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April 29, 2017

ゴ・リ・ランド ジョーダン・ヴォート=ロバーツ 『キングコング 髑髏島の巨神』

144153_01なんとか一か月以上は遅れないように必死で記事を書いてるこのごろ。これは好評だったのでもう一週間くらいやってるかな。レンジェダリー久々の怪獣直球映画『キングコング 髑髏島の巨神』、紹介します。

ベトナム戦争終了直後、アメリカの秘密機関「モナーク」に所属する二人の科学者、ランダとブルックスは、常に嵐と厚い雲に覆われた謎の島・髑髏島への調査に赴く。サバイバルのエキスパートである元英国の軍人コンラッドや、歴戦の兵士であるパッカードなども同行し、どんな危険があっても万全の体制であった。
だがしかし島に上陸した途端、彼らの常識は粉々に打ち砕かれる。そこで彼らが目撃したのは身の丈30メートルはあろうかという巨大なゴリラ「コング」であった。しかも恐ろしいことに島を徘徊する巨獣は、コングの他にも多数存在した。一行は果たして生きて島を脱出できるのだろうか。

日本を代表する怪獣といえばゴジラですが、アメリカを代表する怪獣といえばキングコング。いままで7本の作品が作られています。まず1930年代の元祖二部作。ついで東宝で作られた『キングコング対ゴジラ』&『キングコングの逆襲』。さらに1976年&1986年に作られたジョン・ギラーミンによるリメイク2部作。そしてまだ記憶に新しいピーター・ジャクソンの二度目のリメイク版です。

今回の『キングコング』には二つの大きな特色があります。ひとつはこれがレジェンダリー版ゴジラと世界を共有する「モンスターズバース」の2作目であるということ。もうひとつはこれまでのセオリーとは異なり、コングが都会に連れていかれたりしないということです。最初から最後までお話は南海かどこかの孤島で進行していきます。まあ自分は2005年版もかなり好きですが、それまでうじゃうじゃいた怪獣が都会パートになるとコング一匹になってしまうのが確かに物足りなかった。その点今回はクライマックスまで怪獣大行進です! やったね!

監督の新鋭・ジョーダン・ヴォート=ロバーツ氏は日本のサブカルからも多くの影響を受けたとのことですが、とりわけのめりこんでいたのはTVゲームであるとのこと。なるほど、次から次へと現れるモンスターをギリギリのところでやりすごしたり、バタバタ餌食になってくあたりはドンキーコングやスーパーマリオと似てなくもありません。
あと去年の『シン・ゴジラ』などと見比べてみますと、やはりコングさんはおっかないところもありますけど、まだ霊長類同志人間と心が通い合うところがあります。特に美女には。ただコングさんの好みも昔のお色気ムチムチタイプから、落ち着いた母性愛あふれるタイプにシフトしてきているようです。

またあくまでサブ程度ではありますが、文学的要素もちらっと織り込まれています。まずこの映画がキューブリックの名作『地獄の黙示録』と、さらにその元ネタである小説『闇の奥』を意識して作られている点。ひとはなぜ恐怖の待ち受ける未知の領域にひかれ、足を踏み入れるのか。またそこに君臨している「王」は何をさしているのか。そんな門いがこの作品でも投げかけられている…かな?
第二次大戦の生き残りであるマーロウと、現役の戦争の犬パッカードの対比も興味深かったです。片やわだかまりを捨て、敵軍の兵士と義兄弟の契りを結んだもの。片やベトナムでの心残りゆえに、意地でも戦い・復讐心を捨てられぬもの。二人を異ならせているものはなんなのか。いろいろ考えさせられます。

