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November 29, 2016

サトシくん、ハイ! 大崎善生・森義隆 『聖の青春』

Tns1伝説の棋士、「村山聖(さとし)」について知ったのは20年くらい前、『月下の棋士』でモデルとなっていたキャラが登場した時。病に冒されているため、血を吐きながら「将棋をなめたやつは殺す!」と叫ぶような鬼気迫るキャラでした(左イラスト参照)。その時はまだご存命でしたが、亡くなられたあと彼のことについて書かれたノンフィクションが出版。この度それが映画化されることになりました。『聖の青春』、ご紹介します。

1993年、幼いころより難病に苦しめられていた青年棋士・村山聖は、持ち前の負けん気と才能で頭角を現しついに7段にまで昇格する。しかし東京の天才・羽生善治に敗れた聖は、「彼の地位に近付く」ために住み慣れた大阪から上京。やがて羽生とタイトルを争うほどまでに成長した聖だったが、病魔はすでに彼の肉体を深く蝕んでいた。

『月下の棋士』では痩躯のスキンヘッドだった村山氏ですが、写真を見るとぼさぼさの髪に大黒さんのようなふくよかなほっぺたをしています。そんだけふっくらしていたのは病気のためだったようですが。
普通難病モノというと主人公は美男美女か、いたいけなお子様と相場が決まっております。しかしこの映画の村山さんはいま述べたようにむさくるしいぽっちゃりした風貌で、動きものそのそしてたり、挙動不審だったり。それで性格がよけりゃまだいいのですが、親身になって世話してくれる人たちにもまるで感謝してる様子がない。それどころか「もっとこうしてよ」と文句を言ったりする(^_^; なかなかの問題児であります。
ただ、世の中にはいるんですよね。ずるいことに「何もしなくても人々から愛される」才能を持つ人が。だから師匠も弟分も車にゲロらしきものを垂れられた友人も彼のことを甲斐甲斐しく面倒見るのですね。わたしもどうしてかこの映画を観ていて松山ケンイチ演じる村山君が大好きになってしまいました。ちらかった部屋で少女漫画読みながら半ケツ出してるような青年をですよ。それは彼が傍若無人でありながら一生懸命生きてるから…ということもありましょうが、どうにも説明できない、理屈を越えたものがある気がします。

そんな誰に対しても無礼な村山君が、天才・羽生善治の前だけでは純情な乙女のようにもじもじしてしまう。おっかなびっくり後をつけたり、おそるおそるお酒にも誘ってしまう。そんなところがまた面白く、微笑ましい。これがフィクションなら主人公にかわいい恋人がいたりするんでしょうけど、残念ながら村山氏にはそういう人はいなかったようで、なんでか代わりに羽生さんがヒロインのようになってしまっている。実物より3割増し美形の東出昌大君がキラキラした目で演じているため、一層そんな風に見えてしまいました。

この映画は村山氏に限らず、「将棋指し」という独特な人種の特徴も描いています。スポーツものなら負けると地面に額づいたり絶叫したりして悔しがったりするものですが、棋士たちは低い声でぼそっと「負けました」と言うだけです。それでも腹の中では「死ぬほど悔しい」と思ってたりするそうですから、本当に棋士のみなさんというのはつつましやかですね。
それは村山氏が亡くなった時の反応にも表れています。「亡くなりました」と淡々と言う森先生。携帯をもったまま微動だにしない友人の荒崎(先崎)氏。静かで言葉すくなだからこそ、逆にその悲しみの深さが伝わってくるというか。こうした抑制の効いた描写ひとつとっても、最近の邦画は着実に進化してるな…と感じます。

Tns2そんな「静かなる名作」とでも言うべき『聖の青春』ですが、興行的には苦戦してるようで二週目にして早くも10位。やはり将棋というのは一般の皆さんにとっつきにくい素材なのかなあ。将棋わからなくても十分感動する映画なので(たぶん)、もっと多くの方に観てもらいたいものです。
将棋の映画といえば羽海野チカ先生が描かれている青年棋士が主人公のコミック『3月のライオン』も、来春映画化されるそうです。今ノリに乗ってる神木隆之介くんが主演ということで、こちらは大ヒットを狙えるかな?


