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January 27, 2017

第13回SGA屋漫画文化賞

え… もう13回目なの… 本当、バカみたい
例年なら年末に行う年間漫画ベスト記事ですが、死ぬほど忙しかったので一か月遅れのいまごろになっての発表です。誰も待ってやしないだろうけど…

では各部門の発表にうつります。

090310_130332☆少年漫画部門 井上敏樹・横山一 『仮面ライダークウガ』

現行の平成ライダーの玩具販促が露骨になっていく一方で、残酷性と「ヒーローとは」というテーマを前面に押し出した原点がコミックで復活しました。
最初こそぱっとしない印象でしたが、オリキャラの外道刑事の登場や第二作「アギト」の影がちらついたあたりからグングン面白くなってきました。今後の発展に大いに期待です。
ヒーローコミックでは『鉄のラインバレル』コンビによる『ゲッターロボ DEVOLUTION』も楽しみですが、まだまだ序盤の様子。

Ksks☆少女漫画部門 こうの史代 『この世界の片隅に』

実はこの漫画には何年か前に賞をあげてるんですが、映画化に伴ってひさしぶりに読んでみたらその素晴らしさを再認識というか、前はまだまだ味わい方が未熟だったことに気づきました。そういうわけで再受賞です。
まあここんとこ本当に少女漫画を読んでいないという理由もありますが…
あ、『海街diary』の新刊は相変わらずよかったです。完結まであと1,2巻でしょうかねえ。

Photo☆青年漫画部門 松原利光 『リクドウ』

週刊ヤングジャンプ連載のボクシング漫画。当初は『軍鶏』の影響かひたすらどすくらい人間模様が続いていましたが、最近はそういうものに頼らずともまっとうな少年の成長ストーリーとして、そしてなによりスポーツ漫画としてハラハラドキドキ読めるようになりました。
昨年も申しましたがここんとこ青年誌はヤンジャンが独走状態で『キングダム』『銀河英雄伝説』なども目が離せません。ほかの雑誌もがんばりましょう!

Photo_2☆中年漫画部門 杉作 『にゃん組長』

『クロゴウ』『猫なんてよんでもこない』の杉作先生が次に挑むネコ漫画は、裏社会で孤独を抱えて生きる暴力団組長と、ぐうぜん彼に拾われた我儘な子猫のハートフル・ストーリー…と書くと、なんか違う気がするな。実際は『ホワッツ・マイケル』の「ヤクザK」にかなり近い内容です。
オヤジ漫画誌は相変わらず漫画ゴラクが快調ですね。というか連載作品的に「中年ジャンプ」といっていいような気もします。男塾シリーズとか銀牙シリーズとか。

090906_184610☆ギャグ漫画・ウェブ漫画部門 田中圭一 『田中圭一のペンと箸』

下ネタを扱わせたら右に出る者はいない田中K一先生が、あえてその得意技を封印して、有名漫画家さんたちの素顔をご家族の証言から描き出すという意欲作。さきごろウェブでの連載がめでたく完結し、単行本化もなされました。いやあ、田中先生、こんな心温まる漫画も描けるんですね! やればできるじゃないですか!!
不幸なめぐり会わせで同時に連載されている吉沢やすみ先生のご息女による『ど根性ガエルの娘』も共に読むと、家庭やノンフィクションの奥の深さが垣間見えておすすめ…というか、胃が痛くなります。

20160611_200432☆翻訳部門 『デッドプール Vol.3 グッド・バッド・アンド・アグリー』『グレイソン』

今年は(も?)デッドプールさんの年でありましたが、読んだ中でとりわけ面白かったのが。個人誌の第3巻。70年代の絵柄をトレスしたハチャメチャな前半と暗く重い後半の落差が強いインパクトを残します
もう一作はナイトウィングのコスチュームを捨ててさらに地味になった初代ロビンの活躍を描いたシリーズ。ところがこれがなかなか面白い。特に巻末の一編は読者の推理力が試される意欲作です。

