鷲は飛び降りた ジャスティン・カーゼル 『アサシン クリード』
姪っ子を一週間あずかってたので、すっかり更新が滞ってしまいました。はあ… せわしなかったけど楽しかったなあ… …
落ち込む気持ちを振り払って、またしても公開がほぼ終わりかけてる映画を紹介します。『アサシン クリード』、いってみましょう。
幼いころ特異な状況で両親と別れることになった青年カラム・リンチは、暗黒街で暮らすうちに罪を犯し、死刑を宣告されてしまう。あっさりと覚悟を決めたリンチだったが、刑は執行されず、彼は極秘のうちにとある研究所に移送される。「あなたの脳に隠されている先祖の記憶から、人類史に大きな影響を及ぼす『秘宝』のありかを探し出したい」とスタッフのソフィアは説明する。突拍子もない話に動揺するリンチ。しかし彼はいつしか先祖の生涯をたどることに興奮を覚えるようになる。
原作は有名なテレビゲームのシリーズ。自分あまり聞いたことがなかったんですけど、映画の予習としてさらさらっとウィキペディアなど読んでみました。するとびっくり。このゲーム、人類創世から十字軍、ルネサンス、アメリカ独立戦争、フランス革命と世界史の重要な出来事は大体関わってくる壮大なストーリーになっているのですね。まるで手塚治虫先生の『火の鳥』みたいです。ちなみにゲームの方は3作目までデズモンド・マイルズさんという、映画には全く出てこない方が主役を努めておられるそうです。
劇中で活躍し、主人公の先祖であるアサシン(暗殺者)、日本史的にも非常になじみ深いある職業を思い出させます。そうです。忍者です。頭にはすっぽりとフードをかぶり、歴史の影で汚れ仕事を請け負い、特殊な道具の扱いに長け、超人的な体術を有する… まるで忍者そのもの。本国でこのゲームが大人気を博したのも、ニンジャ大好きアメリカ人のハートに響くものがあったからでしょう。
実際、「過去」の部分で、ゴシックな街をかけめぐる西洋忍者のバトルは大変シャレオツでかっこよくてスタイリッシュであります。ただ問題はそれが主人公の脳内に投影される情景であるゆえ、ぱっと現代に戻ってきてしまうとなんだかリンチさんが超リアルなVRで遊んでるように見えてしまうのですね。この辺、ド迫力のバトルを繰り広げたあとに「実はこれイメージ映像でした」と興ざめさせてくれた問題作『エンジェル・ウォーズ』と似てなくもありません。
製作陣としては、こういう構成にすることで他にはない個性的なアクション映画・時代劇を作りたかったのでしょうか。その志は大いにかいますが、それでもエンターテイメントである以上クライマックスはもう少し盛り上げてほしかったですね。特に派手なバトルもないまま事件は収束し、「おれたちの戦いはこれからだ!」のアオリが目に浮かぶような幕切れだったので。もしかしたら続編にでもつなげるつもりだったのかもしれませんが、いまんとこ世界興行収入は黒字になるかは微妙なところ。おまけに主演のマイケル・ファスベンダー氏が「しばらく休業したい」なんて言ってるのでこれきりで終わる可能性が非常に高いです。
あれ… とりあえずなんでも「誉め殺す」のが当ブログの趣旨であったのに、今回あまり誉めてないですね。もう少しなにか誉めないと… えーとですね。ヒロインのマリコ様ことマリオン・コティヤールさん、けっこう自分好みです。いや、そういうことじゃないな。とにかく忍者アクションはけっこういい! 以上です!!
そんな『アサシン クリード』、うちの近くでは今週金曜くらいまでやってます。ストーリーはどうあれビジュアルがよきゃそれでいいよ!という奇特な方はぜひご覧ください。次はやはりそろそろ終わりそうなアクション大作『トリプルX:再起動』をご紹介します。
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