ロサンゼルスの恋人たち デミアン・チャゼル 『ラ・ラ・ランド』
「本年度アカデミー賞最有力候補!」とうたわれ、各所から絶賛の嵐を受けていた新鋭デミアン・チャゼルの話題作。ところがふたをあけてみると… 本日はそんな『ラ・ラ・ランド』をご紹介します。
夢を追う若者たちが多く集う街ロサンゼルス。ジャズピアニストのセブは自分の店を持つことを、ウェイトレスのミアは女優として名をはせることを目標としていた。ひょんなことから顔を合わせた二人は偶然にもその後何度か再会することに。そしていつしか互いに心惹かれ、恋人の夢を応援するようになるのだが…
最初にあらすじや予告を見た時、実は自分それほどひかれなかったんですよね。こう言ってはなんですけどそれこそ「月9」か何かでありそうなストーリーで。それでもこれほど多くの人が激賞してるんだから、きっと「何か」があるんだろう…と。その何かを見つけるために鑑賞することにしました。で、果たして見つけられたかというと… 実はいまだによくわからなかったりして(笑) これは自分がそれほどミュージカルに対してあまり素養を持ち合わせていないせいもあると思います。
ではつまらなかったかといえばそんなことはなく。なんか、しみじみ胸にこたえる映画でした。予告からこれはきっと恋する二人がキュンキュン踊りまくって最初から最後までハッピーが満ち溢れたそんな映画だろう…と想像してたんですが、そういうのは前半だけ。後半に入ると歌はあってもダンスはほとんどなくなってしまいます。すれちがう二人の心や夢を追うことのむずかしさが踊りを封印することによって表現されているように感じられました。
そしてかつてそれなりに志を抱いたり、好きだったけどうまくいかなかった人のことを思い出すと、どうにも切々と肺の奥のあたりがきゅううう~と苦しくなるのでした。おっさんなのにうら若き乙女のようなことを言ってて大概キモいですけど。
鳴り物いりで公開された本作。きっと日本のネット上でも絶賛に包まれるだろうと思いきや、これがものすごい意見の割れっぷりで。それも賛否両論大激突というのではなく、賛にせよ非にせよ本当にひとそれぞれに感想が微妙に異なる。そしてみんな語りたがる。それはつまり、やっぱり優れた作品ゆえだと思います。
アカデミー賞における椿事もこの映画の伝説をひとつ付け加えてしまいました。普通に作品賞を受賞するより、ああいうハプニングがあったことでかえってこれからも末永く語りつがれるのではないでしょうか。そして若手ながらすでに2作品がノミネートされたデミアン・チャゼル。彼はまだ伝説の途上にあります。これからどんな物語をさらにつむいでいってくれるのか、とても楽しみです。
オスカーは逃したものの、軽快な音楽が功を奏してか、『ラ・ラ・ランド』は日本でもヒットを飛ばしています。決して甘いだけの映画ではありませんが、伝説として語り継がれるであろう映画が観たいという方はぜひ劇場に足を運ばれてください。接戦を制した『ムーンライト』、共に賞を争った『ハクソー・リッジ』『マンチェスター・バイ・ザ・シー』なども順次公開予定です。
Comments
星が2つつながった宇宙人(怪獣?)は、スターを目指せ!でしょうか!?
エマちゃんは目がでかい。
Posted by: ボー | March 23, 2017 09:50 AM
>ボーさん
怪獣はウルトラマン1作目に出たぺスターという怪獣です。スターっぽい
エマちゃんの目のでかさは少女漫画並みですね
Posted by: SGA屋伍一 | March 24, 2017 10:41 PM
伍一くん☆
乙女心はいくつになっても大事にしてね!
いやでもそのうち無くなるから~~(爆)
Posted by: ノルウェーまだ~む | March 26, 2017 11:56 PM
>ノルウェーまだ~むさん
まだ~むさんに励ましていただいたので、キモいと言われようと乙女心を大切にしたいです。あ… 危険な何かにめざめそう…
Posted by: SGA屋伍一 | March 29, 2017 09:11 PM