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January 22, 2017

その銀河史の片隅に ジョージ・ルーカス ギャレス・エドワーズ 『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』

Swr11仕事の修羅場がひと段落ついた(終わってはいない…)ので、約10日ぶりの更新です。年末あれだけ盛り上がってたのに早くも沈静化しつつある(やばい!)『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』ご紹介します。

遠い昔、遥か彼方の銀河系で… 銀河帝国の圧政が続いていた時代。帝国は惑星さえも消滅させられる巨大兵器「デススター」を開発。これが稼動すれば反乱軍は壊滅し、銀河はさらなる暗黒に飲み込まれることになる。だがそれを憂う開発チームのゲイレン・アーソは、デススターを破壊できる極秘情報を反乱軍に通信。ゲイレンの娘ジンと様々な縁で引き寄せられた仲間たちは、その情報をもとに限りなく不可能なミッションに挑む。

ディズニーに買われたことで急に製作ピッチが上がっていったスターウォーズ。本筋となる新々三部作とは別に、2、3本のスピンオフも作られることになりました。その第一弾がこの「ローグ・ワン」です。
最初このタイトルを聞いた時には、エピソード5で活躍してたルーク率いる戦闘機チーム「ローグ中隊」が活躍する話なのかと思ってました。ただ入ってくる情報を聞くとルークが反乱軍に入る前の、エピソード4直前が舞台となるという。テロップでさくっと触れられてる「デススターの設計図を入手するために払われた大きな犠牲」、それについて詳しく明かされるとのことでした。ですからなくても全く歴史には影響ないパートなのかと思いきや、これが正史にがっつりとからむお話でありました。むしろこれがなかったら反乱軍の勝利はまずありえなかった…というくらいに重要なエピソードであります。
ただ一方でこれまでのスターウォーズとはカラーの異なるところも色々あり。そういう意味では確かに「番外編」と言えるかもな…と思いました。

ではどの辺が異なっているかというと、これまでのスターウォーズは歴史というより、とらかといえば「神話」であり「活劇」でありました。しかし今回の『ローグ・ワン』はより「戦争映画」としての側面が強いです。戦争には犠牲がつきものですし、活劇においてはヒーローとなっている人物も非常にあっけなく死んでしまったりする。そして戦争に関わっている以上、正義の側といえる陣営も少なからず後ろ暗いことに手を染めていたりする。『ローグ・ワン』はそんな意味で勧善懲悪的で明朗快活だった旧三部作とはずいぶんイメージが変わっています。
あと「歴史に名前が残らない、偉人の影で消えていった人たちにスポットをあてている」という点でも番外編と言えるかもしれません。今回お話をひっぱっていくのは超能力を持つ王族ではなく、自分の腕のみがたよりの犯罪者や逃亡者や失業者、そういったはみ出し者たちばかり。社会的には底辺もいいところです。考えてみれば我々が学ぶ歴史もまた、そういう無名の人たちの積み重ねで出来ていると言えます。しかしそうした犠牲者たちのことを思うとなんともやるせない思いに満たされます。実はわたしは多くの犠牲が払われたといっても、メインの二人くらいはなんとか生き残るんじゃないかと予想しておりました。そこはなんといってもやっぱり「スターウォーズ」でありますから。では実際にどうだったかというと… 言いませんけど(笑

ただ「無名の者たち」が主人公のわりには、メインキャストにはすでに演技面で高い評価を得ている一流の俳優さんたちがそろえられました。基本的にデビューまもない駆け出しの俳優を主軸に据えてくるスターウォーズではこれまた珍しいことであります。重厚でリアルな戦争映画を目指すために、高い演技力と存在感を持つ俳優さんが必要だったということでしょうか。