ただまあやっぱりこの映画の一番の醍醐味は怪獣たちによる一大アクションですね。特に骸骨をかぶったようなオオトカゲ「スカルクロウラー」は自然動物からかけ離れたそのデザインゆえ異彩を放っております。果たしてこの先のモンスターズバースでの登場はあるでしょうか。
Cong2『キングコング 髑髏島の巨神』はアニメ3傑には及ばなかったものの、日本でもそれなりにヒットし、中国でも好評を博しました。この分ならつづく怪獣ユニバースも無事進行していきそうですね。現在のところ2019年に『ゴジラ:キング・オブ・モンスターズ』が、2020年に『ゴジラVSコング』が予定されております。


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April 27, 2017

Pratt安心! 宇宙旅行 モルテン・ティルドゥム 『パッセンジャー』

Pssj1あ、これは明日で大体公開おわっちゃうな… … 本日はクリス・プラットとジェニファー・ローレンスという全米二大スターを主演に据えながら、微妙に話題にならなかったSF映画『パッセンジャー』を紹介します。

無限に広がる大宇宙。アヴァロン号は地球より120年かけてはるか彼方の植民性に向かって航海を続けていた。乗客はその間ずっとコールドスリープに入ってるはずだったが、到着までまだ90年もあるのに、どういうわけかエンジニアのジムは突如として冷凍睡眠のポッドから放り出されてしまう。それは広大な宇宙船の中で死ぬまで一人で生きることを意味していた。無限の孤独にさいなまれながら他の乗客のポッドを眺めていたジムは、いつしか眠り続ける同乗者の1人・オーロラに強くひかれるようになっていく。

もう今回は真ん中くらいまでネタバレ、おおむね観た人向けに書きます。公開後1日だしね…
わたくし予告の時これは宇宙版『タイタニック』か…と思ったくらいベタベタなロマンス映画なんだろうな~と考えておりました。ところがどすこい、これなかなか変わったというか、ややドロッとしたラブストーリーでした。というか一歩展開が変われば十分サイコサスペンスにもなりえたんではなかろうかという。それくらい主人公のジムがちょっと不気味というかキモい系の男なんですね。わたしなみに。

ただオンオフ問わずいつも陽気でテンション高いクリス・プラットがそういう役を演じているのが、なかなか似合わなかったりします。この映画観終わった直後に別のスクリーンにいったらいきなり『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の予告が始まって、いつものクリプラがめっちゃ楽しそうにしてたので盛大にこけました。こういう役はむしろベン・アフレックが例の死んだ目で演じていたらもっとはまったんじゃないかと思います。あとクリプラやっぱりは動物と絡んでた方が生き生きしてるし興収もいいですね。この『パッセンジャー』でもマスコットキャラとして、ウサギなりネズミなりかわいい動物キャラをを共演させてくれたらもっとよかったかもしれません。代わりに彼に付き合うことになるのが、ちょっと不気味なバーテンのロボット。このロボがなかなかこの映画のキーマン的な存在だったりして、いい味出しておりました。

さて、ここからいよいよネタバレ部分に入っていきます…


てっきり偶然か、宇宙船の作為で目覚めさせられたと思っていた二人の男女。しかし本当のところはさびしさに耐えかねたジムが強制的にオーロラを起こしてしまった…という流れでした。これはやってはいかんだろう…と思いつつも、一年もひとりっきりだったらやっても致し方ないか…という気もするし、自分が同じ立場に置かれたらどうするだろう?と頭の中でぐるぐる考えてしまいます。
当然ジムは「故障だったんだね」とオーロラにウソをつくわけですが、そんな嘘が途中でばれないはずはない。だもんで、わたしにとってこの映画の最大のクライマックスはそのウソがばれてしまうあたりでした。不思議なもんで、ウソというのは一旦ばれてしまうと、あとはなんだか楽になるんですよね。ですからそのあとの宇宙船の危機とかすったもんだとかは、わりかし落ち着いて観られました。