C1o1zgvucaeav7o☆アニメ部門 長井龍雪 『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』

昨年より続いているガンダムシリーズの最新作。ぶっちゃけここ数年で一番熱いロボットアニメです。
子供が搾取されてる社会で、それでも自分の足で生きようともがき、戦う少年たち。ブラジル映画の『シティ・オブ・ゴッド』をたぶんに意識しているものと思われます。
ほとんど世界を相手にしてしまっている鉄華団の行く末はいずこか。残りあと10話くらいなのに収拾のつく気配がまったくありません。

そしてトリです。

120107_202925☆大賞 望月三起也先生と『ワイルド7』シリーズ

2016年惜しくも亡くなられた望月先生。その遺作は先生の代表作サーガの最新作『ワイルド7R2』でした。思えば学生時代、入手しづらかった第1シリーズの単行本を探して古書街を歩き回ったこともあったなあ…
巨匠がこの世を去っても、彼が生み出した伝説のヒーロー・飛葉大陸は新たな書き手によってこれからも生き続けると信じたいところです。

いやあ、最近本当に漫画を読む量が減りました。オタクとしてこれはいかんですねえ。今年は忙しい合間を縫っても面白い漫画をバリバリ読んでいきたいです。


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January 24, 2017

落ちてきたヨッパライ ラージクマール・ヒラニ 『PK』

Pk1ようやっと昨年最後に観た映画の感想を書きます… こちらでは少し遅れてかかっていたマサラムービー最前線、『PK』、ご紹介します。

現代インド。地球に視察にやってきたアミール・カーン似の宇宙人は、到着するなり宇宙船のリモコンをかっぱらわれ、未開の惑星に一人置き去りにされてしまう。一方おなじころヨーロッパではインドから留学していた女子大生が、パキスタン青年との道ならぬ恋に悩んでいた。ふたつの物語はいったいどのようにして結びつくのか…?

公開前後タイトルと「『きっと、うまくいく』のスタッフが贈る」ということ以外ほぼシークレットで宣伝されていたこの映画。はっきり言いましょう。宇宙人と宗教の映画です。おそらくその辺を明かしてしまうと日本人の多くはひいてしまうと配給さんは思われたのでしょうか。ちなみに「PK」とはインドの俗語で「よっぱらい」という意味だそうです。

宇宙人映画にしては変わっているのは、アミール・カーン扮する宇宙人がETやポールやプレデターのようにエイリアンエイリアンした外見ではなく、ふつうにインド人男性の姿かたちをしていること。超能力も持っていますけど「触れたら相手の考えがわかる」という地味なのものなので、奇異な振る舞いをしていても周囲からは当然「宇宙人だ!」とは思われず、「酔っ払いか」と認識されてしまうわけです。以下便宜上彼のことをPKと呼びます。

そのPKですが、リモコンを探してあてどもなくさまよっているうちに、「神様に頼ればなんとかなる」という情報を入手します。その言葉を鵜呑みにして様々な宗教施設を訪ねるPKですが、そのうちに多くの宗教団体が持っている腐敗にきづいてしまうのです。
ITが発達し、グローバル化著しいインドですが、まだまだ信心深い人は多いようです。というか世界的に見れば、大多数が宗教に関心をもたない日本のような国の方が珍しいみたいで。ともあれなかなか貧困から抜け出せなかったり、「明日をも命が知れない」という環境にいる人たちはそれこそ神様にでもすがらないとやっていけないのかもしれません。それで多少なりとも前向きな気持ちになれるのであれば、宗教も決して悪いものではないと思います。ただそういう無力な人たちにつけこんで、お金をがっぽりかっさらっていく悪辣な僧職者たちも多くいます。これははっきり言って害悪としか言いようがありません。ぶったおさなくてはいけないでしょう。PKは宇宙人ならではの天然かつ鋭いツッコミでもってインチキ宗教人の化けの皮をはいでいきます。その様子がまことに痛快でありました。こういう映画が作られるということは、信仰心の篤いインドの人たちも「それ、おかしくね?」ということに気付き始めてるのでしょうね。