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November 26, 2016

呉の花嫁 こうの史代・片渕須直 『この世界の片隅に』

Ksks2016年も残すところあとわずか。そんな大詰めに来て年間ベスト1,2を争うド傑作と巡り合ってしまいました。こうの史代原作によるコミックをアニメ映画化した『この世界の片隅に』、ご紹介します。

昭和初期。広島市に住む「ぼーっとした」少女すずはやがて成長し、呉の青年周作に見初められてその地へ嫁ぐ。慣れない土地でしかしすずは持ち前のおおらかさと周作の愛情により、次第にその家と呉になじんでいく。だが戦局が悪化するにつれ食糧事情はひっ迫。さらに絶え間ない空襲によりすずと家族の神経は次第に疲弊していく。彼女はそんな時代にあっても、なお明るさを失わずにいられるか…

こうの作品に出会ったのはかれこれ10年以上前に出会った『夕凪の街 桜の国』。その叙情性とメッセージ性、構成に感動し、5年後くらいにやはり戦時中を舞台にした本作品にも手をのばしまた。その時もいたく感動しお気に入りの作品になったのですが、「アニメ化進行中」というニュースを聞いても「大丈夫なんかなー」という印象しかなく。それが昨年ユーロスペースで予告編を見たらその見事でさわやかな映像にすっかり心を奪われてしまい、「よっしゃ観るぞおおお!!」という気持ちにさせられたのでした。

この作品が映画になるにはふたつの苦しい戦いを経る必要がありました。ひとつは大口の出資者が見つからずクラウドファンディングという方法で製作費を募らねばならなかったこと。一時など監督のご家族の食費は1日100円という状況にまで落ち込んだそうです。そんな厳しい食生活が偶然にもすずさんちのそれとシンクロしておりました。
もうひとつの戦いは独立問題で芸能界界からほされている元・能年玲奈ののんさんを主演に起用したこと。なんでまたそんなわけありそうな子を…と思ったのですが、「この役をやりたい」というのんさんの情熱とそのあまりのはまりっぷりに監督も感激してすず役を任せたそうです。実際聞いていて海女のアキちゃんの顔が全く浮かばないほど役に同化されておりました。ただそのためにTV関係では全く宣伝してもらえず、どれほどの人に観てもらえるか暗雲がたちこめているような状況になっておりました。
ところが公開されるやいなやSNSの口コミ効果か、公開館60数館にも関わらず週末の興行ランキング10位を獲得。2週目には1週目の売り上げを上回ったというから驚きです。中心館となっているテアトル新宿では連日の満席を記録。そして上映館の数は日を追うごとに増えていっています。
数々の逆境をはねのけてこれだけの成果を収めていることはまことに痛快ですが、それはやはりこの作品の底力があったればこそでして。こうの先生の原作、片淵監督の表現力、そしてのんさん初めとするキャストたちの奇跡的なめぐり会い、これだけの傑出した要素がそろっていて人の心を打たなかったら、もうそれは世の中おしまいってなもんです。

映画が優れている点はやはり色と音がついていること。「楠公飯」にしても「進駐軍の残飯雑炊」にして色がついたことでまるで匂いがこちらに漂ってくるかのような存在感がありました。すずが初めて経験する空襲の時のカラフルな爆発や、水原に描いてあげた兎の跳ねる海の絵も目と脳にさわやかなインパクトを残していきます。ミリタリーマニアであるという監督の飛行機や爆発のサウンドもまるで我々がその場にいるかのような臨場感を醸し出しております。

一方原作には原作ならではの良いところもあります。本編に挿入されるオマケ漫画や、すずたちの日々の暮らしを描いた数ページなどは「漫画にはこういう表現・演出もあったんだ」と思わせるほど自由奔放で楽しい。
そして映画化で大幅に削られたリンさんに関するあれやこれや。映画は映画でマッシュアップするためにこれらのエピソードを削らざるを得なかったのでしょうが、わたしにとってすずさんとリンさんの交流は『この世界の片隅に』おけるとてもひかれた部分だったのでそれらもぜひ見たかったです(エンドロールなどで少し補完されてはいましたが)。