監督は一昨年の『イミテーション・ゲーム』などが記憶に新しいモルテン・ティルドゥム。あの映画も主人公がもの言わぬ存在にひたすら愛情を注ぐ話でありましたが、こちらはまあ無理やり起こせば会話できる存在であったので、あちらよりは救いがあったような。
実はこの『パッセンジャー』、準備段階でもうひとつ別の結末が考えられていたそうです。その結末についてはこちらをご覧ください。うーん… こちらはこちらで悪くないけど、自分はリリース版の方が好みですかね…

Pssj2この記事を読んで興味を持たれた奇特な方がいらっしゃったら、明日仕事帰りにでもご覧になっていってください。一応本年度アカデミー賞の音楽・美術部門にノミネートされてます。

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April 24, 2017

イルミネーション系のど自慢 ガース・ジェニングス 『SING』

20170415_162223今年の春休みシーズンを征したのは、驚くべきことにドラえもんでもなくディズニーでもなくイルミネーション・エンターテインメントのこの作品でした。『SING』、紹介いたします。

動物たちが暮らす街で劇場のオーナーをしているコアラのムーンは、人格にやや問題はあるもののショービジネスに対して並々ならぬ夢と情熱を抱いていた。いよいよ劇場がピンチになった時、ムーンは起死回生の案として町の住民たちによる歌唱コンテストを企画する。しかし秘書のカメレオンがうっかり賞金の額を一桁多く書いてしまったため、コンテストは早くも波乱含みに…

予告を見た時にはそれほどそそられなかったこの作品。だって動物たちののど自慢大会って、いまひとつ花がないというか地味というか。去年派手に楽しませてくれた『ズートピア』があっただけにね。
それがなぜ観に行ったかといえば、ひとつには単に評判がいいから。もうひとつには『銀河ヒッチハイクガイド』『リトル・ランボーズ』のガース・ジェニングスが監督を務めていると聞いたので。日本で作品が公開されるのはかれこれ7年ぶり。最近どうしてるのかな~って時々思ってたんですよ。ただ『銀河ヒッチハイクガイド』との共通点を一生懸命探してはみたんんですが、皮肉っぽくてカラッとしたギャグセンス以外あんまり見当たりませんでした。『リトル・ランボーズ』の方とは「障害にあっても夢を諦めない」ストーリーが多少似てはおりましたが。

それはともかく実際に鑑賞してみたら予想以上の出来に感心してしまいました。確かに地味には地味なのです。我々と変わらぬ様々な悩みを抱えた等身大の人物…じゃなくて動物たちが織り成す物語なのでね。しかしそれだけに個々のキャラがきわめて身近に感じられるし、彼らが目標の実現のためにがんばる姿には理屈抜きで応援したくなります。ところがこの映画、中盤過ぎまではかなりサド的というか、キャラクターたちへの追い込みっぷりが半端じゃありません。そのあまりの非情な展開に「こりゃどう考えてもライブ開催は無理だろ」と、あきらめのいい人生に疲れたおじさんは思ってしまいました。

あと目立っていたのはムーンさんとネズミの歌手・マイクの問題児っぷり。まあなんというかイルミネーションの主人公たちは反社会的な輩が多いですね。それこそがディズニーとちょっと違うところであり、アカデミー長編アニメ部門から敬遠される所以なのかもしれません。ただムーンさんは欠点と同じくらい良い特質ももっていますし、劇中にある体を張った洗車シーンを見てしまったら、もう愛さずにはいられません。マイクの方は「愛すべき」とまではいきませんが、主人公サイドなのに最後まで成長せずに嫌味を垂れまくるそのキャラは異彩を放っていました。

そしてなんといっても見事なのは『SING』 という題だけあって歌唱シーンが大変楽しい。ずっと地味臭かった話がクライマックスのステージで一気に花開いていいきます。どの歌も大変聞いていて心地よかったですが、自分がとりわけ気に入ったのはなぜかヤマアラシのアッシュちゃんがトゲを飛ばしながら歌う「Set It All Free 」だったりして。劇中で好きなナンバーであるクイーンの「Under Pressure」が流れたのも嬉しゅうございました。