あとそれとは別にPKはまったくヒューマノイドタイプの宇宙人なので、地球人に恋しちゃったりもします。なんだか『スターマン 愛、はるかに』、みたいですね!(観てませんが…) しかし彼は精神年齢がよほど幼いのか、エッチなことは全く考えず純情少年のようにピュアな妄想をしたり、やたらまわりくどいアプローチを試みたりします。しかし彼女にはすでに意中の人がいるとわかったときのPKの胸中たるや… この辺チャップリンの『サーカス』やファレリー兄弟の『メリーに首ったけ』を思い出したりして涙がちょちょぎれました。基本自分恋愛ものはあまり興味ないですけど、与太郎が本心を隠して好きな人に尽くす話というのにどうにも弱いのです。実はこの『PK』、強引な展開にのりきれないところもあったのですが、このPKのいじらしさがツボにはまりはじめたあたりから、ぐーんとお話にのめりこんでしまいました。

Img_0484そんなわけで一風変わった喜劇や、インドの社会問題に興味がある人におすすめです。もう上映が残ってるところもわずかですが、興味を持たれた方は公式サイトをごらんください。DVDは4月末に出るようです。宗教がテーマの映画といえば現在スコセッシの『沈黙』も公開中。こちらは笑える箇所とかほとんどなさそうですけど、一応観に行く予定です。

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January 22, 2017

その銀河史の片隅に ジョージ・ルーカス ギャレス・エドワーズ 『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』

Swr11仕事の修羅場がひと段落ついた(終わってはいない…)ので、約10日ぶりの更新です。年末あれだけ盛り上がってたのに早くも沈静化しつつある(やばい!)『ローグ・ワン/スターウォーズ・ストーリー』ご紹介します。

遠い昔、遥か彼方の銀河系で… 銀河帝国の圧政が続いていた時代。帝国は惑星さえも消滅させられる巨大兵器「デススター」を開発。これが稼動すれば反乱軍は壊滅し、銀河はさらなる暗黒に飲み込まれることになる。だがそれを憂う開発チームのゲイレン・アーソは、デススターを破壊できる極秘情報を反乱軍に通信。ゲイレンの娘ジンと様々な縁で引き寄せられた仲間たちは、その情報をもとに限りなく不可能なミッションに挑む。

ディズニーに買われたことで急に製作ピッチが上がっていったスターウォーズ。本筋となる新々三部作とは別に、2、3本のスピンオフも作られることになりました。その第一弾がこの「ローグ・ワン」です。
最初このタイトルを聞いた時には、エピソード5で活躍してたルーク率いる戦闘機チーム「ローグ中隊」が活躍する話なのかと思ってました。ただ入ってくる情報を聞くとルークが反乱軍に入る前の、エピソード4直前が舞台となるという。テロップでさくっと触れられてる「デススターの設計図を入手するために払われた大きな犠牲」、それについて詳しく明かされるとのことでした。ですからなくても全く歴史には影響ないパートなのかと思いきや、これが正史にがっつりとからむお話でありました。むしろこれがなかったら反乱軍の勝利はまずありえなかった…というくらいに重要なエピソードであります。
ただ一方でこれまでのスターウォーズとはカラーの異なるところも色々あり。そういう意味では確かに「番外編」と言えるかもな…と思いました。

