« 本当に恐ろしいグリム童話以前 ジャンバティスタ・バジーレ マッテオ・ガローネ 『五日物語 ー3つの王国と3人の女ー』  | Main | その銀河史の片隅に ジョージ・ルーカス ギャレス・エドワーズ 『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』 »

January 09, 2017

ダーウィンとは違うものが来た! デビッド・イェーツ 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』 

Fbmt1まだ去年に観た映画の感想を書いてます… ただこちらは開始から7週経つのにまだまだ人気のようですね。あの人気シリーズ『ハリー・ポッター』と世界を共にする新プロジェクト第1作、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、ご紹介します。

ハリーがこの世に生まれる数十年前、世界各地を旅し魔法動物を調査するニュート・スキャマンダ―という男がいた。北米はNYに降り立った彼はうっかりトランクの中の魔法動物たちを逃がしてしまい、たまたま関わりあったパン屋志望の青年(おじさん?)ジェイコブを巻き込んで大騒ぎを繰り広げる。一方時を同じくして闇の魔法使いグリンデンバルドは、人間たちよりも優位に立つべくNYの街でひそかに暗躍を続けていた。

ハリーたちが学校で使用している教科書に「幻の動物とその生息地」という本がありました(実際に現実世界でも出版されました)。この映画シリーズは、その著者ニュート・スキャマンダ―がどんな苦労をして妖怪や怪獣を収集したか明かしていく…という内容のようです。ついでに「ハリー・ポッター前史」のような意味合いもあり、本家シリーズの老人キャラの名前・一族名もチラホラ出てきたりします。

正直この作品はあまり観たかったわけではなく、時間の都合とネットでの評判がよかったので消去法で選んだのでした。というか「JKローリング、あんだけ稼いだのにまだ物足りないのかよ…」と意地悪な思いすら抱きました。ところがですね~ これが鑑賞してみたら予想外に楽しく心にしみる映画だったのでびっくりしちゃいました。予告編は何度も見てたし、それが的外れな内容でもなかったんですけど、予告編からは良さが全然伝わらないタイプの映画でした。

まずよかった点のひとつは、天然野郎ニュート君と苦労人でお人よしのジェイコブさんのコンビ。ニュート氏はムツゴロウさん並みに動物への愛情が深く魔法の能力もなかなかのものですが、人間界のルールには頓着しないところがあって、そのために成り行き相棒のジェイコブは大変な苦労をしょわされることになります。まるでホームズ&ワトソンか、はた迷惑なドラえもん&しっかりしたのび太のよう。ただジェイコブ氏には申し訳ないけれどそのコンビのドタバタがとっても面白くて、和みます。で、このジェイコブさんがぽっちゃりしたチョビひげのおっさんなのに目がキラキラしてて大変にかわいらしいのですね(しかも性格もとってもいい)。本当にこんな妖精のようなおっさんをよく見つけてきたなあ、と思いました。

あとこれはハリポタにはあまりなかった要素ですが、大人ならではの辛い背景とか切ないお別れなども描かれているのがツボでした。といってただ悲しいだけではなく、それらもいちいちさわやかだったりしてね。

反面ハリポタ後期に見られたダークな要素も含まれております。前半は先も述べたようにお洒落な藤子・F・不二雄的ムードでありますが、中盤頃からだんだんと『キャリー』みたいなお話になっていきます。どす黒い闇の力に対して和み系のニュートとジェイコブはどうやって立ち向かうのか。観ていてものすごく心配になりました。ハリーくんならいざという時救世主のスーパーパワーでなんとかするんでしょうけど、ニュート君にはとてもそこまでの力はなさそうなので。ここまで読んで気になった方はぜひ映画館で観てハラハラしていただきたい。