Kanbanそれにしてもイルミネーションのアニメが公開されるたびなんでこんなに日本でうけているのか、いまひとつ謎であります。この社名、まだそんなにこちらでは浸透してないと思うんですが。それとも「ミニオンのスタッフが贈る!」と言われると、一般のファミリー層はぐっとひきつけられるんでしょうかね。とりあえず『SING』はまだ大ヒット公開中。夏には『怪盗グルー』の第3作もスタンバイしております。

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April 17, 2017

無情なる潮干狩り マルティン・サンフィリート 『ヒトラーの忘れもの』

YjimageKk150820_sm03東京国際映画祭で好評を博し、先のアカデミー外国語部門でノミネートされた本作品。先ごろこちらでようやく公開されたので張り切って観てきました。まあ… もう一か月前の話なんですけどね… そんな『ヒトラーの忘れもの』、ご紹介します。

第二次大戦直後、デンマーク軍はナチスが国土に埋めていった200万個もの地雷を、ドイツの捕虜に撤去させることにする。その指揮にあたるムスッセン軍曹はドイツに激しい憎しみを抱いていたが、自分のところに派遣されてきた隊が、あどけない少年兵ばかりであることを知って動揺する。広大な砂浜で慎重に地雷を掘り出す少年兵たち。しかしどうしても犠牲は避けられず…

TIFFでは『地雷と少年兵』のタイトルで公開されました。一般ではちょっとかわいい題に変更されましたが、忘れ物をしたのがサザエさんでなくヒトラーですし、忘れ物も財布でなく地雷ですので当然なごやかな話ではありません。というか精神的にかなりきついです。デンマークの作家と言えば最近ではラース・フォン・トリアーやニコラス・ウェインディング・レフンなどが活躍しておりますが、彼らみたいに視覚的にえぐい描写は1シーンしかありません。それなのに半端なホラー映画以上に「見に来るんじゃなかった…」と胃をキリキリさせられました。しかもこれが実話に触発されて作られたというから胃痛がさらに増します。

で、もうひとつ辛いのはこれがただ残酷な話だけでなく、ほのかな人情ややさしさがストーリーに織り込まれてるからなんです。鬼軍曹にせよ意地悪な隣家のおばさんにせよ、第一印象は最悪です。そんな彼らも健気な少年たちと接していくうちに、胸に刻まれていた復讐心を薄れさせていきます。でもせっかく触れ合えるようになっても、少年たちはどんどん爆死していくし、国が報復行為をやめるわけでもない… 本当に「やるせない」としか言いようがありません。特に実質主人公である鬼軍曹に感情移入すると軽く鬱状態になるやもしれません。彼、元敵国に対する憎しみを隠そうともしませんけど、中途半端にいい人なんですよね。そんでようやく打ち解けたと思ったらある事件でまた鬼軍曹に戻ってしまうし。しかしまあ、世の中こういうブレやすい人の方が多いもので(他人事のように)。それだけに身近に感じられるキャラクターでもありました。

いつの時代も大人たちが始めた戦争でとばっちりを食うのは子どもたちであります。自分も全然大した大人ではありませんが、それでも次世代が戦争に巻き込まれないよう微力ながら努めていきたいです。隣国に対して緊張した空気が高まってきたら、それを緩和できるような声をあげて行ったりとかね。

デンマークとナチスといえば戦時中のレジスタンス活動を描いた『誰がため』という映画もありました。これまた重厚な歴史秘話を描いた作品ということでおすすめです。やっぱり大変やるせないんですけどね…

100407_141845『ヒトラーと忘れもの』は飯田橋でまだ予定がありますけど、さすがに大体公開終わったようです。7月4日にはDVDも出ます。さんざん「つらいつらい」言いましたけど、できれば一人でも多くの人に観てほしい映画。がんばって観れば、もしかしたらわずかな救いもある…かもしれないよ?

