ゴ・リ・ランド ジョーダン・ヴォート=ロバーツ 『キングコング 髑髏島の巨神』
なんとか一か月以上は遅れないように必死で記事を書いてるこのごろ。これは好評だったのでもう一週間くらいやってるかな。レンジェダリー久々の怪獣直球映画『キングコング 髑髏島の巨神』、紹介します。
ベトナム戦争終了直後、アメリカの秘密機関「モナーク」に所属する二人の科学者、ランダとブルックスは、常に嵐と厚い雲に覆われた謎の島・髑髏島への調査に赴く。サバイバルのエキスパートである元英国の軍人コンラッドや、歴戦の兵士であるパッカードなども同行し、どんな危険があっても万全の体制であった。
だがしかし島に上陸した途端、彼らの常識は粉々に打ち砕かれる。そこで彼らが目撃したのは身の丈30メートルはあろうかという巨大なゴリラ「コング」であった。しかも恐ろしいことに島を徘徊する巨獣は、コングの他にも多数存在した。一行は果たして生きて島を脱出できるのだろうか。
日本を代表する怪獣といえばゴジラですが、アメリカを代表する怪獣といえばキングコング。いままで7本の作品が作られています。まず1930年代の元祖二部作。ついで東宝で作られた『キングコング対ゴジラ』&『キングコングの逆襲』。さらに1976年&1986年に作られたジョン・ギラーミンによるリメイク2部作。そしてまだ記憶に新しいピーター・ジャクソンの二度目のリメイク版です。
今回の『キングコング』には二つの大きな特色があります。ひとつはこれがレジェンダリー版ゴジラと世界を共有する「モンスターズバース」の2作目であるということ。もうひとつはこれまでのセオリーとは異なり、コングが都会に連れていかれたりしないということです。最初から最後までお話は南海かどこかの孤島で進行していきます。まあ自分は2005年版もかなり好きですが、それまでうじゃうじゃいた怪獣が都会パートになるとコング一匹になってしまうのが確かに物足りなかった。その点今回はクライマックスまで怪獣大行進です! やったね!
監督の新鋭・ジョーダン・ヴォート=ロバーツ氏は日本のサブカルからも多くの影響を受けたとのことですが、とりわけのめりこんでいたのはTVゲームであるとのこと。なるほど、次から次へと現れるモンスターをギリギリのところでやりすごしたり、バタバタ餌食になってくあたりはドンキーコングやスーパーマリオと似てなくもありません。
あと去年の『シン・ゴジラ』などと見比べてみますと、やはりコングさんはおっかないところもありますけど、まだ霊長類同志人間と心が通い合うところがあります。特に美女には。ただコングさんの好みも昔のお色気ムチムチタイプから、落ち着いた母性愛あふれるタイプにシフトしてきているようです。
またあくまでサブ程度ではありますが、文学的要素もちらっと織り込まれています。まずこの映画がキューブリックの名作『地獄の黙示録』と、さらにその元ネタである小説『闇の奥』を意識して作られている点。ひとはなぜ恐怖の待ち受ける未知の領域にひかれ、足を踏み入れるのか。またそこに君臨している「王」は何をさしているのか。そんな門いがこの作品でも投げかけられている…かな?
第二次大戦の生き残りであるマーロウと、現役の戦争の犬パッカードの対比も興味深かったです。片やわだかまりを捨て、敵軍の兵士と義兄弟の契りを結んだもの。片やベトナムでの心残りゆえに、意地でも戦い・復讐心を捨てられぬもの。二人を異ならせているものはなんなのか。いろいろ考えさせられます。
ただまあやっぱりこの映画の一番の醍醐味は怪獣たちによる一大アクションですね。特に骸骨をかぶったようなオオトカゲ「スカルクロウラー」は自然動物からかけ離れたそのデザインゆえ異彩を放っております。果たしてこの先のモンスターズバースでの登場はあるでしょうか。
『キングコング 髑髏島の巨神』はアニメ3傑には及ばなかったものの、日本でもそれなりにヒットし、中国でも好評を博しました。この分ならつづく怪獣ユニバースも無事進行していきそうですね。現在のところ2019年に『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』が、2020年に『ゴジラVSコング』が予定されております。
Comments
髑髏島で、お笑いのキングコングと巨神(オール阪神・巨人)が戦うんでしょうか。
Posted by: ボー | May 09, 2017 06:24 AM
>ボーさん
続編ではゴジラ松井と戦うことになるかな…?(巨人つながり)
Posted by: SGA屋伍一 | May 11, 2017 10:06 PM
吾一くん☆こちらにも
これ、本当に面白かったわ~
てっきりB級ものと決めてかかってたので余計に♪
続きも楽しみだね☆
Posted by: ノルウェーまだ~む | May 24, 2017 01:01 AM
>ノルウェーまだ~むさん
これ、わたしは楽しみでしたが絶対ぶっこけると予想してたんですよね。それが予想外のスマッシュヒットで嬉しかったです
続は再来年なんですよね。待ち遠しい…
Posted by: SGA屋伍一 | May 29, 2017 09:15 PM