悪い子の学習帳・6冊セット 大場つぐみ・小畑健・佐藤信介 『デスノート Light up the NEW world』
最近舞台化、ドラマ化、と再ブームを呼び起こしている名作コミック『デスノート』。その決定打とばかりに、今回10年前の映画版の続編が公開されることとなりました。『デスノート Light up the NEW world』(長い副題…)ご紹介します。
世界を震撼させた「キラ」による大量殺人事件から10年後。「名前を書かれた者は死ぬ」力を持つ「デスノート」を用いたと思われる事件が新たに起きる。地上に再び現れたデスノートはすべてで6冊。キラの後継者を名乗る者、そのライバルで「世界最高の探偵」Lの名を継ぐ者、そして「デスノート対策班」に所属する捜査官三島。三人の男たちは自分の信じる正義のために6冊のデスノートをめぐって激しく火花を散らす。
今まで書いた『デスノート』関連の記事は次の通り
・原作
・劇場版第1部
・劇場版第2部
・L Cange the world
最近私事で忙しいので、今回はさくっと参ります(笑)
普通こんだけ経つといわゆるリブートというか、「1からやり直し」となるのが普通ですが、今回はなんと思い入れの深い2006年の劇場版二部作のつづきをやってくれるという。その辺にまずわくわくしました。ただ観てみますとね、『L』スピンオフにも言えることですが、「デスノート」劇場版は先の二部作だけで十分完成されている…という思いを新たにさせられることになりました。
公開当日から評判の悪かったこの度の新作。冒頭6冊のデスノートがばらまかれ、ひとりまたひとりと所有者が明らかになり、さらにその所有者が別の所有者に葬りさられるあたりまではけっこうおもしろかった。
キラの後継者を演じる菅田正輝、二代目の「L」である池松壮介、一般人の警察官三島、と三者三様でキャストにはまってたのもよかったですね。
以降、どんどんネタバレしていきます(^_^;
雲行きが怪しくなってくるのは中盤で対策班が菅田君演じるテロリスト・紫苑のアジトに急襲をかけるあたりから。普通だったら少しは罠の可能性も考えそうだけど…と思うのですが、対策班は何も考えずにつっこんでいき紫苑の術中にはまります。そして紫苑のしかける罠も「もっと徹底的にやっちゃえばいいのに」と思うのになんかぬるいものだったりする。後半はこんな調子で「いや… それだったらこうした方がよくね?」という疑問が絶えず頭にひらめきます。もしかしたらそれらにはちゃんとした理由があって、わたしの頭が追い付いていかないだけかもしれませんが…
クライマックスのあたりで二転三転するどんでん返しがあり、一応びっくりはします。しかしそれらにしても意外性を優先するあまり不自然な点や矛盾点がいろいろ目についてしまいます。
こういったおかしな点を無理やり脳内補完もしくはスルーし、「誰が生き残るか」というところだけに注目して観るならば、なんとかこの映画を楽しめるかと思います。わたしはそうしました。だから観終わった時にはそれなりの満足感をもって映画館を出ることができました。やったね!
多くの罪を背負った「彼」がただ一人生き残り、世界を相手に絶望的な戦いを託されることになる… そういうペシミスティックな結末もけっこう好みではありました。ただやっぱり、一応楽しめたとはいうものの、もう少し脚本を練り練りする時間が必要だったんじゃないかなあ…という思いも捨てきれず。おしいなあ。
せっかく『アイアムア・ヒーロー』で世界的評価を得たのに、またその評価を地に落としてしまった佐藤監督。次回はまたそこから這い上がってきてくれることを期待します(^_^;
そんな風にメタクソな評価の『デスノートLNW』ですが、興行面ではそれほど悪くなく快進撃を続けている『君の名は。』のトップを一週だけ阻止したりしています。この分ではさらなる続きも出来てしまうかもしれません。不安だ… でも観に行ってしまいそう…
来年にはネットフリックス製作による海外版『デスノート』も公開?配信?される予定。祭りはもう少し続くようです。
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