事情からしたら、異例なくらいの出世ぶりです。いったいそんなになにがうけているのか。さっき5秒ほど考えて、それはこのシリーズが最近ますます少年ジャンプ化しているからでは、と思いました。

たとえば『リングにかけろ』でしょうか。あのマンガは最初こそ人間レベルのボクシングをしていましたが、終盤になると主人公たちのパンチがほぼ超能力になってしまい、稲妻を呼んだり、対戦相手を会場の外までふっとばしたりしていました。本シリーズの主人公ドムも1作目ではタンクローリー1台襲うのにも四苦八苦してたのに、最新作では車一台で潜水艦すら破壊しかねない暴れっぷりです。そんな主人公の際限ない強さのインフレぶりがまずジャンプっぽかったです。

あとジャンプの黄金パターンには、どんなに悪いライバルでも一度戦うと友情パワーがめばえて、それまでの罪が帳消しにされ、主人公たちの仲間になってしまうというのがあります。『キン肉マン』『ドラゴンボール』『魁!!男塾』などこうした例はあげるとキリがありません。
『ワイルドスピード』でも最初激しく戦ってたホブス(ロック様)は今作ではドムに「兄弟!」なんて言っちゃってますし、前作であれほど極悪非道だったデッカード(ステイサム)もすんなり共闘モードに移行してしまいます。それでいいのか…とも思いましたが子供をあやしながら悪党どもをバタバタなぎたおすステイサムがあまりにチャーミングだったので見過ごすことにしました。自分もつくづくいい加減な人間だと思います。

さて、この度の『アイスブレイク』のキモはリーダーのドムが本当に裏切ってしまったのか?というところにあります。考えてみればこの男元々は正義とは程遠い強盗集団の一員でありました。ここ2作ばかり世界の危機のためにヒーローしている方が「らしくない」わけであって。また悪役に戻ってしまうことも十分に考えられる。「いやよ! ドム! 帰ってきて! わけがあるなら話してよ!」とすっかりファミリーに感情移入して涙目になってたわたしがいました。まあ実際は裏切ったふりをしてるのが見え見えでそんなには心配してませんでしたけど。ちなみにこれ完結編3部作の第1章ということですが、『アイスブレイク』は『アイスブレイク』でキリよくきちんと終わってくれてありがたかったです。

あとこのシリーズで感心するのはやっぱり車へのこだわりぶりですかね。秘密兵器を強奪するにも敵の本拠地に攻め込むのも飛行機やロボットではなく普通に乗用車です。この辺も少々くらっとする部分ではありますが、わたしの中の(ブラックエンジェルズ)松田さんが「細けえこたいんだよ」と微笑んでるのでここも見過ごすことにします。
Charlizetheronsnowwhiteandthehuntsmそんな『ワイルド・スピード/アイスブレイク』。公開から1ヶ月経った今も普通に上映されていて感服つかまつります。なんだかんだ言って今年上半期は洋画いろいろがんばったのではないかと。最終章の第二弾は2019年、第三弾は2021年に公開予定とのこと。来年のことを言うと鬼が笑うと言いますが、この安定っぷりならきっと大丈夫だと思います。さらなるヒートぶり、エスカレートぶりを期待いたします。


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Comments

吾一くん☆
アイスブレイク、いつまでもベスト10に入っていて凄いよね~
確かに少年ジャンプぽい!
ステイサムも弟の仇討とか言ってたわりに、弟あっさり完治しているし、そんなに騒ぐほど酷い目にあってないじゃんって思っちゃったわ。
でもジョンソン&ベビーがとってもチャーミングだったので、私もさくっと許しちゃった♪

Posted by: ノルウェーまだ~む | June 11, 2017 01:11 PM

>ノルウェーまだ~むさん

こんばんはー
ステイサムの弟さんのルーク・エヴァンスは『美女と野獣』でも活躍されてますが、最近なんだかどんどんヘナチョコ化してるようで心配です

ステイサムの子守、あれはずるいですよね~ あんなに極悪でも赤子には優しいとか、あれは本当にずるい!

Posted by: SGA屋伍一 | June 12, 2017 10:16 PM

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