不殺仕事人VS抹殺処刑人 ドラマ版『デアデビル』シーズン2不完全覚書
「ネットフリックスでしか観られない!」という触れ込みだったのに、先ごろシーズン1がソフト発売されたドラマ版『デアデビル』。ちょうどいい機会なので春ごろに観た(…)シーズン2の覚書をいまのうちに残しておくとします。ちなみにシーズン1の記事はこちら。
#1新たな戦いの幕開け(Bang) #2 捨て駒(Dogs to a Gunfight)
デアデビル(以下DD)がフィスクを倒してから数か月後、街では生き残ったマフィアたちが細々としのぎを削っていた。そんなマフィアたちを震撼させる事件が起きる。アイルランド系の組織が襲撃に合いほぼ全滅したというのだ。しかもそれはたった一人の男の手によるものだという…
というわけで「パニッシャー」の登場により幕が上がるシーズン2。これまで3度映画化されてますが、おそらくこれほどの恐怖でもって描かれたことはないでしょう。どう見ても集団の仕業としかおもえない凄惨な方法でギャングたちを血祭りにあげていくフランク・キャッスル。まさに神出鬼没・正体不明の活躍ぶりです。
「このドラマの主役はわたしですから!」と張り切って勝負を挑むDDですが、いきなり連敗を喫していて非常に不安になります。
#3 ニューヨークの精鋭 (New York's Finest)
というわけで先回負けて鎖で縛られて辱めをうけているDD。お前はどこのヒロインだ、と説教をかましてやりたくなります。パニシさんはそんな彼の前に逃げ回っていたチンピラのグロットを引きずり出し、「こいつを殺されたくなかったら俺を殺せ」とつめよります。
「不殺」をかがげるDDが、復讐鬼の執念に力負けしてしまうエピソード。だからマットさん、もうちょっとしっかりして! クライマックスではどうしてDDとジジイ暴走族がビルの中で戦うことになるのか、流れがよくわかりませんでしたが『ザ・レイド』みたいに迫力があったのでよしとします。
#4 復讐の呪文(Penny and Dime)
第1部「パニッシャー登場編」最後のエピソード(勝手に区分け)。ますます勢いにのるパニシさんはアイリッシュ・マフィアの残党を一掃すべく勝負を挑むが、あっさりと捕まってしまう。だがそれも彼の計算のうちだった。この脱出のテクニックがめちゃくちゃ痛そうで目をそむけたくなりました。
前回あんなに激しく衝突してたのに、パニシさんを助けようと奮闘するDD。その無償の愛?に心を開き始めたパニシさんは自分の過去についてDDに語り出す。「こんな美しいものが俺の娘だなんて信じられなかった」というフランクの言葉が胸をうちます。そしてすごくあっけなく逮捕されてしまうパニシさん。まだあと9話もあるのに!?
#5 過去からの呪縛 (Kinbaku)
英題が「緊縛」って… パニシ事件がひと段落することになってほっとしたマットだったが、成り行きで弁護士として彼の裁判に関わることに。そんな中カレンと急速に仲を深めていくマットの前に、元カノのエレクトラが突然姿をあらわします。ところが前に相当ひどい目にあわされたのか、元カノにつっけんどんな態度を取るマット。確かにこの女面倒くさそう…
というわけで第2部「パニッシャー裁判編」の開始であると同時に、『デアデビル』に欠かせないヒロイン「エレクトラ」の登場回。わたしあんまし知らないんですけど、このエレクトラという女忍者、1時期はすごくマーベルで人気高かったそうです。あとマーベルドラマのリンクとして「ジェシカ・ジョーンズ」の名前がちらっと出てきます。全体的にシーズン2はこういうリンク少なかったなー
#6 パートナー不在(Regrets Only)
いよいよ始まるパニッシャー裁判。マットとフォギーはその準備に追われるが、またしてもエレクトラが現れてマットの集中力を乱す。
法廷シーンが多くなり、「なんか弁護士のドラマみたい!」と思いましたが、そういえば主人公の本業弁護士でした。それくらい本業をさぼっております。
前回やけに冷たかったのに、あっさりエレクトラと雪解けムードになってしまってるマット。まあ男のやせ我慢ってあんまりもたないってことですかね。それはともかく高層ビルに潜入して、『メタルギア・ソリッド』よろしく隠れて→進んで→隠れて→進んで というアクションを繰り返すのはまことに面白かったです。
#7 海兵隊のプライド(Semper Fidelis)
佳境に入っていくパニッシャー裁判。だがエレクトラとの夜遊びに没頭してしまったマットはその裁判に寝坊して大遅刻してしまう。アホか!!!! というわけでたった一人で場をもたしたフォギーにこっぴどく怒られるマット。当然であります。でもね、あたしこの二人が喧嘩してるとものすごく悲しくなるの。お願いだから喧嘩しないで…(;_;)(;_;)(;_;)