まあ要するに何が言いたいかというと、漫画もアニメもどちらもいいということです。お互いがお互いのいいところを引き立て、補い合ってるような素敵な関係。漫画原作映画は数あれどこれほどに素敵な「結婚」はそうないでしょう。

以下、後半ネタバレしてるのでご了承ください。

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前半のずっとほほんとしてたすずさんも中盤をすぎるとある悲劇を境に激しい悔恨に苦しめられることになります。この作品は状況設定がいわゆる「朝ドラ」のパターンに似ているところもありますが、ここが決定的に違うところかもしれません。すなわち肉体的にも精神的にも人が引きちぎられていくショックをまざまざと見せつけているという点です。前半は皆で楽しそうに笑っている場面ばかりなので、なおさらそれが胸にこたえます。
さらに追い打ちをかけるようにすずは妹から「広島に帰ってこない?」とすすめます。広島がこのあとどうなるか知っている我々とすれば「そこだけには行ってはいかん!」と青筋を立てながらすずさんに叫びたくなります。
あるいはそこですずさんが広島に戻り、原爆のせいでこの世を去ったなら戦争の悲惨さはより一層効果的に伝わったことでしょう。でもこうの先生も、もちろん片淵先生もそうはされなかった。それはおそらくこの作品が「戦争の悲劇性」だけを主眼としたものではなかったから。そのことに本当に「ありがとう」と言いたいです。

あともう一点書いておきたいのがすずさんや周作だけでなく、その周りの人々が誰もかれも本当にいとおしいということ。先にも述べたリンさん、周作の姉の圭子とその娘の晴美ちゃん、すずの幼馴染の水原、最後にすずがめぐり会う広島の少女。もうおっさんで涙腺がバカになっているということもありますが、彼ら彼女らのことを思い出すだけで鼻水がダラダラ垂れてきてしまうのはなぜでしょう。本当に悲しいけれど優しくて一生懸命な「この世界」の人々が大好きです。

こんだけウダウダ書いたあとになんですが、こんな駄文読む必要はないです。ただ映画『この世界の片隅に』を観に行ってほしい。たとえ合わなかったとしても、とりあえず映画館で鑑賞してほしい。こんな風にお願いすることは自分で言うのもアレですけど、数年に一回あるかないかなので。わたしの本気度がわかっていただけたでしょうか。

Sga1いつも以上にとっちらかったよくわかんないレビューとなってしまいました。好きなものを効果的に語るのって本当にむずかしい。『この世界の片隅に』は現在のところこちらの映画館で公開中・公開予定。今年突発的に生じた日本映画ルネサンスはここに至って頂点を迎えたといっても過言ではありません。その「事件」をぜひご自分の目で確認していただきたいです、


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November 22, 2016

悪い子の学習帳・6冊セット 大場つぐみ・小畑健・佐藤信介 『デスノート Light up the NEW world』

150pxdeath_note_book_svg最近舞台化、ドラマ化、と再ブームを呼び起こしている名作コミック『デスノート』。その決定打とばかりに、今回10年前の映画版の続編が公開されることとなりました。『デスノート Light up the NEW world』(長い副題…)ご紹介します。

世界を震撼させた「キラ」による大量殺人事件から10年後。「名前を書かれた者は死ぬ」力を持つ「デスノート」を用いたと思われる事件が新たに起きる。地上に再び現れたデスノートはすべてで6冊。キラの後継者を名乗る者、そのライバルで「世界最高の探偵」Lの名を継ぐ者、そして「デスノート対策班」に所属する捜査官三島。三人の男たちは自分の信じる正義のために6冊のデスノートをめぐって激しく火花を散らす。

今まで書いた『デスノート』関連の記事は次の通り
原作
劇場版第1部
劇場版第2部
L Cange the world

最近私事で忙しいので、今回はさくっと参ります(笑)
普通こんだけ経つといわゆるリブートというか、「1からやり直し」となるのが普通ですが、今回はなんと思い入れの深い2006年の劇場版二部作のつづきをやってくれるという。その辺にまずわくわくしました。ただ観てみますとね、『L』スピンオフにも言えることですが、「デスノート」劇場版は先の二部作だけで十分完成されている…という思いを新たにさせられることになりました。