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April 12, 2017

頓狂ディズニーシー ロン・クレメンツ ジョン・マスカー 『モアナと伝説の海』

1『アナ雪』以降、ジブリ不在ということもあって完全に日本での巻き返しに成功した感のあるディズニーご本家。本日はその最新作で快進撃を続けている『モアナと伝説の海』をご紹介します。

南洋の平和な島で長の娘として健やかに暮らしてきた少女モアナ。しかし彼女は出ることを禁じられている外の海への憧れを、ずっと抑えながら日々を過ごしていた。そんな折、島では魚が取れなくなったり、穀物が急に枯れたりと不吉な現象が続く。その原因が外海の魔神の呪いにあると知ったモアナは、精霊に導かれるまま広い世界へと漕ぎ出すのだが…

公開されるや否や映画ファンの間で「マッドマックスっぽい」と評判を呼んでいた本作。確かにそれらしいところもちらほらあります。しかしわたしが思い出したのは昨年日本でようやく公開された『ソング・オブ・ザ・シー』。禁じられた海へと惹かれていく少女。その少女を誘う精霊。古の災いにより呪いをかけられてしまう巨神…といったモチーフが共通しています。片や大資本で作られた南洋の神話、片や独立系のスタジオで作られた西欧の伝説ですからイメージもストーリー展開もだいぶ違いますが、それでもこういう民話にはある種の定型があるのか、似通った部分があるのが興味深いです。

で、マッドマックスにも例えられてるようにこの話、かなり男子の冒険物語っぽいところもあるのです。モアナは宮崎アニメのコナンかパズーのように人並み外れた大ジャンプを見せますし、次から次へと現れる海の魔物にもひるまず果敢に立ち向かいます。そして助け手となる神マウイと一緒にいても、一向にロマンスが芽生える気配がない。まあマウイは一応人の形をしていても神様なんで、人間のもつ恋愛感情とか超越しちゃってるのかもしれませんが。それ以前にキャラデザの時点でラブコメ向きではない気もします。ともあれ、喧嘩しつつも仲良く冒険を続けるマウイとモアナはカップルというより気心知れた友人、あるいは兄弟のようでした。

ではなぜモアナは男子ではなく女の子としてこの物語に選ばれたのか。女子たちを映画館によぶため…という目的もあるかと思いますが、彼女には能天気な男の冒険児にはない特質があります。それは挫折した時に見せる内面の弱さであったりとか、恐ろしい魔物をも思いやる心であったりとか。そういった女子ならではの柔らかい性質と男の子らしいたくましい冒険心が混ざり合って、実に中性的でバランスのとれたエンターテイメントになっておりました。

ポリネシアの民話を下敷きにした独特な背景や妖怪、アイテムも魅力のひとつであります。思えばこの辺を舞台にしたアニメ映画って今までこれといってなかったような。ミッシェル・オスロなども世界各地の昔話のアニメ化を精力的に行っているので、短編かなにかでやっているかもしれませんが。まあとにかく西洋ファンタジー世界とは一風違った南洋のセンスが目に楽しゅうございました。
1491803284646というわけで予想通り大ヒットを続けている『モアナと伝説の海』ですが、驚いたことにさらにこれを越えて売れている海外アニメが同時公開中です。次の次くらいにその作品について取り上げる予定です。下のイラストはウシ先生が描いてくれた赤ちゃんモアナ。か~わい~な~~


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April 06, 2017

ドニーさん・トニーさん・ドミニークさん? D・J・カルーソー 『トリプルX:再起動』

Xxx1前記事で「そろそろ公開終わりそうな」と書きましたけど、すいません、もうこれ終わってたわ… そんなわけでいささか気まずいというか書く意味があるのかあれですけど、『トリプルX 再起動』ご紹介します。