あとこの『ローグ・ワン』、後半大々的な撮り直しがあったということでもスターウォーズでは異例の作品です。終盤の惑星「スカリフ」のくだりですが、ギャレス・エドワーズ監督がほとんど脚本なしでインスピレーションの赴くままにカットを撮っていって、あとで上手につなげようと思ったらどうにもつながらなかったらしい(笑) そこへハリウッドでもトップクラスの脚本家トニー・ギルロイが急きょ書いたシナリオをもとに足りないシーンを撮り足していったら、めちゃくちゃテンションの上がる一級品のクライマックスとなった…とか。普通上層部が「駄目だ」と判断して作り直したりすると、まず傑作には仕上がらないものですが、『ローグ・ワン』は奇跡的に一級品となって再生しました。こうなるとギャレス監督が気の毒にも思えてきますが、彼は会社が作り直してくれたことに感謝しているそうですw しかしまあ、その影響で予告編に使われてた幾つかのシーンが本編では出てきませんでした(ジンがタイファイターに真っ向から向かっていく場面とか)。本当にスターウォーズのみならず何から何まで例外的であります。

個人的な萌えどころはと申しますと、やはりSWには欠かせないドロイドのK-2SO。元々帝国のものを捕まえてプログラミングしなおしたという設定。ただよほど自由度の高いプログラムだったのか、始終主人に愚痴や嫌味をいったりします。でもね、その実彼は「自由」を与えてくれたことに感謝していたのでは…と匂わせる場面がありまして、当然ながらそこで鼻水が吹き出ました。
もうひとつはAT-ATの初期型と思われるAT-ACTの大暴れ。ギャレス監督お得意の生の大型怪獣は今回出ませんでしたが、代わりにこいつが怪獣並みの活躍を見せてくれました。AT-ATは前6部作ではちょこっとしか出番のないメカでしたが、ギャレスもJJエイブラムスも再登場させてくれて、みんな大好きなんだな~とほっこりいたしました。

Roguexmentshirt001毎度魅力がうまく伝えられなくてゲンナリいたしますが、お正月映画の中では抜きんでて輝いていた『ローグ・ワン』。そろそろ勢いが落ちてきたので興味がありながらまだ観てない方はお早めにどうぞ。スターウォーズを1本も見てなくても十分楽しめます(たぶん)。
シリーズは今年末にエピソード8、来年末にハン・ソロのスピンオフ、さらに再来年にエピソード9…と作られていくそうです。果たしてその先はあるのか? そいつはぶっちゃけ売上次第でありましょう。

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Comments

「フォースの覚醒」の思わぬ結末に
呆気にとられたまま見終わった事
ちょうど一年・・・・・・・・・

やっと見て来ました。それも洋画は
字幕基本を泣く泣く破る羽目に
いや、気が付けば周りの劇場の上映時間が
19時とかばかりとなるし、
土日昼間はと言えば15キロ先の
シネマでそれも吹替版だけという・・・・
でも見た甲斐あったわ。
>犠牲
一応、ベーダちゃん絡む以上、この面子
「いつまで生き延びられるかなぁ」という前提で見てました。
個人的には私もドロイドとハンマーヘッドが当たりで
デストロイヤー級があんな船の衝突プレーで結果、2隻撃沈〜
結果、シールド突破は大殊勲モノでしょう(笑)
因みに盲目の彼は実は隠れジェダイで
どっかでライトセイバー抜きおるのでは?
と予測してたのはここだけの話・・・・・・・・
こうもライトセイバー出てこない(ベーダちゃんのは
もはやオマケでしょう)SWも珍しい。
あとは久々にYウイング編隊とか反乱軍の艦隊指揮官が
あんな奇策仕掛ける割に結局トホホだった
(データ入手したらベーダちゃん
来るからさっさと逃げろよ:笑)とか・・・・・・・。

Posted by: まさとし | January 29, 2017 at 06:21 PM

>まさとしさん

返事遅れてすいません…
自分は公開初日に仕事が終わった後車を40分ほど飛ばして観てきました。そろそろ上映終了しちゃうとかなんとか

ベーダちゃん、今回は鬼のような強さでしたえ。それでもどこか余裕こいてるというか、詰めの甘いところがあるというか。そんなんだから肝心のデータ回収に失敗しちゃうわけで… まあ成功したらエピソード4にはつながらんわけだけど

メカ戦はハンマーヘッドらのふぞろいな艦隊進行もよかったですけど、今回初めてYウィングに見せ場らしい見せ場があってテンションあがりました!

Posted by: SGA屋伍一 | February 04, 2017 at 10:00 PM

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