公開当日から評判の悪かったこの度の新作。冒頭6冊のデスノートがばらまかれ、ひとりまたひとりと所有者が明らかになり、さらにその所有者が別の所有者に葬りさられるあたりまではけっこうおもしろかった。
キラの後継者を演じる菅田正輝、二代目の「L」である池松壮介、一般人の警察官三島、と三者三様でキャストにはまってたのもよかったですね。

以降、どんどんネタバレしていきます(^_^;

雲行きが怪しくなってくるのは中盤で対策班が菅田君演じるテロリスト・紫苑のアジトに急襲をかけるあたりから。普通だったら少しは罠の可能性も考えそうだけど…と思うのですが、対策班は何も考えずにつっこんでいき紫苑の術中にはまります。そして紫苑のしかける罠も「もっと徹底的にやっちゃえばいいのに」と思うのになんかぬるいものだったりする。後半はこんな調子で「いや… それだったらこうした方がよくね?」という疑問が絶えず頭にひらめきます。もしかしたらそれらにはちゃんとした理由があって、わたしの頭が追い付いていかないだけかもしれませんが…
クライマックスのあたりで二転三転するどんでん返しがあり、一応びっくりはします。しかしそれらにしても意外性を優先するあまり不自然な点や矛盾点がいろいろ目についてしまいます。

こういったおかしな点を無理やり脳内補完もしくはスルーし、「誰が生き残るか」というところだけに注目して観るならば、なんとかこの映画を楽しめるかと思います。わたしはそうしました。だから観終わった時にはそれなりの満足感をもって映画館を出ることができました。やったね!

多くの罪を背負った「彼」がただ一人生き残り、世界を相手に絶望的な戦いを託されることになる… そういうペシミスティックな結末もけっこう好みではありました。ただやっぱり、一応楽しめたとはいうものの、もう少し脚本を練り練りする時間が必要だったんじゃないかなあ…という思いも捨てきれず。おしいなあ。
せっかく『アイアムア・ヒーロー』で世界的評価を得たのに、またその評価を地に落としてしまった佐藤監督。次回はまたそこから這い上がってきてくれることを期待します(^_^;

Dnlnw1そんな風にメタクソな評価の『デスノートLNW』ですが、興行面ではそれほど悪くなく快進撃を続けている『君の名は。』のトップを一週だけ阻止したりしています。この分ではさらなる続きも出来てしまうかもしれません。不安だ… でも観に行ってしまいそう…
来年にはネットフリックス製作による海外版『デスノート』も公開?配信?される予定。祭りはもう少し続くようです。

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November 18, 2016

不殺仕事人VS抹殺処刑人 ドラマ版『デアデビル』シーズン2不完全覚書

000「ネットフリックスでしか観られない!」という触れ込みだったのに、先ごろシーズン1がソフト発売されたドラマ版『デアデビル』。ちょうどいい機会なので春ごろに観た(…)シーズン2の覚書をいまのうちに残しておくとします。ちなみにシーズン1の記事はこちら

#1新たな戦いの幕開け(Bang) #2 捨て駒(Dogs to a Gunfight)
デアデビル(以下DD)がフィスクを倒してから数か月後、街では生き残ったマフィアたちが細々としのぎを削っていた。そんなマフィアたちを震撼させる事件が起きる。アイルランド系の組織が襲撃に合いほぼ全滅したというのだ。しかもそれはたった一人の男の手によるものだという…
というわけで「パニッシャー」の登場により幕が上がるシーズン2。これまで3度映画化されてますが、おそらくこれほどの恐怖でもって描かれたことはないでしょう。どう見ても集団の仕業としかおもえない凄惨な方法でギャングたちを血祭りにあげていくフランク・キャッスル。まさに神出鬼没・正体不明の活躍ぶりです。
「このドラマの主役はわたしですから!」と張り切って勝負を挑むDDですが、いきなり連敗を喫していて非常に不安になります。

#3 ニューヨークの精鋭 (New York's Finest)
というわけで先回負けて鎖で縛られて辱めをうけているDD。お前はどこのヒロインだ、と説教をかましてやりたくなります。パニシさんはそんな彼の前に逃げ回っていたチンピラのグロットを引きずり出し、「こいつを殺されたくなかったら俺を殺せ」とつめよります。
「不殺」をかがげるDDが、復讐鬼の執念に力負けしてしまうエピソード。だからマットさん、もうちょっとしっかりして! クライマックスではどうしてDDとジジイ暴走族がビルの中で戦うことになるのか、流れがよくわかりませんでしたが『ザ・レイド』みたいに迫力があったのでよしとします。