#8 罪深き罪( Guilty as Sin)
パニッシャー裁判編完結編。パニシさんがうちあわせと突然違うことを言いだしたため、法廷は大荒れ。そのままマット&フォギーは大敗。弁護士事務所も閉鎖の危機に。さらに間の悪いことに恋人未満のカレンが元カノがマットの家で寝てるのを見てしまう。そこから「キ――――ッ」と機嫌を損ねてしまうカレン。これまた薄情というかわかりやすいオナゴであります。あと冒頭の大穴の正体はS2全部観てもよくわかりませんでした。
そしてラストカットで満を持して登場する「あの方」にすげえテンションあがりました。
#9 真実までの7分(Seven Minutes in Heaven)
親友にも恋人未満にも去られたマットはエレクトラと人生をやりなおそうと考えるが、そこへ空気を読まないニンジャ集団の襲撃があり、それがきっかけでふたりは破局してしまう。
一方刑務所に入れられたフランクは、先輩となる「もう名前を言ってもいいあの人」ウィルソン・フィスクに招かれる。そんで罠にはまったんだか手引きしてもらったんだかよくわからない仕方で脱獄。「パニッシャー逆襲編」の始まりとなります。
この回の見どころは狭い廊下でパニシさんが、たった一人でム所の暴れん坊を次々と血祭りにあげていくくだり。同じような構図はシーズン1の2話でもありますが、殴り合いが基本のDDに対しパニシさんは遠慮なく刃物を振り回すのでまことにえげつない仕上がりになってました。
#10 檻の中の男(The Man in the Box)
パニシさんが脱獄した件で検事局に呼び出されたマット、フォギー、カレン。きまずい空気の中彼らは何者かによる銃撃を受け、1話から登場してたいけすかないレイエス検事はあっけなく死亡。これもまたパニシさんの仕業なのか。
さらに負傷したフォギーが入院していた病院が、ある事件の関係でニンジャ集団の襲撃を受け、DDは一人彼らと相対することに… 本当は身近で守ってあげたいのに「ぼく嫌われてるから…」と距離をとって病院を警護しているマッサンが泣かせます。
この辺からどんどん登場場面が増えてくるニンジャ集団「闇の手(邦訳本では「ザ・ハンド」となってます)。アメリカ人がニンジャ大好きなのは知ってますが、今日本にですらニンジャなんていねーから! …まあそれを言ったら宇宙の雷神も緑色の大男もしゃべるアライグマもいませんけど。
#11 38口径(380)
検事局を襲ったのはパニシさんを葬りたがってる組織の仕業だった。パニシさんはカレンが自分に親近感を抱いていることにつけこみ、彼女を利用してその組織をおびき出す。
エレクトラはDDと共通の師匠スティックが自分を殺そうとしていることを知り、返り討ちにしようと試みるが「家族ゲンカはやめて!」とマットにはばまれることに。
この辺から(前からか?)主要キャラクターの行動がどんどん入り乱れて非常にややこしいことになっていきます。それはともかくクライマックスでの船上の死闘はなかなか圧巻でした。
#12 暗闇の先に待つ闇(The Dark at the End of the Tunnel)
宿敵「ブラックスミス」の正体をつかんだパニシさんは復讐を果たすべく彼の家へ赴く。一方でスティックがエレクトラを殺そうとした理由が明かされる。彼女は「闇の手」の救世主となるべく生まれた子供「ブラックスカイ」だったのだ… ブラックスミスとかブラックスカイとか微妙に名前が似てて大変ややこしいです。
それにしてもエレクトラ、子供のころはこんなにかわいかったのにどうしてああ面倒くさい女になってしまったのでしょう(それは育ての親が超面倒くさい人だったから)
#13 地獄にも降る静寂(A Cold Day in Hell's Kitchen)
パニッシャー…じゃないデアデビル・シーズン2最終話。DDに縁のある人たちを人質にとり、彼を抹殺しようと企む「闇の手」。エレクトラと共にその救出に向かうDDだったが、戦いの果てに悲劇が待っていた。
ひとまず事件が解決したのち、マットはカレンに唐突に正体を明かす。「ぼくがデアデビルだ」…と。
すごく完成度が高かったシーズン1に比べると、いささかごちゃごちゃしてしまった感のあるシーズン2。アメドラにはよくあることです。それでも十分楽しめたことは間違いないので、(あれば)シーズン3でもこのレベルを維持していただきたいです。
ネットフリックス版マーベルドラマは、現在さらに第3弾となる『ルーク・ケイジ』が配信中。そして第4弾『アイアン・フィスト』を経て地味版「アベンジャーズ」とも言うべき『ディフェンダーズ』へと続いていく模様。パニッシャーが主人公のドラマもすでに製作中だそうです。
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