ではどの辺が異なっているかというと、これまでのスターウォーズは歴史というより、とらかといえば「神話」であり「活劇」でありました。しかし今回の『ローグ・ワン』はより「戦争映画」としての側面が強いです。戦争には犠牲がつきものですし、活劇においてはヒーローとなっている人物も非常にあっけなく死んでしまったりする。そして戦争に関わっている以上、正義の側といえる陣営も少なからず後ろ暗いことに手を染めていたりする。『ローグ・ワン』はそんな意味で勧善懲悪的で明朗快活だった旧三部作とはずいぶんイメージが変わっています。
あと「歴史に名前が残らない、偉人の影で消えていった人たちにスポットをあてている」という点でも番外編と言えるかもしれません。今回お話をひっぱっていくのは超能力を持つ王族ではなく、自分の腕のみがたよりの犯罪者や逃亡者や失業者、そういったはみ出し者たちばかり。社会的には底辺もいいところです。考えてみれば我々が学ぶ歴史もまた、そういう無名の人たちの積み重ねで出来ていると言えます。しかしそうした犠牲者たちのことを思うとなんともやるせない思いに満たされます。実はわたしは多くの犠牲が払われたといっても、メインの二人くらいはなんとか生き残るんじゃないかと予想しておりました。そこはなんといってもやっぱり「スターウォーズ」でありますから。では実際にどうだったかというと… 言いませんけど(笑

ただ「無名の者たち」が主人公のわりには、メインキャストにはすでに演技面で高い評価を得ている一流の俳優さんたちがそろえられました。基本的にデビューまもない駆け出しの俳優を主軸に据えてくるスターウォーズではこれまた珍しいことであります。重厚でリアルな戦争映画を目指すために、高い演技力と存在感を持つ俳優さんが必要だったということでしょうか。

あとこの『ローグ・ワン』、後半大々的な撮り直しがあったということでもスターウォーズでは異例の作品です。終盤の惑星「スカリフ」のくだりですが、ギャレス・エドワーズ監督がほとんど脚本なしでインスピレーションの赴くままにカットを撮っていって、あとで上手につなげようと思ったらどうにもつながらなかったらしい(笑) そこへハリウッドでもトップクラスの脚本家トニー・ギルロイが急きょ書いたシナリオをもとに足りないシーンを撮り足していったら、めちゃくちゃテンションの上がる一級品のクライマックスとなった…とか。普通上層部が「駄目だ」と判断して作り直したりすると、まず傑作には仕上がらないものですが、『ローグ・ワン』は奇跡的に一級品となって再生しました。こうなるとギャレス監督が気の毒にも思えてきますが、彼は会社が作り直してくれたことに感謝しているそうですw しかしまあ、その影響で予告編に使われてた幾つかのシーンが本編では出てきませんでした(ジンがタイファイターに真っ向から向かっていく場面とか)。本当にスターウォーズのみならず何から何まで例外的であります。

個人的な萌えどころはと申しますと、やはりSWには欠かせないドロイドのK-2SO。元々帝国のものを捕まえてプログラミングしなおしたという設定。ただよほど自由度の高いプログラムだったのか、始終主人に愚痴や嫌味をいったりします。でもね、その実彼は「自由」を与えてくれたことに感謝していたのでは…と匂わせる場面がありまして、当然ながらそこで鼻水が吹き出ました。
もうひとつはAT-ATの初期型と思われるAT-ACTの大暴れ。ギャレス監督お得意の生の大型怪獣は今回出ませんでしたが、代わりにこいつが怪獣並みの活躍を見せてくれました。AT-ATは前6部作ではちょこっとしか出番のないメカでしたが、ギャレスもJJエイブラムスも再登場させてくれて、みんな大好きなんだな~とほっこりいたしました。

Roguexmentshirt001毎度魅力がうまく伝えられなくてゲンナリいたしますが、お正月映画の中では抜きんでて輝いていた『ローグ・ワン』。そろそろ勢いが落ちてきたので興味がありながらまだ観てない方はお早めにどうぞ。スターウォーズを1本も見てなくても十分楽しめます(たぶん)。
シリーズは今年末にエピソード8、来年末にハン・ソロのスピンオフ、さらに再来年にエピソード9…と作られていくそうです。果たしてその先はあるのか? そいつはぶっちゃけ売上次第でありましょう。

