DC悪党列伝 デイビッド・エアー 『スーサイド・スクワッド』
マーベル・シネマティック・ユニバースに追い付き追い越せと一生懸命がんばっているDCエクステンデッド・ユニバース。その第3作が現在公開中です。悪党たちを集めた異色のチームの活躍を描く『スーサイド・スクワッド』、ご紹介します。
お話は『バットマンVSスーパーマン』の直後から始まります。世界の守護者スーパーマンを失った米国政府は、人知を超えた脅威が襲来したとき、何を持ってそれを防ぐか明確な対策を打ち出せないでいた。やり手の政治家アマンダ・ウォラーは特殊な能力を持つ犯罪者たちを集め、特殊部隊「タスクフォースX」を結成。減刑と引き換えに計り知れぬ力をもった怪物と彼らを戦わせることにする。別名「自殺部隊」とも呼ばれる彼らは果たして任務から生還することができるのか。
実は自分アメコミファンを標榜するわりにこのタイトルのこと、映画化が決まるまで知りませんでした(^_^; 『スーサイド・スクワッド』が創刊されたのは1987年。けっこう前じゃん! まあアメコミでもジャンプでもそうですけど、人気キャラは突然前フリもなく死んだりしないものですよね。しかしこの『スーサイド・スクワッド』は忘れ去られたようなマイナーキャラばかり集められたチームゆえ、「いつだれがいきなり死んでもおかしくない」という非常にスリリングなお話となりました。しかしまあこのシリーズでブレイクしてしまったゆえ、主役格のデッドショットさんは自殺願望があるにも関わらず(原作のみでの設定)現在に至るまで生き残り、とうとうスクリーンデビューまで飾ってしまったから驚きです。
『スーサイド・スクワッド(以下、SS)』でもう一人俄然目立っているのはピエロのようなメイクが印象的なハーレクイン。希代のサイコ犯罪者ジョーカーにベタぼれしてしまってスーパーヴィランになってしまったやっぱりイカレてる女の子です。ハーレクインはもともとアニメシリーズで生み出されたキャラでしたが、人気が出てしまったのでコミックの方に逆輸入されたという変わった経歴の持ち主。ですからマイナーぞろいの『SS』の中では異端の存在と言えるかもしれません。
さて、映画の話。結論から言うと脚本が強引なところがないでもありません。時空に穴をあけてなんかヤバいものを呼び込む…といったクライマックスも最近よく見る陳腐な展開でありました。しかしその欠点を補ってあまりある魅力がこの映画にはあふれてました。特にアメコミファンには(笑)
まず冒頭のキャラ紹介シーン。特別出演のバットマンやらあのキャラやらがSSのメンバーとアクションを繰り広げ、画面をにぎわしてくれます。この辺でもう沸騰してるわがアドレナリン。さらに刑務所や修羅場で嬉々として銃を乱射するデッドショット、ふだん力を抑え込んでいるものの切れたら周りを焼き尽くしてしまうエル・ディアブロ、ビッチを気取ってるものの心の奥底に悲しい夢を抱え込んでるハーレクイン、それぞれの本性が露わにされる場面がいちいち突き抜けていて、忘れがたい印象を残していきます。
「もっと悪党として暴れてほしかった」という意見もあってそれもわかるんですが、わたしにとってはこの中途半端さ加減が『SS』 の魅力だったりします。わかりやすい活劇では大抵善玉は善玉、悪玉は悪玉と区分がはっきりしてるものですが、普通は程度の差こそあれ「人間いいことをしながら悪いことをし、悪いことをしながらいいことをする」ものです。そんな池波正太郎の名言通りに、善悪の狭間をぶらぶらしている『SS』の面々が実に親しみやすくいとおしい。
結末もまた最近のアメコミ映画の流れ通りにすっきりするものではなく… この辺もアンチさんの気に入らないところでしょうけどわたしはアリです(^_^; なにもかもがめでたしではない分少しほろ苦さが残るんですが、ちょっとだけ状況が前進している。そういう幕切れが好みなので。
いまのところ彼らの次なる活躍は未定なようですが(「解散させろ」とまで言われている…)、売り上げも好調なようですしDC映画世界のどこかでまた彼らに出会いたいものです。
というわけで『スーサイド・スクワッド』は現在全国でそこそこヒット上映中。先のX-MEN、タートルズが不発だっただけにさして派手でもないこの映画がそれなりにうけているのは意外です。ハーレクインちゃんの独特なかわいさが日本のガールズたちにも好評だったということでしょうかね。
DCEUの次なる作品はMCUでもまだないスーパー「ヒロイン」映画『ワンダーウーマン』。日本では来年夏に公開予定。そして第1期の総決算たる『ジャスティス・リーグ』へと続く予定です。
Comments
伍一くん☆
あれー、最後時空に穴を開けてヤバイものでやっつけたんだっけ?
じゃあ、結局彼らのチームは何したんだ・・・・?
な、中途半端なかんじが良いってことなのね?(笑)
チャーミングなハーレクインでがっつり引っ張った感じだけど、いつか続編もあるのかしら~~
Posted by: ノルウェーまだ~む | September 28, 2016 02:11 PM
>ノルウェーまだ~むさん
いや、味方側ではなく敵側がそうやって世界を滅ぼそうとするという。最近そういうの多くないですか? イン〇ペン〇ンスデイ続編とか新ゴー〇トバ〇ターズとかミ〇ータ〇トタート〇ズ続編とか… 観てないものもあるかもしれませんが(^_^;
それなりの成績をあげたので続編は可能性高いと思いますが、それにはまずDC映画シリーズがし続けないと…
Posted by: SGA屋伍一 | September 29, 2016 10:42 PM
ハーレイ・クインじゃなくて、ハーレクインなの?
ハーレクイン恋愛小説?
Posted by: ボー | October 03, 2016 11:58 PM
>ボーさん
そういえばハーレクインがハーレクインを読んでるシーンありましたね。「ハーレクインとはフランス語で『道化師』を意味する『アルルカン(Arlequin)』の英語読み」なんだそうです。いま調べてわかりました
Posted by: SGA屋伍一 | October 05, 2016 09:53 PM
こんばんは。
ハーレクインちゃんは、恋して自らクレイジーに変身していったのならまだ良かったんですけど、洗脳された設定があまり好きじゃなかったんですよね〜
デヴィッド・エアーはもう映画館では見ない予定です。
Posted by: とらねこ | October 07, 2016 07:59 PM
>とらねこどん
ハーレイちゃんにはいつか洗脳から脱してまともになったジョーカーと幸せな家庭を築いてほしいですね。無理か!
デビッド・エアーは『エンド・オブ・ウォッチ』というのが評価高いのでそれだけでもDVDで観てみようかなあと。ほかは『フューリー』とこれしか観てない
Posted by: SGA屋伍一 | October 09, 2016 08:43 PM
ハーレクインちゃんを主役にした成人映画が出来たらガッツリ見に行きます(頑張れ悪徳プロデューサー)。
Posted by: ふじき78 | November 11, 2016 11:52 PM
>ふじき78さん
というかそういうパロディAVがすでにありそう
Posted by: SGA屋伍一 | November 15, 2016 09:10 PM