かつて米政府の特別なエージェント「X」だったザンダー・ケイジは、自分の死を偽装して南の島で自由な暮らしを謳歌していた。だが何者かが世界の人工衛星を自由に操れる装置を入手し、それにより元上司のギボンズが殺されたため、ケイジは再びXとして政府に召喚される。超人的な技術を持つ仲間たちを集めて任務についた彼の前に、やはり凄腕のスパイ集団であるチーム・ゴーストが立ちはだかる。二つのチームの激突は事件を意外な方向に導くことに…

シリーズ3作目となるこの作品。1作目はもうかれこれ15年前(…)。一応映画館で観ましたが、まだまだ若かったヴィン・ディーゼルが「アクションがんばってるなー」と思ったくらいの記憶しかなく。しかしまあそれなりにヒットしまして2005年には2作目の『トリプルX:ネクストレベル』が作られました。ただヴィンさんは「続編モノ好きじゃないんで」とごねたらしく、主人公がアイス・キューブに交代になりました。これが裏目に出たのか2作目は興行的に大惨敗。日本では一般公開すらなくDVDスルーという悲しい待遇でございました。自分は地上波放映された時に観ましたが途中で見事に爆睡。当然こちらもよく覚えておりません。

そして月日が立ち丸くなったヴィンさんが、「またやってもいいよ」と言ったのか、久々のシリーズ再開となりました。ところがこれがおぼろげな記憶で比較しても十分わかるくらい無茶でアホっぽい話になってる。ほんで前よりもチームプレイが重視されてる。この流れ、ヴィンさんのもうひとつの看板シリーズ『ワイルド・スピード』とまったく一緒じゃないですか! まあ無理やり「ワイスピ」との違いを指摘しますと、あちらはあくまで四輪がメインなのに対し、こちらは二輪その他の乗り物が活躍することが多いです。あとギャグの割合が「ワイスピ」より多いですね。ほかには…そんなもんかな。

今回主人公のライバルとして登場するのはカンフースターであり、『ローグワン』での活躍が記憶に新しいドニー・イェン。そんなに本数を観てるわけじゃありませんが、彼には『イップマン』『孫文の義士団』『HERO』そして『ローグワン』などで「常に悲しみを背負ってる」というイメージがありまして。しかしまあ今回のドニーさんはよく言えばすごく楽しそう。悪く言うと大変アホっぽかったです。そんな今までの印象を粉みじんに打ち砕くようなアホ丸出しの大暴れが大変爽快でした。
あとやはりドニー側についているトニー・ジャーもインパクト大でした。彼は主演の『マッハ!!!!!!!!』三部作がやけに仏教的だったり、一時「僧侶になる」なんて言い出したこともあって、殺伐としたアクションをする割に根が真面目というか、信心深い人なんだなあ、と思ってました。けれど彼もまた今回はド阿呆でしたね… あの精悍だったヘアスタイルがチリチリの金髪になってました。もう仏門に入りたいという願いはきっぱりと諦めたのでしょうか。それが賢明ですよね。どう考えてもお坊さんよりアクション俳優の方がむいてますもん。

さらにムチムチセクシーな女優陣や、いつも通りファンキーなサミュエル・L・ジャクソン、その他大勢の皆さん縦横無尽に駆けずり回って楽しさを増してくれます。なんといってもびっくりしたのは予想してなかったあの人の登場。わたしこの人長い間単なるB級アクション俳優としか思ってなかったんですけど、一昨年暮れの………という映画で実はすごい人だったんだと知りました。その映画名が気になる方はコチラをクリックされてください。
Xxx2こんだけ誉めてみましたけど、もう公開おわっちゃってるとなんだかさびしいものがありますね… 「やっぱり観ときゃよかった」と思われた方は二番館での上映かDVDの発売をお待ちください。ヴィン・ディーゼルはこれから『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックスや』『ワイルドスピード』最新作が待機中で、サミュエル・L・ジャクソンは現在『キングコング』でも活躍中。本当にいま最も元気なお二人です。