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January 09, 2017

ダーウィンとは違うものが来た! デビッド・イェーツ 『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』 

Fbmt1まだ去年に観た映画の感想を書いてます… ただこちらは開始から7週経つのにまだまだ人気のようですね。あの人気シリーズ『ハリー・ポッター』と世界を共にする新プロジェクト第1作、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』、ご紹介します。

ハリーがこの世に生まれる数十年前、世界各地を旅し魔法動物を調査するニュート・スキャマンダ―という男がいた。北米はNYに降り立った彼はうっかりトランクの中の魔法動物たちを逃がしてしまい、たまたま関わりあったパン屋志望の青年(おじさん?)ジェイコブを巻き込んで大騒ぎを繰り広げる。一方時を同じくして闇の魔法使いグリンデンバルドは、人間たちよりも優位に立つべくNYの街でひそかに暗躍を続けていた。

ハリーたちが学校で使用している教科書に「幻の動物とその生息地」という本がありました(実際に現実世界でも出版されました)。この映画シリーズは、その著者ニュート・スキャマンダ―がどんな苦労をして妖怪や怪獣を収集したか明かしていく…という内容のようです。ついでに「ハリー・ポッター前史」のような意味合いもあり、本家シリーズの老人キャラの名前・一族名もチラホラ出てきたりします。

正直この作品はあまり観たかったわけではなく、時間の都合とネットでの評判がよかったので消去法で選んだのでした。というか「JKローリング、あんだけ稼いだのにまだ物足りないのかよ…」と意地悪な思いすら抱きました。ところがですね~ これが鑑賞してみたら予想外に楽しく心にしみる映画だったのでびっくりしちゃいました。予告編は何度も見てたし、それが的外れな内容でもなかったんですけど、予告編からは良さが全然伝わらないタイプの映画でした。

まずよかった点のひとつは、天然野郎ニュート君と苦労人でお人よしのジェイコブさんのコンビ。ニュート氏はムツゴロウさん並みに動物への愛情が深く魔法の能力もなかなかのものですが、人間界のルールには頓着しないところがあって、そのために成り行き相棒のジェイコブは大変な苦労をしょわされることになります。まるでホームズ&ワトソンか、はた迷惑なドラえもん&しっかりしたのび太のよう。ただジェイコブ氏には申し訳ないけれどそのコンビのドタバタがとっても面白くて、和みます。で、このジェイコブさんがぽっちゃりしたチョビひげのおっさんなのに目がキラキラしてて大変にかわいらしいのですね(しかも性格もとってもいい)。本当にこんな妖精のようなおっさんをよく見つけてきたなあ、と思いました。

あとこれはハリポタにはあまりなかった要素ですが、大人ならではの辛い背景とか切ないお別れなども描かれているのがツボでした。といってただ悲しいだけではなく、それらもいちいちさわやかだったりしてね。

反面ハリポタ後期に見られたダークな要素も含まれております。前半は先も述べたようにお洒落な藤子・F・不二雄的ムードでありますが、中盤頃からだんだんと『キャリー』みたいなお話になっていきます。どす黒い闇の力に対して和み系のニュートとジェイコブはどうやって立ち向かうのか。観ていてものすごく心配になりました。ハリーくんならいざという時救世主のスーパーパワーでなんとかするんでしょうけど、ニュート君にはとてもそこまでの力はなさそうなので。ここまで読んで気になった方はぜひ映画館で観てハラハラしていただきたい。