#4 復讐の呪文(Penny and Dime)
第1部「パニッシャー登場編」最後のエピソード(勝手に区分け)。ますます勢いにのるパニシさんはアイリッシュ・マフィアの残党を一掃すべく勝負を挑むが、あっさりと捕まってしまう。だがそれも彼の計算のうちだった。この脱出のテクニックがめちゃくちゃ痛そうで目をそむけたくなりました。
前回あんなに激しく衝突してたのに、パニシさんを助けようと奮闘するDD。その無償の愛?に心を開き始めたパニシさんは自分の過去についてDDに語り出す。「こんな美しいものが俺の娘だなんて信じられなかった」というフランクの言葉が胸をうちます。そしてすごくあっけなく逮捕されてしまうパニシさん。まだあと9話もあるのに!?

#5 過去からの呪縛 (Kinbaku)
英題が「緊縛」って… パニシ事件がひと段落することになってほっとしたマットだったが、成り行きで弁護士として彼の裁判に関わることに。そんな中カレンと急速に仲を深めていくマットの前に、元カノのエレクトラが突然姿をあらわします。ところが前に相当ひどい目にあわされたのか、元カノにつっけんどんな態度を取るマット。確かにこの女面倒くさそう…
というわけで第2部「パニッシャー裁判編」の開始であると同時に、『デアデビル』に欠かせないヒロイン「エレクトラ」の登場回。わたしあんまし知らないんですけど、このエレクトラという女忍者、1時期はすごくマーベルで人気高かったそうです。あとマーベルドラマのリンクとして「ジェシカ・ジョーンズ」の名前がちらっと出てきます。全体的にシーズン2はこういうリンク少なかったなー

#6 パートナー不在(Regrets Only)
いよいよ始まるパニッシャー裁判。マットとフォギーはその準備に追われるが、またしてもエレクトラが現れてマットの集中力を乱す。
法廷シーンが多くなり、「なんか弁護士のドラマみたい!」と思いましたが、そういえば主人公の本業弁護士でした。それくらい本業をさぼっております。
前回やけに冷たかったのに、あっさりエレクトラと雪解けムードになってしまってるマット。まあ男のやせ我慢ってあんまりもたないってことですかね。それはともかく高層ビルに潜入して、『メタルギア・ソリッド』よろしく隠れて→進んで→隠れて→進んで というアクションを繰り返すのはまことに面白かったです。

#7 海兵隊のプライド(Semper Fidelis)
佳境に入っていくパニッシャー裁判。だがエレクトラとの夜遊びに没頭してしまったマットはその裁判に寝坊して大遅刻してしまう。アホか!!!! というわけでたった一人で場をもたしたフォギーにこっぴどく怒られるマット。当然であります。でもね、あたしこの二人が喧嘩してるとものすごく悲しくなるの。お願いだから喧嘩しないで…(;_;)(;_;)(;_;)

#8 罪深き罪( Guilty as Sin)
パニッシャー裁判編完結編。パニシさんがうちあわせと突然違うことを言いだしたため、法廷は大荒れ。そのままマット&フォギーは大敗。弁護士事務所も閉鎖の危機に。さらに間の悪いことに恋人未満のカレンが元カノがマットの家で寝てるのを見てしまう。そこから「キ――――ッ」と機嫌を損ねてしまうカレン。これまた薄情というかわかりやすいオナゴであります。あと冒頭の大穴の正体はS2全部観てもよくわかりませんでした。
そしてラストカットで満を持して登場する「あの方」にすげえテンションあがりました。