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April 03, 2017

鷲は飛び降りた ジャスティン・カーゼル 『アサシン クリード』

Yjimageab姪っ子を一週間あずかってたので、すっかり更新が滞ってしまいました。はあ… せわしなかったけど楽しかったなあ… …
落ち込む気持ちを振り払って、またしても公開がほぼ終わりかけてる映画を紹介します。『アサシン クリード』、いってみましょう。

幼いころ特異な状況で両親と別れることになった青年カラム・リンチは、暗黒街で暮らすうちに罪を犯し、死刑を宣告されてしまう。あっさりと覚悟を決めたリンチだったが、刑は執行されず、彼は極秘のうちにとある研究所に移送される。「あなたの脳に隠されている先祖の記憶から、人類史に大きな影響を及ぼす『秘宝』のありかを探し出したい」とスタッフのソフィアは説明する。突拍子もない話に動揺するリンチ。しかし彼はいつしか先祖の生涯をたどることに興奮を覚えるようになる。

原作は有名なテレビゲームのシリーズ。自分あまり聞いたことがなかったんですけど、映画の予習としてさらさらっとウィキペディアなど読んでみました。するとびっくり。このゲーム、人類創世から十字軍、ルネサンス、アメリカ独立戦争、フランス革命と世界史の重要な出来事は大体関わってくる壮大なストーリーになっているのですね。まるで手塚治虫先生の『火の鳥』みたいです。ちなみにゲームの方は3作目までデズモンド・マイルズさんという、映画には全く出てこない方が主役を努めておられるそうです。

劇中で活躍し、主人公の先祖であるアサシン(暗殺者)、日本史的にも非常になじみ深いある職業を思い出させます。そうです。忍者です。頭にはすっぽりとフードをかぶり、歴史の影で汚れ仕事を請け負い、特殊な道具の扱いに長け、超人的な体術を有する… まるで忍者そのもの。本国でこのゲームが大人気を博したのも、ニンジャ大好きアメリカ人のハートに響くものがあったからでしょう。

実際、「過去」の部分で、ゴシックな街をかけめぐる西洋忍者のバトルは大変シャレオツでかっこよくてスタイリッシュであります。ただ問題はそれが主人公の脳内に投影される情景であるゆえ、ぱっと現代に戻ってきてしまうとなんだかリンチさんが超リアルなVRで遊んでるように見えてしまうのですね。この辺、ド迫力のバトルを繰り広げたあとに「実はこれイメージ映像でした」と興ざめさせてくれた問題作『エンジェル・ウォーズ』と似てなくもありません。

製作陣としては、こういう構成にすることで他にはない個性的なアクション映画・時代劇を作りたかったのでしょうか。その志は大いにかいますが、それでもエンターテイメントである以上クライマックスはもう少し盛り上げてほしかったですね。特に派手なバトルもないまま事件は収束し、「おれたちの戦いはこれからだ!」のアオリが目に浮かぶような幕切れだったので。もしかしたら続編にでもつなげるつもりだったのかもしれませんが、いまんとこ世界興行収入は黒字になるかは微妙なところ。おまけに主演のマイケル・ファスベンダー氏が「しばらく休業したい」なんて言ってるのでこれきりで終わる可能性が非常に高いです。

あれ… とりあえずなんでも「誉め殺す」のが当ブログの趣旨であったのに、今回あまり誉めてないですね。もう少しなにか誉めないと… えーとですね。ヒロインのマリコ様ことマリオン・コティヤールさん、けっこう自分好みです。いや、そういうことじゃないな。とにかく忍者アクションはけっこういい! 以上です!!

Ascr1そんな『アサシン クリード』、うちの近くでは今週金曜くらいまでやってます。ストーリーはどうあれビジュアルがよきゃそれでいいよ!という奇特な方はぜひご覧ください。次はやはりそろそろ終わりそうなアクション大作『トリプルX:再起動』をご紹介します。


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