もちろんスクリーンを彩るヘンテコな魔法動物たちもこの映画の大きな魅力です。自分が特に気に入ったのは見かけはポケモンの「コダック」みたいなのに、性質はカネゴンな「ニフラー」というやつ。マスコットとして主人公の役に立つのかと思いきやただただ足をひっぱるだけでした。代わりにニュートのポッケからチラチラ顔を出すチューリップもどきが、アクションシーンでは突然フェニックスのようにかっこよくなって魅せてくれました。ほかにもこの手の謎の生き物が色々でてきます。
Fbmt2いやあ、映画って本当に観てみるまでわからないですね…ということを教えてくれた『ファンタスティック・ビースト』、当初は三部作と聞いてましたが突然五部作に変更になりました。ハリポタより儲かってなさそうなのに大丈夫かな… おそらく1作ごとにニュートが違う大陸を訪れるという展開になりそうです。ファンタジーは「何部作」と銘打つと大抵途中で息切れしてしまうことが多いので、「ファンタビ」がそうならないよう祈るばかりです。


|

« 本当に恐ろしいグリム童話以前 ジャンバティスタ・バジーレ マッテオ・ガローネ 『五日物語 ー3つの王国と3人の女ー』  | Main | その銀河史の片隅に ジョージ・ルーカス ギャレス・エドワーズ 『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』 »

Comments

伍一くん☆
ファンタビの良い所は、何よりジェイコブ氏の愛くるしいキャラクターにあると思うのですが、今後様々な大陸を旅するとなると、彼はどうなっちゃうのでしょうね??
5部作というからには、今回もしっかり儲かったのかも!?

Posted by: ノルウェーまだ~む | January 14, 2017 07:47 PM

>ノルウェーまだ~むさん

ども。新年そうそう仕事が立て込んでて泣いておりました(;_;)
今回の結末からするにジェイコブ君の出番はここで終わりなのかもしれませんが、それは大変さびしいのでなんとか彼にはつづくシリーズでも登板してほしいものですね! たとえどれだけ大変な目にあっても(笑)

Posted by: SGA屋伍一 | January 15, 2017 07:26 PM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference ダーウィンとは違うものが来た! デビッド・イェーツ 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』 :

» 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』が失くしたもの [映画のブログ]
 ハリー・ポッターシリーズのファンが『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』のファンになるかどうか。世界を共有する姉妹シリーズとはいえ、そこには意外に大きな壁があるように思う。  ハリー・ポッターシリーズはいわずと知れた人気作だ。原作小説もその映画も世界中で大ヒット。そのシリーズが主人公を変えて続くとなれば、本作を心待ちにする人も多かったに違いない。しかも、ハリー・ポッターシリー...... [Read More]

Tracked on January 11, 2017 01:52 AM

» 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」 [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
ハリー・ポッターとねえねの成長がリンクしていたので、ハリポタシリーズはずっとファンだった☆ 終って寂しいな~と思っていたこともあり、この新シリーズも当然の様に楽しみにしていたのだ。 魔法も見事だし、切ない大人の恋も描かれている、アメリカの古き良き時代設定も面白い。 なんてったって主役があのエディ・レッドメインなんだもの♪... [Read More]

Tracked on January 14, 2017 07:42 PM

» 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅(吹替版)』 [京の昼寝~♪]
□作品オフィシャルサイト 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」□監督 デビッド・イェーツ□脚本・原作 J・K・ローリング□キャスト エディ・レッドメイン、キャサリン・ウォータース、コリン・ファレル       ダン・フォグラー、アリソン・スドル...... [Read More]

Tracked on January 15, 2017 08:14 AM

» ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅 [銀幕大帝α]
FANTASTIC BEASTS AND WHERE TO FIND THEM 2016年 イギリス/アメリカ 133分 ファンタジー/アドベンチャー 劇場公開(2016/11/23) 監督: デヴィッド・イェーツ 『ターザン:REBORN』 製作: J・K・ローリング 脚本: J・K・ローリング 出演: エディ・レッドメイン:ニュート・スキャマンダー キャサリン・ウォーターストン:ティナ・ゴールドスタイン ダン・フォグラー:ジェイコブ・コワルスキー アリソン・スドル:クイニー・ゴールドスタ... [Read More]

Tracked on April 26, 2017 02:43 PM

» 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」 [或る日の出来事]
前半うつらうつら寝た。 [Read More]

Tracked on October 22, 2017 12:56 PM

« 本当に恐ろしいグリム童話以前 ジャンバティスタ・バジーレ マッテオ・ガローネ 『五日物語 ー3つの王国と3人の女ー』  | Main | その銀河史の片隅に ジョージ・ルーカス ギャレス・エドワーズ 『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』 »