もちろんスクリーンを彩るヘンテコな魔法動物たちもこの映画の大きな魅力です。自分が特に気に入ったのは見かけはポケモンの「コダック」みたいなのに、性質はカネゴンな「ニフラー」というやつ。マスコットとして主人公の役に立つのかと思いきやただただ足をひっぱるだけでした。代わりにニュートのポッケからチラチラ顔を出すチューリップもどきが、アクションシーンでは突然フェニックスのようにかっこよくなって魅せてくれました。ほかにもこの手の謎の生き物が色々でてきます。
Fbmt2いやあ、映画って本当に観てみるまでわからないですね…ということを教えてくれた『ファンタスティック・ビースト』、当初は三部作と聞いてましたが突然五部作に変更になりました。ハリポタより儲かってなさそうなのに大丈夫かな… おそらく1作ごとにニュートが違う大陸を訪れるという展開になりそうです。ファンタジーは「何部作」と銘打つと大抵途中で息切れしてしまうことが多いので、「ファンタビ」がそうならないよう祈るばかりです。


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January 06, 2017

本当に恐ろしいグリム童話以前 ジャンバティスタ・バジーレ マッテオ・ガローネ 『五日物語 ー3つの王国と3人の女ー』 

Photoとうとう一か月以上前に観た映画の感想を書いてます… ははは…
カンヌを二度制したマッテオ・ガローネ監督が「狂った映像美」で話題を呼んだ『五日物語 ー3つの王国と3人の女ー』、ご紹介いたします。

17世紀のイタリアっぽいどこかの3つの王国。ある国では竜の心臓を食らったお妃が子供を宿し、ある国では少女のような美声を持つ老婆が王に求愛され、ある国では巨大な蚤に異常な愛情を注ぐ王がいた。彼ら、彼女らの風変わりな愛情は、やがて関わる者たちを悲劇に巻き込んでいく。

さっき公式サイトを観てようやく知ったのですが、これ原作がちゃんとある映画でした。17世紀ナポリの作家、ジャンバティスタ・バジーレにより著された『五日物語』という物語集がそれです。グリム兄弟にも多大な影響を与えているとか。ただどれほどアレンジされてるのかはわかりませんが、グリム兄弟の著作が「童話」だとすれば『五日物語』は「民話」という感じですね。どう違うかというと民話の方は必ずしも子供のために描かれていないというか。インモラルで、残酷で、正義が絶対勝つとは限らない、そんなお話も多くあります。ですから映画も見事にPG12指定となっておりました。…ということは親御さんがついてれば一応お子さんも観られるということか? 判断は各家庭にゆだねますけど、子供が観たらモロトラウマになりそうですけどね~

繰り返しになりますけど、童話というものは普通正しい人、かわいそうな人が報われるということになっています。しかし本作ではかわいそうな人や何の罪もない人も、悪いやつと同様みんなひどい目にあいます。ある意味平等というか現実的かもしれませんが、なんとも意地悪な作風でありました。
でもあんまり不快な気分にならないのは、残酷ながらも人を食ったようなシュールなギャグセンスを感じるからでしょうか。観てる側からすると「それどう考えてもおかしいから」とつっこみたくなるのをよそに、登場人物たちは突拍子もない決定を繰り返します。吉田戦車の世界をゴージャスに悪魔的に表現するとこんな風になるかもしれません。あと各紙がこぞって称賛した映像美も目を楽しませてくれます。イタリア各所の童話的な場所を懸命に探して、ロケを敢行したとのことですが、こういうやり方は何年か前の『落下の王国』を思い出させます。実際雰囲気かなり似ております。自分のようなものには、奇抜なお城や怪獣・妖怪がいろいろ登場するあたりもポイントが高かったです。

5331そんな『五日物語』、細々と公開されただけあってメインどころは大体上映終了しておりますが、地方や2番館ではこれからかかるところもある模様。詳しくは公式サイトをご覧ください。
ちなみにわたしは遠出して初めて日本橋のTOHOシネマズで観ました。ほかのTOHOよりもちょっぴり上品な造りになっていて、『5日物語』のムードに大変マッチしておりましたよ。ほほほほほ


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