#9 真実までの7分(Seven Minutes in Heaven)
親友にも恋人未満にも去られたマットはエレクトラと人生をやりなおそうと考えるが、そこへ空気を読まないニンジャ集団の襲撃があり、それがきっかけでふたりは破局してしまう。
一方刑務所に入れられたフランクは、先輩となる「もう名前を言ってもいいあの人」ウィルソン・フィスクに招かれる。そんで罠にはまったんだか手引きしてもらったんだかよくわからない仕方で脱獄。「パニッシャー逆襲編」の始まりとなります。
この回の見どころは狭い廊下でパニシさんが、たった一人でム所の暴れん坊を次々と血祭りにあげていくくだり。同じような構図はシーズン1の2話でもありますが、殴り合いが基本のDDに対しパニシさんは遠慮なく刃物を振り回すのでまことにえげつない仕上がりになってました。

#10 檻の中の男(The Man in the Box)
パニシさんが脱獄した件で検事局に呼び出されたマット、フォギー、カレン。きまずい空気の中彼らは何者かによる銃撃を受け、1話から登場してたいけすかないレイエス検事はあっけなく死亡。これもまたパニシさんの仕業なのか。
さらに負傷したフォギーが入院していた病院が、ある事件の関係でニンジャ集団の襲撃を受け、DDは一人彼らと相対することに… 本当は身近で守ってあげたいのに「ぼく嫌われてるから…」と距離をとって病院を警護しているマッサンが泣かせます。
この辺からどんどん登場場面が増えてくるニンジャ集団「闇の手(邦訳本では「ザ・ハンド」となってます)。アメリカ人がニンジャ大好きなのは知ってますが、今日本にですらニンジャなんていねーから! …まあそれを言ったら宇宙の雷神も緑色の大男もしゃべるアライグマもいませんけど。

#11 38口径(380)
検事局を襲ったのはパニシさんを葬りたがってる組織の仕業だった。パニシさんはカレンが自分に親近感を抱いていることにつけこみ、彼女を利用してその組織をおびき出す。
エレクトラはDDと共通の師匠スティックが自分を殺そうとしていることを知り、返り討ちにしようと試みるが「家族ゲンカはやめて!」とマットにはばまれることに。
この辺から(前からか?)主要キャラクターの行動がどんどん入り乱れて非常にややこしいことになっていきます。それはともかくクライマックスでの船上の死闘はなかなか圧巻でした。

#12 暗闇の先に待つ闇(The Dark at the End of the Tunnel)
宿敵「ブラックスミス」の正体をつかんだパニシさんは復讐を果たすべく彼の家へ赴く。一方でスティックがエレクトラを殺そうとした理由が明かされる。彼女は「闇の手」の救世主となるべく生まれた子供「ブラックスカイ」だったのだ… ブラックスミスとかブラックスカイとか微妙に名前が似てて大変ややこしいです。
それにしてもエレクトラ、子供のころはこんなにかわいかったのにどうしてああ面倒くさい女になってしまったのでしょう(それは育ての親が超面倒くさい人だったから)

#13 地獄にも降る静寂(A Cold Day in Hell's Kitchen)
パニッシャー…じゃないデアデビル・シーズン2最終話。DDに縁のある人たちを人質にとり、彼を抹殺しようと企む「闇の手」。エレクトラと共にその救出に向かうDDだったが、戦いの果てに悲劇が待っていた。
ひとまず事件が解決したのち、マットはカレンに唐突に正体を明かす。「ぼくがデアデビルだ」…と。
すごく完成度が高かったシーズン1に比べると、いささかごちゃごちゃしてしまった感のあるシーズン2。アメドラにはよくあることです。それでも十分楽しめたことは間違いないので、(あれば)シーズン3でもこのレベルを維持していただきたいです。

Yjimageelectraネットフリックス版マーベルドラマは、現在さらに第3弾となる『ルーク・ケイジ』が配信中。そして第4弾『アイアン・フィスト』を経て地味版「アベンジャーズ」とも言うべき『ディフェンダーズ』へと続いていく模様。パニッシャーが主人公のドラマもすでに製作中だそうです。

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November 09, 2016

宇宙の果てまでビヨヨ~ンと ジャスティン・リン 『スター・トレック BEYOND』

Stb1うちゅう… それはさいごのふろんてぃあ… たーららー たーらーらーたーららー
3年前もこの書き出しで始めましたが、今回もまた始めます。人気SFドラマをリブートした劇場版の第3作『スター・トレック BEYOND』ご紹介します。ちなみに前作『イントゥ・ダークネス』の記事はこちら。第1作の記事はこちら。

前作ラストで意気揚々と外宇宙の旅に出たカ―君。だがあまりにも茫洋としたその行程は、徐々に彼の心を深い倦怠でむしばみ始める。いつしかカークはエンタープライズのキャプテンを降り、駐留艦隊でのポストを願うようになっていた。そんな折辺境の宇宙ステーションに立ち寄っていたエンタープライズに、近くの惑星から救難信号が送られる。ただちに現場に急行した一行だったが、それは宇宙艦隊に敵意を抱く者の罠だった。

早いもので1作目からもう7年。今回は前二作で監督を務めたJ.J.エイブラムスが製作に回り、『ワイルドスピード』シリーズで名をはせたジャスティン・リンがメガホンを取っています。
これまで考えるより前に行動してた超ポジティブ野郎のカー君が、壁に当たって初めて暗い愚痴をこぼし始めます。偉大な父の存在と、いつ果てるともしれぬ任務。主題歌でリアーナさんも「壁に当たった」と歌ってますが、その障害物をいかにして乗り越えていくかが『スター・トレック BEYOND』のテーマであると思います。あまり言うとネタバレですが、ボスキャラとなる悪役がちょうどカー君の合わせ鏡のような存在なんですよね。壁を乗り越えられなかったもう一人の自分、みたいな。

ただ今回の『BEYOND』、監督の資質もあるのか冒頭多少和んだパートがあった以外は、ほとんどアクション!アクション!アクション!バトル!バトル!バトル!の繰り返しでした。だもんで人間ドラマの印象がかなり薄い。いつも女に手が早いカー君も、今回は忙しすぎてナンパする暇さえありませんでした。ワイスピ出身のリン監督だけあって乗り物のチェイスや破壊などはさすがの職人技という感じでしたがね~ あと前作は素顔のカンバーバッチさん演じる悪役がかなりかっこよく強そうだったのに対し、今回のライバルはいかにもやられ役といった宇宙人メイクのイドリス・エルバだったので、その点も少々物足りなかったです。

…とまあなぜか批判調になってしまいましたが、本当にアクション映画としては実に申し分ない出来でした。あと名前を忘れてしまいましたが、エンタープライズが立ち寄る宇宙都市というか宇宙ステーションの描写が大変すばらしい。SFファンならここだけでも十分観る価値はあると思います。

もう一点、この映画が大変重要なのは図らずもアントン・イェルチンの遺作となってしまったことです。リブート版の1作目からクルーのチェコフ役で出演していた彼でしたが、この映画での撮影を終えたのち不幸な事故でこの世を去りました。わたしもそんなに熱心なファンだったわけではありませんが、親しみやすくナイーブな風貌のアントンの演技が好きだったものの1人です。日本の俳優でいうと濱田岳氏をもう少し細くして、見栄えをよくしたような感じでしょうか。
彼の出演作で特に印象に残っているのは『君が生きた証』と『オッド・トーマスと奇妙な死神』。2本とも出だしは軽妙な語り口で後味もさわやかでありながら、「死」の持つ重みがズシリと響く作品です。まさかアントン君自らが早すぎる死でさらにそれを痛感させてくれることになろうとは… ただただ悲しい。遠い遠い未来の宇宙で、きっと彼はいつまでも活躍し続けるのだろうと思って自分を慰めることにします。

Stb2リブート版『スター・トレック』は日本では微妙な売れ行きながらすでに第4弾が決定しているそうで、順調にいけばまたクリス・パイン演じるカー君たちに数年後には会えることでしょう。またアントン君のもうひとつの遺作である『グリーン・ルーム』が来年2月公開ですが、こちらは怖そうな話なので自分観られなさそう。隣のイラストは全く似てませんがアントン君だと思ってください。


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November 04, 2016

ナニワ陰陽道 奥浩哉・さとうけいいち 『GANTZ:0』

Gantz012004年アニメ化、2011年実写映画化、そして2013年堂々連載完結した『GANTZ』。
このまま勢いも収束していくかに思われましたが、ここに来て突然の新作CGアニメが公開となりました。『GANTZ:0(オー)』ご紹介します。

死んだ者を生き返らせ、ゲームのコマのように得体のしれない怪物と戦わせる謎の球体GANTZ(ガンツ)。通り魔の犯行を防ごうとして命を落とした高校生・加藤勝もまたGANTZに召喚され、第二の生を得た。わけがわからぬまま、彼はこれまでゲームに参加してきた者たちとともに、そのステージである大阪の地へと転送される。だがその地で遭遇する怪物たちは、先の参加者たちでさえ怖気をふるうほど圧倒的に強大な存在であった。たった一人の身寄りである弟のもとへ帰るため、加藤はその不条理で絶望的な戦いに身を投じる。

というわけで今回映像化されたのはシリーズでもやや中盤を過ぎた「大阪編」。ここでは本来の主人公である玄野計が死亡しているため、副主人公的な存在である加藤君がお話を引っ張っていきます。ちなみに最初ひねくれていた(だんだんいいやつになっていくんですが)「ごく普通の高校生」玄野に比べると、加藤君は他人のために命を張るのをいとわない、まさに正義の味方のような青年です。

だいぶ前に書いた原作漫画の紹介記事でも触れましたが、『GANTZ』の魅力というのは「死がすぐそばまで来ていて、それを鼻先で交わしていく恐怖感、緊張感、高揚感、爽快感」「不条理極まりなくてユーモラスなんだけど、過剰なまでに残酷だったりするヴィジュアル」にあると思っています。「大阪編」はそうした『GANTZ』の持ち味がピークに達したエピソードと言っても過言ではありません。今回の敵はぬらりひょん、天狗、ダイダラボッチといった日本古来の妖怪たち。ぱっと見クスッと笑ってしまうような外見です。でもこいつらがものすごく強い上に残酷度も半端ない。何度もゲームをクリアしてきた猛者たちですらあしらわれてしまうほどに。原作を読んでいた時、自分は何度も何度も「いや、こんな文字通りのバケモノたちを倒せるわけないだろ…」と震撼いたしました。この度の劇場版は先に原作を読んでいたのでなんというか再確認みたいな鑑賞になってしまったのですが、初めてこのエピソードを見る人はもっともっとこの絶望感とカタルシスを味わえるんだろうな…と少しうらやましく思いました。

あと前の実写版(特に第1部)もがんばっていましたが、『GANTZ』に登場する装備や怪物を最も迫力豊かに描けるのは、やはりこのCGアニメという手法かもしれません。特にこの大阪編に登場する巨大ロボのインパクトと存在感は、紙上に描かれた絵をはるかに上回っておりました。はっきり言うと『パシフィック・リム』みたいでした。「大阪編」はパシリムより前に描かれているので「真似した」ということはないと思うのですが、映画版では動きや構図の点でもいかにもパシリムを意識したシーンが幾つかあって嬉しくなっちゃいましたね。残念なのは(これは原作にも言えることですが)この巨大ロボットの出番があまり多くはないこと。これを最初から最後まで大暴れさせてくれたらもっとよかったのに… まあその辺は次回作に期待するとしますか。ていうか次回作あるのかしらん(^_^;

少し残念だった点。未映像化だった「大阪編」をやると聞いたので、「もしかしたら実写版の続きなのかも?」と淡い期待を勝手に抱いたのですが、そちらとは関係ない完全リブートというかパラレルワールドのような仕様になっていたこと。実写版の結末はあまりに玄野君が気の毒でわたしはまだ納得がいってないんですよ! でももうさすがにあちらのその後が語られることはないんだろうなあ~ もう自分の脳内で独自に妄想を繰り広げるしかないんだろうなあ~ つか、今回も玄野くんえらい損な役回りでしたね… 続編が作られないとこのまま死にっぱなしなんですが。

45697048あまり「大ヒット!」とはいかなかったのでさらに映画が作られるかは微妙ですが、やるならばおそらく後半の山場である「カタストロフィ編」妥当なところでしょうか。あるいはもう原作は無視してオリジナルのエピソードを作ってしまうか。どちらでもいいのでこのCGアニメの新たなる可能性を探求し続けていってほしいものです。

『GANTZ:0』は現在全国の映画館で公開中。あと奥浩哉先生の漫画で『GANTZ』と同じ路線の『いぬやしき』がそろそろクライマックスに突入している感じです。興味を持たれた方はこちらもどうぞ。


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